
皆さん、夜は渡っているでしょうか。発売から1年が経過した『ELDEN RING NIGHTREIGN(エルデンリング ナイトレイン )』ですが、未だに終わり無き夜の戦いに挑んでいる夜渡りも多いことでしょう。
とはいえ発売1周年の際、アップデート等もなく寂しく感じた人もいたのではないでしょうか。そんな夜渡り達に新たな戦場が用意されました。
新たな戦いの舞台はゲーム機やパソコンではなくー本と紙と鉛筆で遊ぶ、TRPGの世界。そう、『ELDEN RING NIGHTREIGN TRPG』です。
今回は発売前に行われた体験会にて、作者のグループSNEの加藤ヒロノリ氏にセッションを回して頂いたので、その様子とインタビューに関してお届けします。新たなリムベルトでの戦いが、紙の上で繰り広げられるーー
原作のスピード感をTRPGに落とし込むデザイン
さて、本作では、原作の『ELDEN RING NIGHTREIGN』と同様、まずは使うキャラを選択します。選べるキャラは原作と同じかつDLC『The Forsaken Hollows』で追加された葬儀屋と学者も問題なく使用可能です。
また、キャラクターシートは各キャラ2種類ずつテンプレートとして用意されています。原作の能力通りの行動が行えるベーシックなタイプと、パラメーター変更により全く別種の行動が可能になる特殊タイプの2つが存在します。例としては所謂”マジカル無頼漢”こと魔法型の無頼漢等です。
キャラが確定したら、これまた原作通りに3日目の夜の王を誰にするかを決定して、いざリムベルドの地へ赴く…のですが、ここで原作と1点違う点があります。
それは、原作では出撃人数は3人までですが『ELDEN RING NIGHTREIGN TRPG』ではなんとPL4人まで出撃が可能です。『ELDEN RING NIGHTREIGN TRPG』も原作と同様3人でのパーティを基準にバランスが取られていますが、4人で遊ぶというのは新たな発見があるかもしれません。作者様曰く4人は3人より楽になるそうですが。

今回は筆者が通常性能の追跡者、他2人は通常性能の鉄の目とマジカル無頼漢の3人パーティで、原作同様初めて戦うことになる夜の王「三つ首の獣、グラディウス」戦に向かうことになりました。

さて、リムベルドの地に降り立つわけですがー『ELDEN RING NIGHTREIGN TRPG』は11枚のトランプでマップを表現します。スタート地点とゴール、原作でいう収縮地点が1枚ずつ、そして真ん中に3枚ずつ3列の合計5列がフィールドになります。
フィールドとなる各トランプの上には、イベントや強敵、商人と祝福がランダムで置かれます。そしてスタート地点からいよいよゲームスタートです。最初は原作通り雑魚が配置されているので、雑魚を倒してルーンを稼ぐ…というのは『ELDEN RING NIGHTREIGN TRPG』でも同様なのですが…
TRPGの戦闘部分はどうしても長くなりがちです。そこで、『ELDEN RING NIGHTREIGN TRPG』の雑魚戦闘は非常にシンプルに簡略化されています。
まず、6面サイコロをキャラに設定された数(基本は5個)を振ります。それが「スタミナダイス」となります。このあたりは『ELDEN RING TRPG』や『TRPG ARMORED CORE VI』をプレイしている人なら馴染みがあることでしょう。そしてそのサイコロをコストに、武器や戦技、魔術に設定されたコストを支払いダメージを与えていきます。
こで重要なのが、『ELDEN RING NIGHTREIGN TRPG』においてダメージを与える敵の単位は必ず1体になります。原作では複数人で出てこようが雑魚を沢山召喚する敵だろうが攻撃する対象は1体です。そのかわり、取り巻きがいるような敵の場合、追加体力を得る形で再現されています。
その為、味方はとにかく最大火力をサイコロのコストを使って叩きつけてダメージを与えます。そしてダメージ計算の結果敵の体力を0にすれば無事勝利です。0にならなかった場合、残った体力の点数分ダメージを受けます。
今回のプレイでは、最初の敵と戦った時点で、大体5点くらいある体力の内3点程食らっていきなりピンチに。とはいえ勿論原作通り聖杯瓶を持っているので使うことで3点回復して事なきを得ました。
そうして各マップをクリアするとルーンを獲得しつつ時間が経過します。時間は探索を完璧に終えたり、ボス戦でラウンドが進んだ時などで経過し、時間カウンターが進む度、敵のダメージがブーストしたり、原作通り夜の雨が振り、スタート地点側から1列ずつエリアが侵食されていったりします。当然、雨が降っている場所では何かしら行動する度に体力が1点ずつ削られます。
また、祝福は原作と違い消費形式となったため、1度使うと祝福は消滅してしまいます。その為、祝福をどのタイミングで使うかは原作と違い悩むポイントとなります。
なお、祝福の効果自体は原作とほぼ同じで、リソースが全て回復し、レベルアップが可能です。ただ、アーツだけは例外です。
原作でも重要なレベルアップですが、『ELDEN RING NIGHTREIGN TRPG』でも当然重要です。まずレベルが上がる度にHP・FP・本作特有のパラメーターである加護の上限が上がっていきます。さらにレベル2で各キャラのスキルが解放。レベル3でアーツが解放されます。そのため、レベル3まで上げることでようやく原作通りのキャラスペックが発揮できるようになるのです。

ただしスキルには使用回数制限があり、回数制限は祝福で回復しない限り戻りません。さらにアーツは「1日1回」の制限が付いています。ただ、その分戦況を大きく傾けることができる破壊力を持っているので、なるべくなら各日の大ボスに使いたいところです。
そしてレベル4以上からは、「遺物効果」が1つずつ増えていきます。6面ダイスを2個振って、出た2種類の出目に対応する遺物効果を得ることができます。ここが原作っぽい点の1つで、遺物効果はどれが獲得できるかはわからないため、ジャンプ攻撃が強い時もあれば、属性攻撃に強くなる時もあったりと、原作のハクスラ感を楽しめるようになっています。
さらに、これまた原作通りボス級の敵を倒せば潜在する力が出てきます。潜在する力は★が1~4と設定されており、★の数だけ6面ダイスを振ります。この出目が大きければ大きいほどレア度が高い装備が出ます。ただし、どの武器種が出るかもサイコロの出目次第です。
とはいえ、キャラごとに出る武器はある程度設定されており、追跡者なら50%の確率で大剣が出るように作られています。なので、余程運が悪くない限りは得意武器が出るようにはなっています。
そうして色んな場所を探索し、収縮地点にたどり着けば夜になり、その日の大ボスが出てきます。ボス戦ではまずプレイヤーの攻撃から始まるのは変わりませんが、プレイヤーのターンが終われば当然敵のターンが回ってきます。
敵はサイコロで行動を決定して攻撃してくるのですが、そのままでは大体1撃でプレイヤー側が死ぬくらいのダメージを常に飛ばしてきます。とはいえ、プレイヤー側もこの大ダメージに何もできないわけではなく、サイコロをコストにすることで、ガードしたり回避したりしてダメージを抑えることができるようになっています。なので、ボス戦では攻撃に全てのコストを使い切らず、相手の反撃を予測してコストを残しておくのが重要になります。
ただし、追跡者は初期装備で持っている追跡者の小盾についている戦技「バックラーパリィ」が非常に強力でした。原作と違いあらゆる攻撃をパリィ(回避)可能で、しかも使うと次のターンアクションのサイコロが1個増えるというボーナス付き。サイコロのコストは多少重いですが、2ターン目以降に無法なダメージを出せるので、長期戦になればなるほど強いキャラです。恐るべし追跡者……。
そんな感じで初日のボスは鈴玉狩りでしたが、全員がしっかり育っていたのもありノーダメージで突破。その時点で2時間強使っていたので、2日目は短縮ルールで道中を10分程度で終わらせ、2日目のボスのツリーガード&王都の騎兵も1ターンで撃破しました。
そして3日目に現れた大ボス、三つ首の獣、グラディウスは流石に1ターンで倒すことはできず、分身からの連続攻撃で無頼漢がダウンしてしまいましたが、追跡者のクローショットと鉄の目の戦技で殴り復活させ(ダウンしたキャラは原作通り殴って復活させられます)、そのまま押し切って勝利しました。

あまり例を見ないシステムなので、最初はかなり複雑で難しいシステムではありますが、原作を遊んでいる人であれば何となくゲームの流れや、ゲームの各フェーズで取れる行動自体は理解できると思いますし、1日目を丁寧にやれば2日目以降はさくさく遊べると思います。おおよそ3日通しだと初回6時間くらい、慣れた人なら3~4時間程度かなという印象です。
効率の良さと探索感を再現したかった
ここからは『ELDEN RING NIGHTREIGN TRPG』の著者である加藤ヒロノリ氏のインタビューをお届けします。短い時間ながら、色んな話が聞けました。
ーーゲームのTRPG化となると違う点も多々あると思いますが、落とし込む際に一番苦労した点はありますでしょうか。

加藤ヒロノリ氏(以下、加藤氏):『ELDEN RING NIGHTREIGN』はとてつもなく展開が速いと思うのですが、効率がどうすれば良くなるのかを求めて遊ぶのが楽しいものだと思っています。なので、速度をどう表すかを重視して制作しました。慣れるまでは時間がかかりますが、慣れれば早く終わると思います。テストプレイでは早い卓だと2時間半で終わったケースもあります。
ーーある程度要素を削ったとセッション中にも仰っていましたが、最初はどれくらいの要素を入れていたのでしょうか。

加藤氏:最初は今の3x3のマップではなく、もっと円形のマップにしていました。ただ、夜の雨の要素の再現が難しく取りやめになりました。それ以外にも要素を足した結果、1日が終わるまでに6時間かかってしまい、流石に難しいと思い要素を削ることになりました。
ーー今回のセッションで、2日目は短縮版で遊ばせて頂きましたが、そこは短く遊ぶための気遣いということでしょうか。

加藤氏:その通りです。普通のTRPGであれば3時間くらい――このゲーム1日ぶんくらいを遊ぶと満足できると思うんですよね。ただ、『ELDEN RING NIGHTREIGN』は3日間を生き残るゲームです。なので、TRPGとして成立するギリギリまで要素を削りました。これ以上要素を削るとTRPGではなくただの記号のやりとりにしかならないと思っています。自分の中では雰囲気を残した上でTRPGになっているかなと。
また、雨の要素を重視してマップを3x3ではなく2x6とかにすることも考えました。ただ、それだと探索感が失われると思うのです。なので、これが限界だと思います。
ーー逆に削らず大事にした点はありますでしょうか。

加藤氏:やはりフィールドの探索感でしょうか。戦闘システムは限界まで削ったつもりです。なので、その分探索感は頑張って表現してみました。最終的には色んなシナリオで同じロケーションを訪れることにはなると思いますが、シナリオごとにその部分をランダムにしたりして、できるだけ同じようになりにくいようにしました。
最初はシナリオ(夜の王)ごとに各拠点のイベントも変えてやろうかと思いましたが、ページ数が足りるわけもなく(笑)なので途中で諦めました。
ーー『TRPG ARMORED CORE VI』の書籍には、ルールだけでなく、ちょっとしたコラムとか情報の書かれたパートがありましたが、『ELDEN RING NIGHTREIGN TRPG』でもそういったのはありますでしょうか。

加藤氏:『ARMORED CORE VI TRPG』と違い『ELDEN RING NIGHTREIGN TRPG』ではそういったのはほぼないと思います。ただ、原作と同様各夜渡りのジャーナルは記載されていますので、流れを読んで物語を追体験ができるようにはなっています。ただ、復讐者や無頼漢などのジャーナル内にある戦闘まではゲームプレイとしては再現していませんがテキストでは味わえるようにしてあり、必ず勝つようになっています(笑)
ーー各夜渡りのジャーナルを進めるとキャラに合った装備品(遺物)を入手できますが、『ELDEN RING NIGHTREIGN TRPG』でもそういった要素がありますでしょうか。

加藤氏:遺物を獲得するという要素は無くしました。遺物1個で1つの能力ではなく、複数個設定されるため、原作通りランダム生成させて排出させようとするとアフタープレイに時間がかかってしまいますし、ページ数も大きく増えてしまいコスト的に難しいと判断しました。
最初は「遺物獲得シート」とかを用意して管理させようかとも思いましたが、そうするとシナリオを終えるたびにプレイヤー達の能力がどんどん上がっていってしまいます。そうなってしまうと、それ用の調整ルールも必要になりGMの負担も大きくなるので、上級者向けルール「深き夜」モードに要素は回そうと判断しました。
ーーつまり恒久的な強化はなく、セッションごとの強化のみで回っていくと。

加藤氏:仰る通りです。深き夜では(原作通り)深度5まで用意されており、深度5だと脅威が5個埋まって開始されるので、最初からとんでもないダメージが飛んできたりします。また、例えば深度5の場合なんかはサイコロを振って5/6の確率で赤い敵が出ます。赤い敵の場合、レベルが2上がる変わりに倒すと赤い武器が出ます。赤い武器は火力が5点増加しますが、代わりにマイナス付帯が必ずついてきます。
シートも通常の場合付帯効果は3つしか付けられませんが、深き夜の場合6つつけられます。また、レベルアップ時に獲得出来る遺物効果もキャラ特有のものを除けば自分で設定可能です。何でも自由に設定できるわけではなく、ある程度ルールは存在しますが、自分でカスタマイズが可能になっています。
深き夜用のカスタマイズでは、原作にもあったパラメータの変更も設定できます。例えば、隠者には「知力/信仰」をさらに伸ばす――みたいなビルドがありますよね。あれも表現可能です。超火力を得ることが出来ますが、代わりにサイコロの出目を変更できる加護の値が0になったりしてバランスをとっていたりします。プレイすれば加護が無いことがどれだけ危険が理解できると思います。
なお、赤い敵は一度出ると出現率が下がる仕組みがあります。なのでずっと赤い敵が出続けることはないようになっています。熟練のテストプレイヤーも深度5では何度もやられていましたが、それが真の『ナイトレイン』だと思います。
ーー装備の種類は原作にあったものは全部入っているでしょうか。

加藤氏:たいまつはありません。盾も種類が多すぎるため表に入るくらいの数に抑えているため5つ程度入っていません。戦技に関してもランダムで決める数は6個だけなので、原作にあって『ELDEN RING NIGHTREIGN TRPG』に無いものは存在していると思います。
また武器が揃っていらなくなった時のために、付帯効果のランダム表を振って強化する要素を入れています。今回のセッションは余りに引きが強くて付帯効果すら振らなくなりましたが……。(付帯効果は上限3個までであり、4つ目以降はランダムで既にある付帯効果を上書きされてしまう仕様)
また、潜在する力で出る武器種も深き夜なら設定可能です。初期武器は決まっていますが、自分でどれが欲しいか設定することで原作の「◯◯が出やすい」を再現できます。
『ELDEN RING TRPG』は、(キャンペーンとして遊ぶなら)プレイヤー側の成長がセッションをまたいでずっと続くためバランスを考えなくてはいけなかったですが、『ELDEN RING NIGHTREIGN TRPG』では多少バランスが崩壊しても、そのセッションが終わればリセットできますし、プレイヤー側の感情としても「まあ、『ナイトレイン』だしな」で納得してもらえるので、そこは『ELDEN RING NIGHTREIGN』という原作そのものの良い点だと思いました。
ーー制作期間はどれくらいでしたか?
加藤氏:開発を始めたのは原作の発売1ヶ月後なので、2025年の7月から開始して2026年の3月前後に原稿を提出しました。ただDLCが発売されたのが2025年12月だったので、DLC部分に掛けられた時間は2か月で判断することになったので、今となっては「ああすればよかった」とかあったりなかったり。とはいえ、ちゃんとDLCのボスや夜渡りも入れることが出来ましたし、そのあたりはファンの皆様にも喜んでいただけるんじゃないかなと思います。
『ELDEN RING TRPG』ではTRPG独自のオリジナル素性のデータは入りましたが、DLCでの追加データまで手が回らなかったので。
ーー最後にユーザーの皆様に一言お願いいたします。
加藤氏:なるべく原作の再現性が高いと言ってもらえるように制作を頑張りましたので、TRPGには置き換わっていますが、原作の「こんな感じだよね」というのを実感できるようにしています。その感覚を味わってもらえたら嬉しいです。

以上、『ELDEN RING NIGHTREIGN TRPG』の体験レポートをお届けしました。筆者はTRPGそのものも『ELDEN RING NIGHTREIGN』も非常に多く経験していたので1時間もプレイしたところすっと遊べるようになりました。
TRPG初心者だと最初の方は苦労すると思いますが、キャラクターを作る必要もなくすぐ遊べますし、『ELDEN RING NIGHTREIGN 』を初めて遊んだ時の手探り感から、効率良く進む楽しさの体験は『ELDEN RING NIGHTREIGN TRPG』でも十二分に詰め込まれています。
また、進行面でも1セッションで区切りの上、徹頭徹尾システマチックに進行できるので、キャラクターが物語設定的にどんな行動をするかなどを意識する必要もなく、TRPGと名は付いていても、あくまで(大規模なコンポーネントなどを要しない)協力型のボードゲーム的なものとして気軽に手に取れるのも魅力かもしれません。
ですので、「TRPG」だからと気後れすることなく、みんなぜひ新しいリムベルドの世界に降り立って欲しいなと筆者は願っています。
『ELDEN RING NIGHTREIGN TRPG』は2026年6月19日(金)に4,950円(税込)で発売予定です。













