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【TGS 2011】CESA和田会長基調講演、変わりつつあるゲーム産業の本質とは

東京ゲームショウ初日の15日、コンピュータエンタテインメント協会(CESA)会長の和田洋一氏は「ゲーム産業革命の本質」と題した基調講演を行い、ゲーム市場拡大の牽引役(ドライバ)の変遷について分析を行いました。

ゲームビジネス その他
 
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東京ゲームショウ初日の15日、コンピュータエンタテインメント協会(CESA)会長の和田洋一氏は「ゲーム産業革命の本質」と題した基調講演を行い、ゲーム市場拡大の牽引役(ドライバ)の変遷について分析を行いました。

和田会長は冒頭、ゲーム市場は新規プラットフォームの登場と共にドライバが移り変わり、それらが地層のように積み重なって市場が拡大してきたと振り返りました。その上で、メディアはその時々のドライバに注目する傾向があるが、底流の流れを見極める必要があると語りました。

スペースインベーダーを皮切りに、アーケードゲーム=業務用専用機でスタートした日本のゲーム産業。家庭用ゲーム機の登場で個人が専用機を購入して遊べるようになります。80年代は「ゲーム専用機」の時代でしたが、2000年のPS2でDVDプレイヤーの機能が加わり、複合機の時代を迎えました。さらにケータイの登場で、汎用機(携帯電話)でゲームを遊ぶ時代となります。

07年、すべてのゲーム専用機がネットワーク対応となり、iPhoneが登場しました。これ以降、ゲームプラットフォームの本質がネットワークに移行します。そして今、ブラウザゲームやクラウドゲームなども登場してきました。

こうした流れから、ユーザーがゲームに投じる環境投資と、市場の拡大は反比例すると分析。それにあわせてユーザー層も、コアユーザーからカジュアルユーザーへと拡大してきたと語ります。その上でゲームメーカーとして、どこに何を、どの程度、投資するかが重要だという考えを示しました。

「ゲームは約束事の固まりだが、それがわからないカジュアルゲーマーが、今後はさらに増加していく。この変化をきちんと理解しなければならない」(和田氏)。

■ゲーム体験は4段階で移り変わっていく

続いて和田氏は市場の牽引役を「ゲーム体験」の視点から分析し、「プロセッサ」「インプット」「コミュニケーション」「アウトプット」という4つのサイクルに整理しました。

「プロセッサ」とはゲーム体験がCPUの処理速度で変化していった段階です。80年代後半から00年まで、ゲーム専用機の処理速度は劇的に変化しました。「CPU戦争」という言葉もメディアを賑わせました。しかし今では周知の通り、CPU速度の差異は差別化の要因にはなりづらくなっています。

かわって牽引役となったのは「インプット」でした。先鞭をつけたのはジョイスティックからコントローラへの変化。そして携帯ゲーム機の登場でしたが、本格的なブレイクは00年代で、DSのタッチペン、マイク、そしてWiiのモーションコントローラーです。PS3とXbox360も追随。これが00年代の10年間です。

そして近年、新たな牽引役となったのが「コミュニケーション」で、ソーシャルゲームの大ブレイクです。これと平行してユーザー、ビジネスモデル、流通、コンテンツ形態と、さまざまな要素がシフトし、根本的な変化が見られました。和田氏は旧来のゲームメーカーはこの変化に戸惑い、対応が遅れたと語ります。

最後に、和田氏は「アウトプット」が将来の牽引役になるという見通しを示しました。キーワードは立体視です。現在の立体視は両目の錯覚を利用しているが、今後ホログラフィ的な表現が可能になると予測。もっとも、これには少し時間がかかるとしました。またその場合、業務用ゲームや玩具など、専用機の時代に再び回帰するのではと語りました。

■アイテム課金の本質は「価格決定権の変化」

最後に和田氏が示したのがビジネスモデルにおけるドライバです。ゲーム業界のビジネスモデルは、100円を払ってプレイする「従量課金」で始まりましたが、家庭用ゲーム機で最初にゲームソフトの価格を払ってプレイする「定額課金」に移りました。その一方で中古、廉価版という価格調整機能も生まれました。

これが少額課金の普及で、一見すると従量課金に回帰したように見えますが、和田氏は「価格決定権がメーカーからユーザーに移った」と違いを指摘します。基本プレイ無料のアイテム課金モデルとは、「お客様が満足した分だけ、お金を払ってもらえる」モデルだと分析。ゲームコンテンツ側も、これにあわせて変化していく必要があると語りました。

この後、和田氏は余談としながらも、クラウド時代になると根本的な革命が到来すると予測しました。和田氏は現在ゲーム機やPC、モバイル機器など約10個のコンピューティングデバイスを所有しているが、処理能力の多くが眠っていると指摘。これがクラウド時代になり、コンピューティングパワーがネットの「こちら側」から「向こう側」に完全に移ることで、インフラの産業革命が起きると分析します。

もっとも、独禁法や著作権など、コンテンツを巡る法整備の多くは、こうした変化に対応していないため、過去の制度や法律がイノベーションを阻害する要因にもなり得ると指摘。こうした制度をゼロから構築できる新興国が、クラウド時代でコンテンツパワーの覇権を握る可能性もあると警鐘を鳴らしました。

講演のラストに、和田氏は市場の成長に対する懐疑感や、市場の牽引役に対する混乱が見られると指摘。環境認識を共有するために講演させてもらったと、意図を語りました。ゲーム領域の拡大と共に、TGSの出展企業の変化が見られる中、現状を適切に俯瞰・整理した講演だったといえるでしょう。
《小野憲史》
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