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IGDA日本、ゲーム開発者向けセミナー「SIGGRAPH2007に見る、明日のゲームコンテンツ制作」を開催

IGDA日本は9月1日、ゲーム開発者向けに「SIGGRAPH2007に見る、明日のゲームコンテンツ制作」と題したセミナーを開催し、8月5日から9日まで米サンディエゴで開催された、今年のシーグラフにおけるCG技術の最新トレンドを紹介した。発表者は東京工科大学片柳研究所クリエイティブ・ラボの川島基展氏。

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IGDA日本は9月1日、ゲーム開発者向けに「SIGGRAPH2007に見る、明日のゲームコンテンツ制作」と題したセミナーを開催し、8月5日から9日まで米サンディエゴで開催された、今年のシーグラフにおけるCG技術の最新トレンドを紹介した。発表者は東京工科大学片柳研究所クリエイティブ・ラボの川島基展氏。

シーグラフは、毎年8月にアメリカで開催される世界最大のCGの「祭典」で、世界中の研究者から最新のCGに関する論文が発表されている。学術論文だけでなく、ハリウッドの最新CG映画の製作技法が公開されるなど、参加者は映像業界全般に渡っている。展示会としての機能も併せ持っており、大手CG会社の最新ソフトや開発機材が発表されたり、ゲームや映画、個人制作のCG映像のコンクールなども実施されている。

また映像だけでなく、インタラクティブ技術を用いたバーチャル・リアリティ系の作品や、メディアアートなどの出展も行われている。採択される論文数は圧倒的にアメリカが多いが、この分野だけは日本からの出展が中心になっている。

ゲーム業界にとって重要なのは、こうしたCG技術が数年後にはゲーム業界にも波及する点だ。シーグラフで発表された最新の論文は、まずハリウッドをはじめとしたCG映画で1〜2年後に実用化され、そこから1〜2年後にゲーム業界でリアルタイムCGとして実装されている。そのためシーグラフの最新動向をキャッチしておくことが、ゲーム業界においても今後の技術開発を行う上で、大きな意味を持つというわけだ。

まず川島氏は今年のトレンドとして、「大作映画・ゲームコンテンツ制作における技術開発の活性化」「アニメーション制作技術の多様化」「画像処理を基盤とした斬新なテクノロジーが次々に登場」という3点をあげた。その上で注目技術として、「モーションキャプチャ技術の進化」「次世代のシミュレーション技術、中でも流体表現の技術開発が活発化」「制作事例の優れたケーススタディ」「高速化・リアルタイム化の促進」という4点を上げた。

中でも注目を集めたのが、モーションキャプチャ関連だ。論文発表では、モーションブレンディングの撮影時に、リアルタイムにパターン内容を学習しながらキャラクターコントローラを自動生成していき、モーションパターン撮影の手間を簡略化させられるアルゴリズム「Active Learning for Real-Time Motion Controllers」や、カラーパターンをプリントした衣類を使うことで、画像認識で布の動きをキャプチャする「Capturing and Animating Occluded Cloth」、フォトセンサーを応用したシステムを用いて、戸外でもモーションキャプチャができるように工夫した「Prakash」などが報告された。

また機器展示では、マーカのかわりに16台のCCDカメラを用いて、画像認識でモーションキャプチャを行う「ORGANIC MOTION」や、光学式で安価なOptiTrack、機械式だが小型軽量なXsensなどを報告。最先端の技術を用いた物から、安価な普及型システムまで、バラエティに富んだ製品が出展されたという。川島氏は、こうしたモーションキャプチャ関連の活性化の背景として、中小企業におけるモーションキャプチャのニーズ増加と、技術革新がうまくクロスした点を上げた。

画像処理技術でユニークな発表が相次いだのも、今年の特徴だった。論文発表では、動物の体毛のような複雑な画像に対して、境界近辺をなぞるだけで、簡単にマット生成や合成を可能にする新アルゴリズム「Soft Scissors」、建物や樹木など、画像内の重要要素の比率を変えずに、画像の比率だけを変更できる「Seam Carving for Content-Aware Image Resizing」、ビデオ映像からイメージベースドモデリングを簡単に行う「VideoTrace」などを紹介。機器展示では顔の形状や反射、透過光を高輝度でキャプチャできる、ドーム型のキャプチャ器機「AGURU DOME」や、カメラを回転させ、全自動で全周囲画像を作成する「SpheroCam HDR」などが報告された。

流体シミュレーション技術で発表が相次いだのも今年の特徴だった。これには大作CG映画で相次いで水の表現が多用されたことと関係が深く、大手CGスタジオから興味深いテクニカルスケッチ(論文発表よりもライトな、アイディアの紹介など)が紹介されたとのこと。中でも「Go With The Flow」というテクニカルスケッチでは、「パイレーツオブカリビアン3における大瀑布の表現(Digital Domain)」「Surf’s up(日本未公開)における大波の表現(Sony Pictures Imageworks)」「Happy Feet(日本未公開)における海の表現(Rhythm&Hues Stuzios)」「300における海戦シーケンスの表現(Flowline/ScanlineVFX)」などが行われ、実際のCG制作で使われたテクニックが数多く披露された。

このうち「パイレーツオブカリビアン3の大瀑布」では、3DCGソフトウェアのフーディーニで計算した水流の列を、2Dテクスチャとして出力して、大瀑布の3Dモデルに張り付けるという、実は古典的な手法を採用したこと。さらにシミュレーションがうまくいかなかった水流の下部は、カメラに映さないことで処理したという裏話が披露された。また「Surf’s upにおける大波の表現」では、3Dツール上で大波コントローラを使ってアニメーションを手付けで作成し、NURBSカーブで大波の概観を作成。その上で流体シミュレーションを行ってサーフボードの軌跡などを作成し、最後に極ベクトル情報を使って白波を作成するという、一連の手順が示された。

テクニカルスケッチに留まらず、最新CG映画の詳細なメイキングが紹介されるのも、シーグラフの魅力の一つだ。川島氏からは「「シュレック」シリーズのキャラクターアニメーション開発の履歴」と「「レミーのおいしいレストラン」における料理の再現」という2つのケーススタディについて、その内容が報告された。

ケーススタディによると、「シュレック」シリーズはCGスタジオのPDI/DreamWorksにとっても、CG製作技術の革新の歴史だったという。「シュレック1」の公開は2001年だったが、製作が始まったのは1998年から。当時はパーティクルのインスタンスもできず、照明も直接光のみのローカルイルミネーションのみで、キャラクターモデルもそれほど高精度とはいえなかった。「シュレック2」ではインスタンスが可能になり、モーションやフェイシャルシステムが構築されるなど、大きな進化があったが、製作期間の都合でモデルは「1」のままだった。「シュレック3」では、ようやくモデルが一部修正され、脇役キャラクターの顔やボディのバリエーションを、1体のセットアップで設定できるようになるなど、製作体制の見直しも行われた。間接光の表現もさらにグレードアップした。こうした事情を元に、改めてシリーズを見直してみると、新しい発見があるだろう。

またCG表現でエポックメイキングとなったのが、今夏に公開された「レミーのおいしいレストラン」だった。本作の影の主役となっているのが、厨房で作られる様々な料理たちだ。これらは単に美しいだけでなく、「おいしそうに」見えなければならない。これは非常に難度の高いCG製作だ。そのために盛りつけ(CGモデルや物理シミュレーション)や、シェーダ開発、ライティング技術など、さまざまな技術開発や試行錯誤が行われた。パン生地をこねたり、ソースをかけるなどの表現一つにも、CGで行うにはさまざまな苦労があったというわけだ。さらに、「レミー」は漫画映画的なスタイルで、単にリアルにすればいいとものではない。漫画映画的なメリハリのついた演出と、CGによる表現をうまく融合させる必要がある。ケーススタディだけでなく、テクニカルスケッチでも「レミー」だけで12本の発表が行われるなど、大きな注目を集めた作品となったようだ。

高速化・リアルタイム化については、ライティングのプレビューをリアルタイムに近い速度で行い、ハイクオリティレンダリングを劇的に高速化させる「The Lightspeed Automatic Interactive Lighting Preview System」という論文について報告された。これはRenderman用にすでに実装されており、CGスタジオのILMでの実用検証においても効果を発揮したという。GPUの機能をより効果的に用いるというもので、将来的には完全リアルタイムのハイクオリティレンダリングが可能になるかもしれない、とのことだ。またノンフォトレンダリングにおいては、モデルの形状に左右されることなく、トゥーンシェイドで必要な箇所に必要な影をつける「Locally Controllable Stylized Shading」という論文の報告が行われた。これは東京大学から投稿された論文で、マンガ文化に長けた日本ならではの発想だろう。

また電気通信大学の長谷川晶一氏から、今回初めてゲーム業界からEAが論文発表を行ったことが報告された。論文発表といっても、実際は「Spore」の開発途中の映像紹介と、EAのスポーツゲームにおけるモーション作成テクニックの紹介(選手の両足と重心の位置から、物理シミュレーションを用いずに、リアルタイムにモーションを生成する)で、今年のGDCで発表された内容と近しいものだったが、シーグラフでゲームメーカーがこのような発表を行ったのは、今回が初めてとなる。また会場内に設置されるリクルーティングブースでも、今年はゲーム業界からの出展が急増していたとのこと。ハリウッドとゲーム業界のリレーションについては、GDCでは既に大きなトピックとなっているが、改めてシーグラフでも関心を深めつつあるようだ。

他にCGムービーコンテストのコンピュータアニメーションフェスティバルについても報告された。最優秀賞にあたる「BEST OF SHOW」は、ポーランドのGrzegorz Jonkajtys氏らが製作した「Ark」が受賞。川島氏は「単に映像が綺麗なだけでなく、ストーリーテリングの要素が重要になってきている」と解説した。日本からも「The Recent Future ROBOT HELPER Z」(デジタルハリウッド)、「The Four-Dimensional Digital Universe Project」(国立天文台)の2作品が上位入賞に輝いている。他に今年は「GAME TECHNOLOGY 2007」として、ゲームのムービーではなくリアルタイム映像(ゲームのプレイ映像)が初めて入賞した。収録された作品は「CryEngine2」「Gears of War」「Rezistance:Fall of Man」「Playable Universal Capture 200 Reel」の4点で、新しい潮流を感じさせた。

最後に川島氏は総括として、これらの情報をゲーム開発にどのように役立てればいいのか、その考え方についてコメントした。まずノンインタラクティブ(ムービー)要素については、公開されたほとんどのテクニックがそのまま使えること。モーションキャプチャが多様化したことで、TPOに合わせた利用が可能になっていること。画像処理技術の技術革新が速まっており、斬新な表現が可能になっていること。インタラクティブ・ライティング技術が今後さらに高速化していくと思われること、などだ。冒頭に述べたように、これらの論文は、まずハリウッド映画で実装され、その後にインタラクティブコンテンツとして、ゲーム業界に降りてくる。PS3やXbox360向けに、これからゲーム開発を開始しようとすれば、これら現時点での最新技術動向が無視できない要素になるはずだ。

ちなみに来年のシーグラフはロサンゼルスで開催され、参加者数の増加が見込まれている。ただしシーグラフは規模が大きいため、一人で回ることは物理的に不可能だ。川島氏は初心者向は、まずテクニカルスケッチを中心に見て回るといいとアドバイスした。テクニカルスケッチは15分程度で終了し、ユニークなアイディアが詰め込まれているため、インスピレーションを生む場としても最適だという。

またシーグラフの論文発表や講演内容は、これまでDVD-ROMで販売されるのが常だったが、今年からダウンロード販売も開始されている。アドレスはhttp://encore.siggraph.org/だ。iTunesにダウンロードして視聴するシステムなので、興味のある方はチェックしてみるといいだろう。

なお、シーグラフのインタラクティブ作品展示「エマージングテクノロジー」で入選した作品の多くは、9月29日・30日にお台場・日本科学未来館で開催される「インタラクティブ東京」でも展示される。学生によるバーチャルリアリティコンテスト「IVRC2007」の東京予選も併設されるため、こちらもお勧めだ。
《小野憲史》
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