フォントワークスは広く一般に利用されている様々なフォントを販売する福岡のメーカーで、元々は紙媒体が主要顧客でしたが、セガのセガサターンでシステムフォントに採用されたのをきっかけに、任天堂のゲームキューブやWii、ソニーのPSPやPS3で採用、対応するゲームでも300社以上に採用されるなど、業界標準として利用されるようになっています。本講演では次世代機による近年の動向や可能性などについて話されました。
近年のフォントの動向として取り上げられたのが2004年に策定された新JIS規格、通称「JIS2004」です。一般的なフォントはJIS90をベースにしていて、現状でもJIS90規格のフォントを継続して使用しているメーカー(任天堂、ソニーを含む)が圧倒的ですが、Windows Vista搭載のフォントは新規格を採用しています。新しい規格では一部の書体が変更されていて、たとえば「辻」のしんにょうの点が1つから2つになっています(皆さんのパソコンではどう表示されるでしょうか? 私のメイリオでは確かに2つ点になっています)。
フォントそのものの利用には特に問題がありませんが、ゲームで使用する際には、全ての箇所を同じ字体にする必要があるでしょうし、実ゲーム開発とは異なるプロセスで制作される説明書や店頭用ポップなども統一する必要があるので、プロジェクトでの情報共有が必要と言えそうです。
次に次世代機に関してです。以前のようにブラウン管で小型のテレビが主流だった時代、ゲームのフォントで工夫する余地は大きくありませんでした(例外はありますが)。それが高精細で大画面を搭載したテレビが主流になってくると、使用するフォントのデザインやサイズに工夫の余地が出てきます。ただし、三原氏はHDゲームでは「字が小さい」「見づらい」という声も良く聞くので、その点は注意して欲しいとコメントしていました。
また、LETSライセンスでは対応してないものの、これまでのようにビットマップ画像でフォントを起こしたものを用意するのではなく、フォントを組み込む方法も取れるようになったと言います。ゲームにフォントファイルを組み込むことで、文字サイズを変えたHDモードとSDモードを実装することもできます。この手法にはフォントを描画するラスタライズエンジンが必要になってきますが、フォントワークスでは「FiT」というラスタライズエンジンを販売しているほか、提携しているScaleformの製品を使えばフォントを表示できるだけでなく、LETSのライセンスでも組み込みが可能になるということです。
ゲームには直接関係しませんが、広がるCGMでフォントを使用することも考えられます。例えばユニクロとフォントワークスが協力してスタートしたサービスは、ユーザーが自由にフォントや文字を入力して、それをTシャツに印刷して購入することができます。
フォントワークスではゲーム開発だけでなく様々なフォントの利用で実績があるので、気軽に問い合わせて欲しいとのことでした。
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