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【TGS 2011】ソーシャルゲームとコンシューマゲームを分けるのはもう古い!—「有名プロデューサーがソーシャルゲームを切る」

東京ゲームショウ2011の一般公開日となる9月17日、GREEブースにて「有名プロデューサーがソーシャルゲームを切る」と題されたビジネスセッションが行われたました。

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東京ゲームショウ2011の一般公開日となる9月17日、GREEブースにて「有名プロデューサーがソーシャルゲームを切る」と題されたビジネスセッションが行われたました。

登壇したのは、カプコンで「ロックマン」「バイオハザード」「ロストプラネット」「デッドライジング」など様々なヒットタイトルを手がけた稲船敬二氏と、スクウェア・エニックスで「フロントミッション」シリーズなどを手がけた土田俊郎氏。この2人に共通するのは、大手ゲーム会社でコンソール向けのタイトルをプロデュースしヒットさせた経歴を持ちながら、今年に入ってソーシャルゲームの制作に転向したこと。稲船氏は昨年末株式会社comceptを設立し今秋にGREEにてソーシャルゲーム「Dr★モモの島(仮)」を提供予定で、土田氏はスクウェア・エニックスを退社し2011年3月にGREEに入社しました。2人はソーシャルゲームをどのように見ているのでしょうか?モデレーターは日本デジタルゲーム学会理事 研究委員長の遠藤雅伸氏が担当しました。

■コンソールゲームとソーシャルゲームの違い

まず遠藤氏が投げかけた最初のテーマは「コンソールゲームとソーシャルゲームの違い」について。ちなみにこのテーマはここだけに限らずソーシャルゲーム系のセッションでは必ず触れられる話です。

これに対し稲船氏は「僕は以前あちら(隣のホール)に大きなブースを構えているカプコンに在籍し、ファミコンの時代から20年以上も様々なゲームを作ってきました。こうしてゲームの歴史を見てきた中で、今新しくソーシャルゲームという新たな歴史が生まれようとしています。僕自身長年いろいろなゲームの変化を見てきたので、ソーシャルゲームだからといってあまり違和感は感じていません。むしろこういった変化は普通のことだし、そこでコンソール同様面白いことをやっていければいいと思っています」と語りました。

一方土田氏は「私はかつてあちら(GREEの斜め向かい)にブースがあるスクウェア・エニックスにおりましたが、在籍中はコンソールということで”長く遊べる”ゲームを作ることを意識していました。でもソーシャルゲームはちょっと空いた時間などタイミングを選べずに遊ぶことができます。それが新しくゲームをプレイする可能性を広げてくれている気がします。」と、「時間」の違いについて言及しました。

続けて遠藤氏は、両氏がコンソールゲームを作っていた時に大切にしていたものについて質問。

これに対し稲船氏は、「世界観やキャラクターの背景にある性格がゲームシステムと同等かそれ以上に大事です。こうして世界観やキャラをしっかり立てることで、そのゲームが他メディアへ展開することもあります。だから僕はRPGだけでなくアクションゲームを作っていた時も世界観やキャラクターを大切にしてきました。またコンソールゲームは開発費が高いのでゲームの売り上げだけで回収するのが難しい。だから映画や漫画、ドラマ、アニメ、キャラクターグッズなどいろいろな展開を常に意識していました。」と回答。

土田氏は「自分は『フロントミッション』というコンシューマの中でもニッチよりのコア向けのタイトルを作ってきたので、兵器の重量感や大砲を撃ったときの空気感など、マニアックなファンも納得できる表現をすることにこだわりました。また『ファイナルファンタジーX』のバトルのシステム構築も担当しましたが、敵を倒して前に進んだとき、『やった!自分だから倒すことができたんだ!』という感覚を持ってもらえるよう、プレイヤーを魅了することを心がけました。」と回答しました。

■プレイヤーにどう時間を使ってもらうか?

先の土田氏の発言にもありましたが、コンソールゲームとソーシャルゲームではプレイ時間のサイクルも全く異なります。次のテーマはこの「ゲームにおける時間の使い方」。

これに対し稲船氏は「コンソールゲームを作るときはまず総プレイ時間を考えます。6000~7000円もするゲームが3時間で終わってはマズイですよね。だからアクションゲームでも10~20時間以上遊べるものを開発予算とのせめぎ合いの中で作っていきます。また全体が20時間だとしたら、その中でどこに強弱や起承転結を入れるかを考えながら”時間割”を作ります。ここがソーシャルゲームとは明らかに異なるところですね」と指摘しました。

これに続けて遠藤氏は、「コンソールゲームの場合、作り手は途中で諦めてしまうプレイヤーを出したくないという思いがあります」と語りました。しかし稲船氏は「確かに作り手はプレイヤーが最後までプレイしてくれるだろうという前提のもとでゲームを作りますが、実際は買った人の半分以上がゲームを最後までクリアしていないのでは。また最近ではゲームが難しいという以前にプレイする時間が取れない。作り手が求めるプレイヤーと実際のプレイヤーの間に乖離が生じています」と指摘。これには遠藤氏も強く同意しました。

これに対し土田氏は、「そのゲームのオープニングからエンディングまでの間に、まずプレイヤーが戦闘する回数がどれだけになるかを把握します。例えば、10回戦ったら敵を選んで叩くだけという構造には飽きてしまうでしょう。そこで、『10回戦後戦ったら魔法が使えるようになる』など新しい仕組みを加えて常に飽きさせない工夫をしていました。しかしそれもまた飽きられるので、次に飽きそうなポイントで戦闘順序を入れ替えたり、仲間を追加したりと様々な要素を増やしていきました。要素を一気に増やすのではなく、順番に増やして『勝っている』という感覚を作ることが重要です。」と語りました。この両氏のコメントに共通しているのは「決まった時間の中にどう変化を入れるか」ということ。

これを受けて遠藤氏も「これは何となくソーシャルゲームの作りに似ていますね」とコメントしました。これに対し土田氏は「このノウハウはソーシャルゲームにも活かせると考えています。但しコンソールゲームでは1時間は遊んでもらえるという考えで作ります。しかしソーシャルゲームの場合は電車を待つ5分でプレイできなくてはいけません。そのプレイサイクルを考える必要があります。」と指摘。

稲船氏も「ソーシャルゲームは3~5分でユーザーの気持ちとして完結することが大事。短い時間に世界観をどう盛り込めるかが重要です。僕はソーシャルゲームでも世界観やキャラクター性を重視していきたいし、それによってゲームはもっと楽しくなるはず。」と語りました。

■ソーシャルゲームの魅力

次のテーマは「ソーシャルゲームの魅力」。 現在「ソーシャルゲームにどっぷり浸かっている」と語る両氏はソーシャルゲームのどこに魅力を感じているのでしょうか?

稲船氏は「ロビーに入って他のユーザーに声をかけて…というオンラインゲームの気合の入った繋がり方ではなく、気軽に人と繋がれるところが大きいですね。ソーシャルゲームでは人と協力する、対戦するということが意識せずにできる。僕はゲームの根本はコミュニケーションにあると思っているので、それを簡単に行えるソーシャルゲームは面白いですね。」と語りました。

一方土田氏は「日本のソーシャルゲームが携帯電話で始まったことが大きいですね。これまではゲーム機がオンラインに繋がるというだけではオンライン要素を前面に押し出すことはできませんでした。なぜなら繋げていないユーザーが確実に存在するから。それに対し携帯電話やスマートフォンは全員が常にオンラインなので繋がっているかどうかの前提を考える必要がない。これは大きなメリットとなり、開発者としても魅力的です。」と語りました。

両氏に共通するのは「人との繋がり」。これを受けて遠藤氏は「コンテンツはコミュニケーションを凌駕できるのか」という課題を提示し、「最近ではコミュニケーションはコンテンツより上位にあると思っています。例えばデートで映画を見に行こうと相手を誘った場合、誘った方は付き合うのが目的で映画を見に行くのが本当の目的ではありません。映画というコンテンツはコミュニケーションを加速するためのツールとして使われています」と例を示し、「これと同じことがゲームでも起きているのでは?」と話題を振りました。

これに対し稲船氏は「GREEという会社がまさにそれを体現しています。GREEはゲームがたくさん並んでいるのがウリなのではなく、そのゲームを通じてSNS内でコミュニケーションして下さいという会社。そこに良いゲームがあれば人が集まりやすいし、良い人達が集まっていればゲームを楽しめる。」と指摘しました。

■ソーシャルの今後と問題点

最後のテーマは「ソーシャルゲームの今後と問題点」。

稲船氏は日本のソーシャルゲーム市場がスマートフォンを含めたモバイルベースであることを踏まえ、「ソーシャルゲームで最初に思ったのは操作系が押し付けられないこと。以前はファミコン時代からコントローラの仕様は決まっていて、ハードメーカーからそれを押し付けられていた。しかしソーシャルゲームではそれがない。ゲームを開発する際はまずどのようなUIにするかからスタートするし、そこにチャレンジのし甲斐があります。」と語りました。

また土田氏は「フィーチャーフォンからスマートフォンになるというだけで表現の幅は大きく広がりました。プレイヤーが新しい場所に行くことを表現する際、フィーチャーフォンではページ切り替えやFlashなどに頼るしかありませんでしたが、スマートフォンでは3Dでリアルな表現をすることも可能です。」とコメント。さらに稲船氏は「ファミコン時代からゲームを作っていたのでUIに制限があるのは当たり前だと思っています。スマートフォンにボタンが無いのであればそれを前提としてゲーム設計を考えるのが開発者の仕事。むしろそういう制限があった方が実力が発揮できるし、制限に対応できる能力ができる。本物のクリエイターはそんなことで文句は言わない。」と語りました。

続けて土田氏も「良いクリエイターは文句は言わない。スマートフォンのフリックやスワイプは非常に直感的なので、得意不得意を意識して得意なところを生かせばいい。」と指摘しました。しかしスマートフォンには文句の無い両氏も日本の通信環境には不満がある様子。

稲船氏は「地下鉄に乗ると電波が切れてしまう日本の通信環境をどうにかしてもらいたいですね。地下鉄に乗っている時に別に電話はしないからソーシャルゲームで遊ばせて欲しい。これが韓国では電車でもずっとネットが繋がっています。こんなことでは日本はいつまで経っても韓国に勝てない。これだけ電車に乗る機会の多い環境で、電車に乗ったらネットが繋がらないというのはスマートフォンを普及させていくうえでも障害になるのではないでしょうか。」と指摘。

土田氏もまた「私も地下鉄から地上に出た瞬間にソーシャルゲームをプレイするという習慣でしたが、それが習慣になっているのはよく考えたら良くない。ソーシャルゲームは常に繋がっていることが重要なので、繋がらない状況を極力無くして欲しい。繋がればいくらでも面白くする自信はあります。」と同意見でした。

そして最後に両氏はまとめとして共に「コンソールゲームとソーシャルゲームを分ける時代ではない」ことを強調。

稲船氏は「ユーザーは状況に応じてゲームを遊べばいいし、クリエイターは楽しいゲームを作ればいい。これからはソーシャル対コンシューマという対立構造ではなく、ソーシャルでもなくコンシューマでもないハイブリッドなゲームが生まれてくる。そこを目指していきたい。」と抱負を語りました。

続けて土田氏も「ソーシャルゲームがこれほど話題になっているのは、それだけゲームを遊んでくれるユーザーが増えたということ。機械がどんどん高度化し、一方で皆忙しくなっている。ゲーマーが減っている状態をソーシャルゲームは一気に変えてくれた。ゲームの作り手としてはユーザーのいる分野でユーザーの希望に合ったゲームを作りたい。その中でやり応えのあるゲームも作るし5分で完結するゲームも作る。そこは住み分けができると思っている。」と語りました。

そして最後に遠藤氏も「一時期オンラインゲームとコンソールゲームを切り分けていた時代がありましたが、今はもうそんなことはありません。それと同じで、いずれてソーシャルゲームとそうでないゲームの切り分けもなくなり、ソーシャル機能はゲームの一要素になるでしょう。ソーシャルゲームとコンシューマゲームを切り分けるのはもう古い。」と語りセッションを締め括りました。
《籠谷千穂》
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