任天堂オブアメリカ(NOA)は全米音楽教育協会(MENC)と『Wii Music』を音楽教育に取り入れることを援助していく旨を明らかにしています。既に一部の学校ではカリキュラムに取り入れられており、今後も導入が進んでいく模様です。
楽器と音楽レッスンを無償提供するNPOのLittle Kids Rockは楽器メーカーのフェンダーと共同で調査を行い、音楽インストラクターの多くが音楽ゲームからポジティブな影響を感じているとする結果を発表しました。音楽インストラクターは『ROCK BAND』『ギターヒーロー』で取り扱われているギター、ベース、ドラムの履修者が増えたと感じているとのことです。
『ROCK BAND』と『ギターヒーロー』は海外で大きなムーブメントとなりましたが、同時に「ゲームが音楽教育に良くない影響を及ぼすのではないか」とする議論も起こしたようです。ニューヨークタイムズは、ゲームを開発したHarmonixのAlex Rigopulos氏へのインタビュー記事の中で「最も尋ねられた質問は、ゲームが本物の音楽を学ぶことを思いとどまらせるのではないかということだ」と書いています。
長い修練の結果、確かな技術を磨き、その結果として心揺さぶる演奏がある。それは確かに素晴らしいことです。同時に、楽しく興味を持って貰うことも重要なのではないでしょうか。音楽を志す人が増えれば偉大な才能が開花する確率も高くなりますし、商業的に潤うことで新たな可能性が生まれます。
これは個人的な体験になるのですが、筆者には音楽の素養が全くなく、音楽ゲームすら苦手です。そんな筆者が『大合奏!バンドブラザーズ』で友達と合奏したのですが、素晴らしい高揚感と楽しさを味わえましたし、ミスなくキチンと合奏することの難しさのほんの一端も思い知りました。演奏の喜びの一部なりとも味わうことで、本物の楽器を演奏できる人へのリスペクトが深まりました。音楽の素養がない筆者ですから、『大合奏!バンドブラザーズ』がなくては一生味わえない喜びだったでしょう。
音楽ゲームでの演奏はRigopulos氏がいうように本物と同じではありません。しかし、興味を持って貰うことはできるのです。こうした間口の広げ方、興味の持たせ方は音楽だけではなく他のジャンルでも有効なのではないでしょうか。
「ゲーム的」という表現があまり良い意味で使われない昨今ですが、楽しいシミュレーターとしてのゲームが増えることで、いつか「ゲーム的」が褒め言葉となれば良いですね。
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