ホラー×サバイバルTPS(サード・パーソン・シューティング)。古くは洋館でゾンビをぶっ飛ばしたり製薬会社絡みの事件に巻き込まれたりするゲームなどから人気を博し、いまや多くのユーザーに愛されるジャンルだと言っていいでしょう。
2026年10月29日に発売予定となるフリューの新作『アノマリス/ANOMALITH』は、そんな古くからある、ホラー×サバイバルTPSの流れを汲む一作です。
ジャンルとしてはいまや定番と呼べるようなものですが、そのホラー観はかなり現代的。突如世界に発生した“異界”――「The Backrooms」などを代表するリミナルスペース風の空間を調査し、人類の発展に役立つオブジェクトを回収し帰還する……いわゆる「SCP」的な要素も兼ね備えたタイトルとなっています。

異形の力で異形を討て。わかりやすいパリィと骨太ガンアクションが魅力
時は昭和■■年の日本。あるときから前触れなく発生するようになった特殊空間・異界にて行方不明となった友人を見つけるため、17歳の少女「水無月 玲緒奈(ミナヅキ レオナ)」はを政府が設立した異界を調査する機関“特別危険区画対策室”に所属することに。
物語は、そんな玲緒奈が初の異界探索業務に乗り出すところから始まります。


異界の中は自然法則を超越した異常空間。重力が反転し、あらゆる物が宙に浮かぶ団地。捻じれ、曲り、歪んだ廊下を持つ病院。無限に増殖し、どこまでも続くような商店街。日常に即した風景の中に強く“異”が入り込んだような、そんな気味悪さを覚える場所です。


さらにそんな異界の中には“アノマリー”と呼ばれる異形の存在が蔓延っています。仲には友好な種もいるのかもしれませんが……基本的には交渉の余地なくこちらを襲ってくる、れっきとしたバケモノです。




しかしそんな異界は、何も恐ろしいものばかりではありません。異界の中には、現実世界ではありえないような特性を持つオブジェクト“異物”というものが存在します。劣化することのない金属、切断しても再接合するロープ、飲めば不眠不休で働けるドリンクなど、中には人類に有益なものもいくつか。
未知の異界を調査し、探索によって異物を獲得。それらを持って帰還する――本作における、ゲームプレイの大まかな流れとしてはそういったもの。所持できるアイテムにも限界があるため、アイテムを取捨選択しながらアノマリーとの戦闘を交え、無事帰還することが求められるのです。




アノマリーとの戦闘は基本的に銃撃戦がメイン。しっかり反動があるので制御をしつつ、標準を動かしながら狙って撃つ。銃撃戦の感覚は、三人称視点での一般的なガンアクションを想像してもらえれば、そうイメージがズレることはないと思います。

とはいえ、もちろん異界なんて奇妙な場所が舞台ですので、普通の銃撃戦“だけ”ではありません。
ざっくり言ってしまえば、本作にはパリィアクションがあります。主人公は、とある経緯により体をアノマリーのように変質させる“異形化スキル”を身に着けます。そのスキルのひとつがパリィ。瞬間的に腕の一部を異形に作り替え、敵の攻撃を弾くことが可能なのです。


これは筆者の観測範囲によるものではありますが、いわゆるゾンビや異形の生き物が絡んでくるようなサバイバルTPSは、明確な防御や回避手段を持つことが少ない印象があります。戦闘中のQTEで軽快なローリングを披露する機会はあれど、それを常に出せるわけではない。戦闘も基本的には立ち回りがメインというか、距離を開け、隙が見えたところに銃撃を浴びせるような戦闘が多いですよね。
しかし『アノマリス/ANOMALITH』にはパリィがあります。敵の攻撃を弾き、自ら隙を生み出すことで攻撃のターンを勝ち取ることができるのです。



もちろんそういった動きを前提に敵の動きも調整されているため、従来の同ジャンルゲームよりはアクションゲーム的な難しさは増えているでしょう。ただ、パリィの判定は比較的緩く、構えに入ったらそれなりに持続時間があります。「敵のアクションに対して完璧にタイミングを合わせなきゃ無理!」といったような、理不尽な難しさのあるパリィだとは感じませんでした。
アクションへ咄嗟に反応するというより、重要なのは行動パターンと攻撃タイミングの記憶。「なんとなく」で合わせても成功するため、一度パリィの感覚がわかればそこまで苦戦するものではない……というのが、筆者個人の感覚です。
試遊した範囲では、ねっとりとしたホーミングやディレイなど、パリィの体験を損なうような敵がいなかったのも良いなと思いました。当然ながらすべての敵と戦ったわけではないため、ここについて結論を付けるのは早いとは思いますが。



敵をロックオンする機能などがないため、カメラ操作はちょっと大変だったでしょうか。パリィを要求するゲームである以上、敵を極力視認したいのですが、動きの速い敵を相手にする時は戦闘中に位置を見失って「あれ、どこ?」となることがしばしば。ロックオン機能を付けると自分で照準を付けるサバイバルTPSっぽいおもしろさが無くなりそうですし、その辺りはトレードオフといったところでしょうか。
とはいえヘッドホンを着けていれば音である程度状況や位置もわかりますし、慣れさえすれば十分対処できそうではあります。カメラの感度などをこちらで細かく設定したわけではなかったので、この辺りは製品版を触ってみての長期的な感想が必要になるでしょう。



アタッチメントにコスチューム! 持ち帰った異物で装備を自分好みに染め上げよう
そんなパリィを交えた戦闘以外にも、本作の特徴はもうひとつあります。それは、持ち帰った異物を使って銃のアタッチメントが作れること。その種類も非常に豊富で、自由度の高いカスタマイズが楽しめます。

もちろんしっかりと見た目が変わるのもうれしいところ。サプレッサー、ストック、グリップ、サイト……それぞれ性能に違いはありますが、「俺の好きな銃ってこういう形だからサ」と、見た目にこだわってみるのもおもしろいでしょう。
色もパーツごとに変更が可能です。RGBなどのパラメータを操作して色を作ることはできませんが、用意されているものだけでもかなりの種類があったので十分楽しめそう。


銃の種類は大きく分けてハンドガン、ショットガン、サブマシンガン、アサルトライフル、スナイパーライフルの5種類。さらにハンドガンの中だけでもリボルバーや単発威力に優れたマグナム、連射に優れたマシンピストルなど、性能の違う銃がたくさんあります。
当然アタッチメントもそれぞれに付けられるので、カスタマイズ周りは「銃がとにかく好き!」というプレイヤーでも満足できそうな充実具合だと感じました。今回の試遊では細かく性能の違いなどをチェックできなかったのが悔しいところ。

武器だけじゃなく、主人公である玲緒奈が身に着けている装備も変えられます。こちらは防御力などに影響。見た目もしっかり変わります。
性能とは別に、装備の見た目だけを設定することも可能。「新しい装備、性能はいいけど見た目がな~」とか「見た目は初期がいちばん好きなんだよね」というプレイヤーでも安心。性能は最新に、見た目は自分好みにと、両立できるのがうれしい。


もうひとつのカスタマイズ要素として、“異形スキル”があります。ずっと語ってきた、“パリィ”も、このスキルのひとつ。
スキルは大きく分けて射撃、攻撃、防御、体術、異形解放(必殺技)の5系統。パリィはこの中だと防御カテゴリに属します。



それぞれスキルの発動には固有のリソースであるMPを消費します。MPの回復手段は、銃で敵にダメージを与えること。銃を撃たずに運任せのパリィばっかりしていると、いつかはリソースが切れるようなシステムになっているわけですね。もちろん「この攻撃スキルつえー!」と、銃を撃たずにスキルばっかりで戦うのもダメ。
とはいえ、銃を当てた際のMP回復量はなかなかのもの。普通に立ち回っていれば、スキルが打てなくなるようなことはないように感じました。徹底してリソースを管理しなければいけないというより、スキルの連続使用回数に上限があるようなイメージですね。




ちなみにHPが一定量減少すると、玲緒奈は“ハーフアノマライズ”状態になります。この状態のときはMPが自動回復し、放つスキルの威力が向上。意図的に自身のHPを消費してMPへ変換することもできるため、より早くクリアしたいプレイヤーは、わざと低い体力のまま進行させるのもいいかもしれません。もちろんその分リスクは高いですが。


図鑑埋めが楽しそう。フレーバーテキストたっぷりで世界観にどっぷり漬かれる
パリィとサバイバルTPSが融合したプレイ感はおもしろいものでしたし、見た目や性能のカスタマイズも豊富。『アノマリス/ANOMALITH』は、約1時間半ほどの試遊でしたが、全体を通してとても長く遊べそうなゲームに感じました。

個人的には、異物やアノマリーなどを記録する“調査報告書”が良かったですね。いわゆるフレーバーテキストです。
主人公が所属する“特別危険区画対策室”は異界を調査・探索して、どういうことが起こっているのかを記録するのも業務のひとつ。なので入手したアイテムや敵に対し、しっかりとしたレポートが記載されるんですよ。
世界観を心行くまで味わいたいタイプのゲーマーなので、そういったテキストが充実しているのは心底うれしい。製品版をプレイした際は、ぜひともすべての項目を埋めたいところ。



プレイ感は、少しばかり好みが別れそうな雰囲気がありました。パリィ×サバイバルTPSの食い合わせがいいのかどうかは、正直この試遊だけでは判別が難しい。銃という遠距離武器が主体なので、“パリィ待ち”になりにくいのはいい点かなと感じましたが、前述したロックオン問題などは(筆者の推測が正しければですが)明確に食い合わせが悪い部分でしょう。
ただ、少なくとも筆者はプレイしていて楽しかったです。好みが別れると書きましたが、自分は好み側に立つ人間だと思います。世界観も良かったですし。


銃のアタッチメントや主人公の装備、敵の造形などなど、グラフィックも全体的に好印象です。ただ、グラフィックはいいものの敵のモーションやムービーの演出などには物足りなさを感じることも。これは今回試遊したバージョンによるものかもしれませんので、製品版ではどういった感触になるか、気になるところ。


グラフィックは抜群に良くて、ホラーな雰囲気が漂う異界など世界観もグッド。パリィとサバイバルTPSの親和性を感じる部分もありました。クセはたしかにありますが、『アノマリス/ANOMALITH』はプレイしていてしっかりと「おもしろい」と感じられるタイトルに仕上がっています。
『アノマリス/ANOMALITH』プラットフォームはPS5/ニンテンドースイッチ2/Steamの3つです。
発売に先駆けて、2026年5月26日(火)の21時よりWeb配信特番も予定されています。主人公である玲緒奈役を務められている上田瞳さんなども登場予定。

まだまだ発売までは長いので、これからも様々な展開がありそうな本作。筆者もいちユーザーとして、今後の動向を楽しみに見守っていこうと思います。













