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【GC 2008】ルーカスアーツの新作『Fracture』ってどんなゲーム?開発者インタビュー

ルーカスアーツと言えば、スターウォーズ系ゲームが目立ちますが、実はドタバタアドベンチャーゲーム『Sam & Max』シリーズや、『Monkey Island』シリーズなど個性あふれるオリジナル作品を輩出してきたことでも有名。今回はその伝統を受け継ぐべく目下開発中の新作『Fracture』がお披露目されていました。筆者は同作品の開発者であるベッキー・ミラー氏のゲームプレイセッションに参加することが出来たので、ここではその時の模様をお伝えします。

ソニー PS3
Fracture
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ルーカスアーツと言えば、スターウォーズ系ゲームが目立ちますが、実はドタバタアドベンチャーゲーム『Sam & Max』シリーズや、『Monkey Island』シリーズなど個性あふれるオリジナル作品を輩出してきたことでも有名。今回はその伝統を受け継ぐべく目下開発中の新作『Fracture』がお披露目されていました。筆者は同作品の開発者であるベッキー・ミラー氏のゲームプレイセッションに参加することが出来たので、ここではその時の模様をお伝えします。



中村:まず、『Fracture』について教えてください

ベッキー・ミラー氏(以下、ベッキー):『Fracture』は地球温暖化で壊滅的な打撃を受けた150年後の世界が舞台。地球全土が海で覆われる事態を回避すべく開発されたテライン・デフォーメーションテクノロジー(地形を自由に変形できる技術)が存在する世界です。これにより人類は海岸線を維持し、自らの領土を開墾出来るのです。その過程の中、アメリカ合衆国は対立する二つの連盟へと分裂してしまいました。米国東部を中心に形成されたアトランティック同盟(The Atlantic Alliance、以下、アトランティック)と、米国西部を中心としたパシフィカ共和国(the Republic of Pacifica、以下、パシフィカ)です。それぞれ独自のテクノロジーを保持しており、アトランティックはサイボネティック技術を活用し変化する環境に適合していきました。一方、パシフィカは、遺伝子エンジニアリングを進歩させていきます。ゲームは、アメリカ合衆国が遺伝子エンジニアリング技術の使用を禁止したことから、アメリカ西部が東部からの独立を主張し、パシフィカを建国したところからはじまります。プレイヤーはアトランティックの戦士としてパシフィカ軍の総司令に対し武器の放棄と降伏を求めるためにサンフランシスコに派遣されます。

というわけでさっそく、ゲームプレイを見せてもらいました!

ベッキー氏:これはチュートリアルセッションです。いま、プレイヤーがいるところは、アルカトラス島です。ただ、サンフランシスコとは陸続きとなってしまっていますが。遠方にウォータータワーが残っていますよね!このように、世界全体の様子はかなり変わっていますが、キーポイントは、未来世界でもそのままある程度残っているという設定にしました。これからプレイヤーは監獄の中で戦わなければならないのですが、もうすこしゲームを進めると、遠方にゴールデンゲートブリッジを望めるようになります。プレイヤーにとってある程度なじみがある風景をゲーム中にとりこんであるわけです。この他にワシントンDCや、南西部の砂漠地帯にも戦いの舞台を用意してあるんです。

画面内に小さいサークルが出てくるんですが、それが戦術的目標となります。手榴弾の中には、サブソニック(Subsonic)手榴弾というのがあるのですが、これは地形を陥没させる力があります。この他にも地形を隆起させるものや、表面をトゲだらけにする武器もあります。あとはヴォルテックス(Vertex)手榴弾。近くにある全ての物体を吸い込み一気に爆発させるデバイスです。



中村:プレイヤーはこれらをどう使いこなしていくのでしょう?

ベッキー:チュートリアルミッションでは、このゲームでの戦いに慣れてもらうために様々な武器を用意してあるんです。これらをこのミッションで使用することで、実際の戦闘に入ったときにすぐにでも使えるようになります。ですので、テュートリアル環境では、脅威となる敵は敢えて配置していません。それによって、地形を変形させるための方法などをしっかり学んでもらうというわけです。

中村:地形を変形させる能力には制限などがあるんでしょうか?

ベッキー:これはゲームデザインにもよりますね!ゲームステージごとに、地形を隆起出来る高さに違いがあったりします。ビルに近ければ近い程、制限は増えます。これはコンクリートを察知することで地形変形に制限がかかるという設定からです。地形を変形させるうえで気をつけなければならないのは、プレイヤー自身のポジション。場合によっては死に至る場合もありますから。つまり、地形の隆起や陥没の高低はどは、どのエリアでゲームをプレイしているかによります。あるエリアでは、地形を隆起しつづけて、小山を作り出すことも可能ですが、別のエリアでは、1、2回で変形できなくなってしまう場合もあります。あまりやりすぎると、作り手が意図しているゲームエリアからミッションをこなす前に勝手に飛び出してしまうということもありえますからね。

中村:では、戦略的に地形を変形させて敵を倒すというのがプレイヤーの役割?

ベッキー:その通りです!エントレンチャー(Entrencher-主人公が操るもっとも先進的なテライン技術を応用した地形コントロールデバイス)を使って攻撃するというのは状況によっては、敵対勢力が持ちえない、プレイヤー独自のパワーになることもあります。ただ敵も地形を変形させる兵器を使う事が出来るので(ソニック手榴弾など)、たとえ地形を変形させて土坡をつくっても、敵によってその土坡を簡単に崩されるということも考えられます。つまり、敵味方それぞれがテライン・デフォーメーションテクノロジーを使えるのですが、プレイヤーは主人公キャラクターとしてより頻繁にこれらの技術を使う事が出来るのです。

-どうやら、『Fracture』ではこれまでのアクションシューティングゲームでは見ることができなかった新しいアクションが期待できそうです。でもそもそも、なぜこのようなユニークなアイデアが生まれたのでしょうか?最後にその辺についても率直に聞いてみました。

中村:テラフォーミングというアイデアはどこから生まれてきたのでしょう?

ベッキー:もともと『Fracture』の開発会社、Day1 Studioという会社から、「こんな面白い技術があるんだけど」と必要に応じてゲーム世界の地形を変化させる技術を紹介してもらったんです。そこで私たちもその技術を種として、それをどうやって活用したらいいのか、どんなメリットがあるのかを話し合いながら、ゲームデザインとして様々な活用法を考えていきました。迷路の打開策として、敵の攻撃を防御する手法として、戦闘中に戦略的優位に立つためなどです。これらの要素を精査していきながら、現在の状況まで発展させていったんです。



う〜ん。やっぱり自分でプレイしてみないと、感覚がつかめないということで、実際にLucas Artsブースで試遊してみました。エントレンチャーからビームを発射すると、平面だった地形がボコっと隆起します。これまでFPSやTPSで、見た目はジャンプで登れそうな場所なのに、実際ジャンプしてみると、とどかない、といったシチュエーションもよくあったりするわけですが、これだと見事にそのような状況を解消してくれます。ゲーム画面には壁のようなものが広がっており、施設内に侵入するのに通常は、秘密のドアなりを探す、というのが常なのですが、ここではさっそくエントランチャーを使ってみました。すると、一気に隆起した地形を利用して楽々と壁を乗り越へ、施設内に潜入出来たのです!この技術をうまく使えば、Valveが昨年リリースした『The Orange Box』に収められている『Portal』とはまた違ったパズル要素が楽しめそうだと実感しました。

前回のリポートした『Star Wars The Force Unleashed』のバイオメカニカルA.Iなどもそうですが、Lucas Artsは、新技術を「遊び」に転化することが本当に得意ですね〜。考えてみれば、Lucas Filmも新技術をエンターテインメント性あふれる新たな映像表現へと転化することにすぐれた会社。もしかしたらこれは会社の特色なのかもしれません。いずれにしても『Fracture』がどんな作品としてリリースされるのか今から楽しみです。欧米では、2008年10月初旬に、PS3及びXbox360にてリリース予定です。
《中村彰憲》
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