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【E3 07】 EAが目指すカジュアルゲームレボリューション!

「カジュアルゲーム」の名のもとにエレクトロニックアーツが本格的動きだした。狙いは任天堂と同様にこれまでゲームという遊びに本格的に参加してこなかったひとたち。ゲームデザインで主導権を握るのは学生時代のパーティアニマルか?!

任天堂 Wii


仲間と一緒に楽しむということでは、3番目に紹介された『Smarty Pants』も同様だ。簡単に言えばクイズゲームなのだが、Wiiコントローラを使い、画面内のホイールをまわしてクイズの出題者を決め、その人が選択したジャンルのクイズに答えることで得点を競うという感じのゲーム。Wiiを持って手を挙げることで誰に回答権があるかを確認できたり、Wiiコントローラを使ってバーチャルホイールをまわす、ということで、お互いだけでなくテレビ内のインターフェイスともインタラクティブに接するということになる。このゲームも、ゲームを通じた仲間との交流がゲームデザインの中で中核的に位置づけられており、ソフトそのもののが促すクイズを解き、得点を競うというのは、仲間との交流を深める上での単なるきっかけにしかすぎない。このようにゲームデザインが全面的に押し出されるというよりは、主体となる仲間との交流を盛り上げるための裏方役としてひっそりと存在しているのがこれら二作品のゲームデザイン的特徴だ。



この他に紹介されたタイトルは『EA Playground』とパズルゲーム。前述の遊び手を主体としたゲームとは異なり、ゲームデザインを遊びの中心に添えた、これまでのゲームに比較的近いタイプのカジュアルゲームだ。

『EA Playground』は様々な遊びが準備されたパーティ向けカジュアルスポーツゲーム。今回は、4人プレイが可能なドッジボールや、ゲームならではのルールを導入した「Kicks」が紹介された。ドッジボールは紹介するまでもなくドッジボールをWiiでプレイするといもの。これに対し「Kicks」はサッカー、バレーそしてアクロバットを合体させたようなオリジナルスポーツゲームだ。説明は難しいが、ゲームデザインとしては敷居が低く且つ奥深いという低年齢層を意識したつくりとなっている。

最後に紹介されたWii向けカジュアルゲームは、スティーブン・スピルバーグ監督による作品だ。もともと映画のように感動を与えられるインタラクティブエンターテインメント開発のために協力をしてきたスピルバーグ監督だが、E3 06の際、宮本茂氏とともにWiiで遊んだとき感じたセンセーションが、スピルバーグ監督をカジュアルゲーム開発に突き動かした。そこから生まれたのがこの作品だ。基本的には体感型パズルゲームともアメリカのパーティゲームである『Jungo』のWii版とも感じられるタイトルだ。ブロックが「積み木」のように積み上げられた構造物に対して、ある物体を投げ入れ、ぶつけることで、ブロックをバラバラに崩壊させるというのがこのゲームの目的だ。なお、ブロック以外にも様々なキャラクターや障害物なども用意されているという。


■パーティアニマルがカジュアルゲームレボリューションを牽引する

以上、本稿で紹介したWii向けタイトル以外に、EA運営のカジュアルゲームサイト、Pogoやマイクロソフトメディアブリーフィングでも話題となった『Rock Band』も紹介されたが、これらEAが開発を進めている全ての作品に共通することは、窓口を広く、多くの人たちにアピールできるように、ゲーム業界以外のひとたちとのコラボレーションにも積極的に取り組みながらゲーム開発を進めているということだ。これらの協力者は、いずれもゲームをプレイした経験はあっても、ハードコアなゲーマーとはゲームに対する視点は全く違うだろう。また、今回発表された作品のゲームデザインで最も印象深かったのは、アイデアの多くが学生時代にゲームに熱中してきた人というよりは、むしろ仲間や彼女を引き連れて外で遊んでばかりいた人たちが考えそうな内容に近かったということだ。これは、比較的エンジニアが主導的にゲームデザインを進めてきていた欧米ゲーム開発現場の潮流とは一線を画していて興味深い。この傾向が更に発展し、従来のコアゲーマではなく、学生時代に伝説を築きあげたパーティアニマルたちが続々とゲームづくりに参画してきたとき、カジュアルゲームというジャンルは、EAの言うとおり従来とは全く違ったインタラクティブ体験をユーザーにもたらすかもしれない。
《中村彰憲》
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