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『カルドセプト ビギンズ』開発者インタビュー。大宮ソフト誕生から『カルドセプト』の軌跡、空白の10年と世界を目指す最新作にかける想い

今年発売予定となった『カルドセプト』シリーズ最新作『カルドセプト ビギンズ』開発者インタビュー。大宮ソフトの誕生からカルドセプトの歴史を追い、沈黙の10年間についても迫ります。

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『カルドセプト ビギンズ』開発者インタビュー。大宮ソフト誕生から『カルドセプト』の軌跡、空白の10年と世界を目指す最新作にかける想い
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10年ぶりの新作となる『カルドセプト ビギンズ』

モノポリー』のようなボードゲームと、『遊戯王OCGデュエルモンスターズ』や『ポケモンカードゲーム』のような対戦型カードゲームを融合させたゲーム性が、知る人ぞ知る名作として知られる『カルドセプト』シリーズ。10年の沈黙を経て、新作『カルドセプト ビギンズ』が2026年7月16日に、ニンテンドースイッチ、ニンテンドースイッチ2にて発売されることになりました。(2026年内にSteamでも配信予定)

今回、Game*Sparkでは、『カルドセプト』を作り出したゲームデベロッパー大宮ソフトの鈴木 英夫氏(以下鈴木氏)、シリーズプロデューサーのジャムズワークス武重康平氏、そして今作の企画開発を手掛け発売元となるネオスのプロデューサー長嶋朗氏(以下長嶋氏)、ディレクター春木場將道氏(以下春木場氏)にお話を伺いました。

『カルドセプト』は、ゲームの内容がユニークであることもさることながら、セガや任天堂など、ライバル同士とも言える大手パブリッシャーを渡り歩き、セガサターン、PlayStation、ニンテンドーDSなど、様々なハードから発売されたという意味でも非常に特異なタイトルであると言えます。『カルドセプト』がどうやって生まれたのか、なぜ様々な遍歴をもつことになったのか、そして『カルドセプト リボルト』の後に訪れた長い沈黙の理由と新作『カルドセプト ビギンズ』が発売される経緯や、目指しているゲームの形など、たっぷり聞いていきたいと思います。

春木場氏(左)と長嶋氏(右)
武重氏
鈴木氏

――ライターの田下(たおり)です。実は武重さんと縁がありまして『カルドセプト』にほんの少しだけ関わらせていただいたこともあり、自分の中でもすごく特別なタイトルです。今日は楽しみにしてきました。どうぞよろしくお願いします。それでは、簡単にお名前と『カルドセプト ビギンズ』への関わりを教えていただけますでしょうか。

長嶋氏ネオスの長嶋と申しまして、今回、『ビギンズ』に関しましては、プロデューサーとしてプロジェクトを統括してるのと、クリエイティブディレクターとして開発にもタッチしております。よろしくお願いいたします。

春木場氏:ネオスの春木場と申します。リードディレクターとして、開発全般を見させていただいております。よろしくお願いいたします。

鈴木氏:大宮ソフトの鈴木です。『カルドセプト ビギンズ』では監修、お目付け役ということで、おじいちゃんはここに座って眺めててね、というような役割をしています。

長嶋氏:全然違うな、全然違う(笑)

武重氏:ジャムズワークスの武重でございます。過去シリーズのプロデュースをずっとやってまして、まあ、今回は雑用ですね。

長嶋氏:鈴木さんが大ボスで、武重さんが悪徳プロデューサーですよね(笑)

――鈴木さんや武重さんが、過去の『カルドセプト』を作ってきた方々で、『カルドセプト』を『カルドセプト』であるようにしてきた、という感じでしょうか。

鈴木氏:あ、そう言っていただいていいと思います。はい。

武重氏:素晴らしい、それでお願いします(笑)

◆たった3人で立ち上げた大宮ソフト

――ありがとうございます。今回は『カルドセプト』というIPの歴史についてお伺いしたいなと考えておりまして。大宮ソフトと言えば、『カルドセプト』の会社だということは長年のファンからすれば当たり前なんですが、これから始めて遊ぶ人、特に若い人は分からない方も多いと思うので、大宮ソフトという会社がどのようにしてできたかというところからお伺いしたいのですが。

鈴木氏:はい、じゃあ私ですよね。ウィキペディアでちょっと調べたんですけど。

(一同笑)

鈴木氏:1993年1月設立ということらしいです。当時、私を含めてゲーム会社(日本コンピュータシステム・「メサイヤ」)に勤めていた3人で、独立して設立しました。もともとの会社に不満があったという記憶もあまりないんですけど、自分たちでゲームを作りたいという気持ちでしたね。今からだと想像できませんが、3人でゲームを作る会社があり得た時代だったんですよね。

『ロードモナーク とことん戦闘伝説』(ロードモナーク とことん戦闘伝説公式サイトより)

――スーパーファミコンの頃でしょうか。

鈴木氏:そうですね。メガドライブ、スーパーファミコン、PCエンジンという時代です。その後しばらく経ってもう一人、その元いた会社から参加して、4人がコアメンバーという形でスタートしました。一番最初に作ったのが、『ロードモナーク』というPCゲームの、メガドライブ版の移植だったというのが、時代を感じさせるところですよね。

――『ロードモナーク』は、日本ファルコムが開発したリアルタイムストラテジーですね。これも隠れた名作だと耳にすることがあります。

鈴木氏:メガドライブ版の発売元はセガさんで、その時からセガさんの門を叩いて仕事をいただいていました。目端の利く方なら、独立前からそういう渡りをつけるものかもしれませんが、我々は、独立したけどどうしようといって、大手のメーカーさんから順繰りに話をしにいくかと考え、一番最初に行ったセガさんで拾ってもらえたというのがスタートでした。

当時はインディゲームというような枠組みもありませんでした。それに、セガさんや他のゲームメーカーさんに知り合いがいたわけでもなく、まさに飛び込みで訪ねていきました。一番最初に持って行った企画はボツというか、見送りになったんですけど、それから少し経って、移植の仕事をいただきまして、『ロードモナーク とことん戦闘伝説』が誕生しました。

これは、歴代の大宮ソフト作品の中でも一番の完成度を誇る作品だと思います。当時ファルコムさんにソースコードなどのソースをすべて開示していただいて、非常にスムーズに開発が進みました。順調だったのはこの1作だけで、その後のゲーム開発は、すべて地獄でしたけどね。

『フロントミッションシリーズ ガンハザード』の開発が大変すぎて生まれた!? カルドセプト誕生秘話

『フロントミッションシリーズ ガンハザード』(スクウェア・エニックス公式サイトより)

――その後、どのようにして『カルドセプト』が生まれることになるのでしょうか?

鈴木氏:ロードモナークの次に1996年、『フロントミッションシリーズ ガンハザード』というタイトルの話がありまして。

――未だにコアなファンのいるタイトルですよね。

鈴木氏:そうですね。これは、スクウェア(現・スクウェアエニックス)さんだったんですよね。ロードモナークが終わってさてさてと言っている時に、スクウェアという超大手の会社の髭を生やした方(『ファイナルファンタジー』シリーズの生みの親として知られる坂口博信氏)が、独立前の会社で作っていたタイトルをお好きだったっていうご縁で、うちでやらないみたいなお声がけをいただきました。それが『フロントミッションシリーズ ガンハザード』だったというわけです。これがもう、当時の記憶が残っていないというぐらいに大変な開発でした。

スクウェアさんのゲームって、みんな大作じゃないですか。それに合わせたボリュームのゲームを作らなければいけないということで、我々もギリギリまで背伸びをしました。大宮ソフトの開発の歴史の中でも、一番の地獄だったと思います。

『フロントミッションシリーズ ガンハザード』が完成して、次の企画を考えようという時に、『カルドセプト』のゲームデザイナーである神宮孝行がゲーム企画を持ってきまして。『ガンハザード』は地獄のように大変なボリュームのゲームでしたけど、箸休めではないですが、中継ぎ的にボードゲームはどうだろうかという話でした。ボードゲームなら、フィールドがスクロールしてたくさんのマップを作らなければいけないということもありませんし、一画面でゲームが展開するので比較的楽ではないかと言うんですね。

『ガンハザード』では膨大なストーリーが展開して、ステージのボリュームも大きく、敵もたくさん出てきて、当時本当にトラウマになっていたので、私もそれを聞きまして、一画面で完結するボードゲームは良さそうだと感じました。

というような経緯が『カルドセプト』の本当の一番最初のスタートラインですね。要するに楽にできそうだったから始めたんですが、後でそれがとんでもない間違いだったことが判明しました。

――『カルドセプト』のように複雑なゲームが、楽に出来るということはないですよね。

ニンテンドースイッチ版『カルドセプト ザ ファースト』(カルドセプト ザ ファースト公式サイトより)

鈴木氏:神宮さんは当時からボードゲーム好きだったっていうことと、当時、トレーディングカードゲームの走りである『マジック:ザ・ギャザリング』の日本語版が出て知る人ぞ知るっていうような状況もあり、個人的な好みと合致するということで考えた企画だったと思います。

社長である鈴木としては、ストーリーがあって、色んなキャラクターが出てきて、ボスもたくさん作らなければいけないというのに比べて、『モノポリー』のようなボードゲームであれば、あの地獄を見なくても済むと思いました(笑)

そういった関係者の思惑が合致して、企画書ができ、セガさんに持ち込みました。当時セガサターンという素晴らしい次世代のハードウェアが発売されるということで、とにかくたくさんのタイトルが欲しいという空気に乗じて企画書を忍び込ませることに成功し、スタートしました(笑)

今の感覚で言うと、新プロジェクトがスタートするというのは大変なことですよね。取締役会の決裁を得て、ビジネス的な整合性がすべてクリアになり、やっとスタートするかしないか。でも当時は1作品にかかる開発予算も、今と比べれば桁が1つ2つ少ないぐらいの時代ですから。これがコケれば会社が傾くというような空気感でもありませんでした。だから、時の運ではないですが、今振り返るといい時代だったなと思いますね。

――楽に作れそうだということで始めた企画ということでしたが、実際の開発はどうだったのでしょうか。

鈴木氏:それが、とんでもなく、大変でした。トレーディングカードゲームのバトルというのはルールが命なんですよね。1枚1枚のカードのテキストには簡素に能力などが書かれていても、その裏には様々な状況で起こり得る膨大なケースについて、どう解釈し、どう判断するのか、詳細なルールブックが必要になります。紙のカードゲームであれば、人間がその都度解釈して進めることができます。時には、友達同士で揉めたりなんてしながら。

それをコンピューターが判定できるように整えていくというのが、非常に大変でした。その分、ユーザーさんからすると、ルールの解釈が分からずになかなか進められない、合っているかどうか疑問を持ちながら遊ぶ、というようなことはなく、画面の指示に従っていれば、コンピューターがすべて適切な判断をしてくれるというのは画期的で、遊びやすくて喜ばれるとも考えてはいました。

しかし、実際に作るとなると大変なことでした。最初は箸休めのような企画のつもりが、途中からだんだんと、自分たちが作っているものの正体に気が付き始めたんですね。

――今でこそ、デジタルカードゲームはたくさんありますが、当時はほとんどなかったと思うので、とても画期的でしたよね。

鈴木氏:デジタルカードゲームの歴史の中で世に出たタイミングは、かなり早い時期だったと思いますね。また、ボードゲームと組み合わせたというのも、手前味噌ですけど、いい着眼点だったと思います。難解なバトルのカードゲームというよりは、『モノポリー』のようにみんなでワイワイと遊べる、パーティーゲームとして認識される部分があったと思います。

――カードゲームを遊んでいたプレイヤーからすると、カードパックを買わなくても、ゲームを進めていけばカードが増えて強くなっていくというのも、魅力でしたよね。

鈴木氏:そうですね。当時、まあ今も紙のカードゲームはそうですけど、デッキを構築するために必要なカードを揃えなくてはいけないわけですが、『カルドセプト』はソフト一本買えば安心して全部遊べますよっていうのは良かったですね。

――当時のユーザーの反応はどのようなものでしたか?

鈴木氏:当時から熱いマニアの方、コアゲーマーの方で、こういったカードゲームやボードゲームが好きな方には大変熱心に支持していただきました。なんと言えばよいでしょうか、このジャンルの火を絶やすな、というような感じで、とても応援していただきました。

初代『カルドセプト』時に、セガさんのあの太田区にある本社の大会議室でユーザーさんに集まっていただいて、大会をやりましたが、その時に集まってくださった方々で、今でもファンでいてくださる方がたくさんいて、すごく濃いファンのみなさんでいい大会をしたという思い出があります。そこで、この後の話にも繋がっていくと思いますが、『カルドセプト』の面白さや良さに手ごたえを感じました。

それと同時に、この良さをより多くの方に伝えきれていないという気持ちも第一作からありまして、それはシリーズを通して継続している感じもあります。

セガから始まり、マリーガルの支援を受け、PlayStationで発売される

――『カルドセプト』はその後、様々なハードで発売されますし、発売元も変わっていきますよね。最初はセガから発売されたのに、その後ライバル社から出るような状況にもなり、ゲーム業界においても特殊なタイトルであると思います。なぜそのような歩みとなったのでしょうか。

鈴木氏:まず幸運だったのは、第一作の著作権関係取り決めで、大宮ソフトが100%権利を保持するという形だったことです。先ほど言いましたけど、セガさんとしても、タイトルをたくさん集めたいという空気がおそらくあり、もともとIPを持っているメーカーのタイトルも大歓迎ということで、結果的に、大宮ソフトのタイトルという形で開発をスタートできました。

もちろんその後もお話はもっていったと思いますが、その時々の状況で、今はセガさんの方ではタイミングが合わないというようなことであれば、では他に行きますねということが可能でした。

『カルドセプト エキスパンション』(カルドセプト公式サイトより)

この時期に、マリーガルマネジメントという、あれは何と言ったらいいんでしょうね。ゲームクリエイターに環境を用意するので、クリエイティビティを最大限発揮してくださいというようなことを謳う会社と出会いました。色々お話しを伺っていくうちに、妙に我々にとって都合の良すぎる話で、なんかの詐欺じゃないかと思うくらいでしたが、お話を伺ってみると本気だと。多分お会いして2回ぐらいで次の作品を一緒にやりましょうということになったんですよね。

――武重さんは、そのマリーガルマネジメントにいらしたんですよね。

『カルドセプト セカンド』(カルドセプト公式サイトより)

武重氏:そうですね。マリーガルマネジメントというのは、リクルートと任天堂で作ったゲームファンドの会社です。クリエイターの方が、作りたいものを作れる環境をサポートする。作った人が、自分が作ったと言える環境を提供するといった理念で活動していました。当時は『ダービースタリオン』を作った薗部博之さん率いるパリティビット、『ゼビウス』の遠藤雅伸さん率いる ゲームスタジオ、家庭用ゲーム機としては初の音声認識ゲーム『ピカチュウげんきでちゅう』を開発したアンブレラ、『カスタムロボ』を作ったノイズ、『巨人のドシン』のパーラム、『動物番長』のバルブルネイなど、多くのクリエイター達をサポートしていました。

鈴木さんがマリーガルにいらした日、直前に僕も上司に呼ばれまして、大宮ソフトさんが来るからお前担当しろと言われました。セガサターンで『カルドセプト』が出て間もないころで、初めにお話をいただいていたのはドリームキャスト版の『カルドセプト セカンド』でした。

当時僕は『カルドセプト』のことを知らなかったので、まず『カルドセプト』をめちゃくちゃプレイしました。初めはよくわからなかったんですが、遊んでいくと気づきが生まれてきて面白くなってくる。そうすると、あのカード使いたいとか色々と考えるようになって、すっかりハマっていました。そこで、まずは多くの人に体験してもらってから『カルドセプト セカンド』を出した方が良いと思い、先にPlayStationで出しませんかという提案をしました。それが『カルドセプト エキスパンション』なんです。

『カルドセプト』はセガさんから発売されたタイトルですが、大宮ソフトが権利を持っていますので『カルドセプト エキスパンション』をPlayStationで出すことが可能でした。まぁ、セガさんには事前に、その次にドリームキャストも計画している話もしましたけどね(笑)

それで『カルドセプト エキスパンション』を作ることになるんですが、発売元をどうしようかということになりまして、当時リクルートの子会社だった、メディアファクトリーがゲーム事業を立ち上げたいということだったので、僕が兼務する形で立ち上げて、『カルドセプト エキスパンション』を発売しました。

――セガから発売されたタイトルが、マリーガルの支援を得て、PlayStationでソフトを出すというのは、まさに当時の日本ゲーム業界横断といった様相で、非常に面白いですね。

武重氏:その後、『カルドセプト セカンド』はメディアファクトリーからドリームキャストで発売しているんですが、PlayStation 2で発売された『カルドセプト セカンド エキスパンション』は、セガから発売していただいています。セガさんがプラットフォーム事業を撤退して、ソフトメーカーに転身したころを感じさせる動きですね。

その後、僕は独立しまして、ジャムズワークスという会社を設立しました。設立時、鈴木さんに相談して「独立するんですけどこのままやらせてもらえませんか」って言ったら、二つ返事で「はい、いいですよ」と仰っていただきました。

ここまで、大宮ソフトさんはずっと『カルドセプト』にかかりっきりだったので、新作を作ろうという話もありまして、ソニー・コンピュータエンタテインメント(現ソニー・インタラクティブエンタテインメント)に大宮ソフトさんが企画を持ち込んで、『機甲装兵アーモダイン』の開発をし、並行して、バンダイナムコさんで『カルドセプト サーガ』を作っていました。

――『カルドセプト サーガ』は監修という形だったんですか?

『カルドセプト サーガ』(カルドセプト公式サイトより)

鈴木氏:一部参加という形です。カードリストぐらいでしたかね。

武重氏:カードリストは神宮さんにお願いをして、イラストの発注なども大宮ソフト側でしましたね。

鈴木氏:『カルドセプト サーガ』のカードリスト、カードのチョイスが示す方向性は、戦闘多めでアグレッシブなバランスになっていて、そういうカードリストのもっている企てと、開発チームの思惑とがうまく合致して、大宮ソフトが開発した手触りとはまた違うものではありますが、最終バージョンではひとつの形になったと思います。当時として、新しい味が出せたなと思っています。

――その後、任天堂ハードで出ることになりますが、パブリッシャーはセガに戻るんですね。

3DS版『カルドセプト』(カルドセプト公式サイトより)

鈴木氏: セガさんはクリエイターを大事にする会社ですよね。『カルドセプト』に限らず、セガ社内のチームも大事にされている。『サーガ』が終わって、また次のところとお仕事をさせていただけないかと思って、パッと相談にいくのは、クリエイターを大事にしてくれるセガさんで、そしたら、ぜひやりましょうという話になりました。

この時は、リブートというイメージでした。『セカンド』、『サーガ』ときて、フォースという概念ではありません。もう一度原点に立ち返ろうという試みです。ニンテンドーDSで出すということは、子どもたちに人気のあるハードで出すということです。そういう、新しいターゲットを持ったプラットフォームでリブートするというのを明確に意識した作品でした。

――開発はスムーズに進んだのでしょうか?

やっぱり大変でしたね。比較的ハード発売初期に出るタイトルになるので、ニンテンドーDSならではの部分が必要で、二画面やWiFiに対応しなくてはいけないということも、苦労もしました。

ですが、大宮ソフトとしては、より一般向けにリブートしたことに手応えは感じていました。1番最初に言いましたが、大宮ソフトは初代を作った時には、『カルドセプト』というものの正体を全く分かっていなかった。手探りで分からないながらに一生懸命作っていた過去のその知見を反映させて、ニンテンドーDS版は完成度を高めることができました。リブートすることが許されるタイトルというのは本当に限られていて、その限られたチャンスを与えられた、という感覚がありました。

ニンテンドー3DS版も、そういう意味では『セカンド』をベースにしたリブートで、より一般のカジュアルなプレイヤーに遊んで欲しいということをテーマに掲げて作ったタイトルとなりました。

武重氏:このタイトルですよ。田下さんがクレジット入ってんの。

――僕、ここでしたか。武重さんに呼び出されたのは……

武重氏:ニンテンドーDS版が出たあと、All Aboutの田下さんの記事(セプターを増やす為のカルドセプト講座 [ゲーム業界ニュース] All About)を読んで、非常に面白かったのでメールをしたんです。

――ジャムズワークスに伺ったんですよね。

武重氏:そうです、しかも初めて来て7時間も居た人は、あなただけです。

――そんなに居ましたか!?

武重氏:居ましたよ!

――僕はそれをきっかけにジャムズワークスさんと、随分色んな仕事をさせていただくことになりましたね。『カルドセプト』も僕が組んで仕事をしているイラストレイターの橋本モチチさんが参加させていただいて、僕もスペシャルサンクスに入れていただきました。

武重氏: そうなんです。

――この時、任天堂から発売されるということになるわけですが、もうマリーガルは関係なくなっているわけですね。

武重氏:はい、悪徳プロデューサーが暗躍したと書いていただければ…

――そんなこと書けないでしょ(笑)

鈴木氏:そういう意味では、この2003年のジャムズワークス設立以降は、みんなジャムズワークスタイトルとも言えるわけですよね。マリーガルではないという。

武重氏:『カルドセプト』に関してはそうですね。しかし、デベロッパーが権利を持っていて、適したハードで適したパブリッシャーでやったという座組だけの話ですので、海外ではよくある話ですから。

――『カルドセプト』というIPを大宮ソフトさんが持っていて、なおかつ、すごく面白いゲームで、ファンもちゃんとついていて、武重さんがいろんなところに話をつけに行くことができたということなんですかね。

武重氏:はい。ありがとうございます。それでお願いします。

(一同笑)

――ニンテンドー3DSではもう1作品、『カルドセプト リボルト』も発売されました。

『カルドセプト リボルト』(カルドセプト リボルト公式サイトより)

鈴木氏:『リボルト』はリブートしてポピュラーになったカルドセプトを遊んでくださった方々に、次の『カルドセプト』という意味合いで作ったタイトルですね。具体的には、面倒な追加要素を入れてあります。

例えば、カードが成長するという要素は、我々の間ではタブーだったんですけど、あえて盛り込んでます。また、カードの能力についても、ゲームの味は濃くなるものの、複雑さゆえにオミットしていた部分というのがあるんですが、リボルトでは開放されています。これまでの『カルドセプト』をやりこんでくれた人たちが、やりごたえがあると感じてもらえるような作りです。

武重氏:ニンテンドー3DSの一作目がエントリーモデルとして完成度高かったというところもあり、『カルドセプト リボルト』はビジネス的に2つのテーマを持っていました。新しいカルドセプトということで、新要素を入れていくということと、海外展開を意識したルック、見た目にしていこうということで立ち上げました。

――『リボルト』は比較的マニア向けというか、やり込んでる人向けなんですかね。

武重氏: 対戦メインに据えた作りで、海外のプレイヤーはそちらのニーズが高いだろうという考えはありました。

――それから10年を経て、いよいよ『カルドセプト ビギンズ』が登場します。今まで様々なパブリッシャーから発売されてきましたが、またうってかわって、ネオスさんから発売ということになります。

長嶋氏:そろそろ僕らがお話しした方が良さそうでしょうか(笑)ファンとしてずっと聞いていたかったんですけども、僕らがこのタイトルにチャレンジさせていただいたきっかけの話ですよね。

僕はマイコンの黎明期からコンピューターに親しんできました。コモドールの「VIC-1001」を皮切りに、数多くのゲームを遊んできて、最終的に行き着いたのがセガの「メガドライブ」でした。

すっかりメガドライブの信者になりまして、とにかくこのハードのために情熱を注いでくれているクリエイターや関係者の皆さんのことが、丸ごと大好きになってしまった……そんな時代を過ごしてきました。当時、メガドライブ陣営には『重装機兵レイノス』という素晴らしいロボットゲームがあり、それが後々、メサイア時代の鈴木さんの仕事だったと知ることになります。

一方、弊社の事業に目を向けると、前身の会社でガラケーの着せ替えコンテンツを手掛け、IPのデジタル化で成功を収めていました。その後、スイッチでの『クレヨンしんちゃん』のタイトルもヒットし、次なるIPを模索していた時期でもありました。

キャラクターIPだけでなくゲームIPも視野に入れる中で、目に留まったのが、長らく新作が途絶えていた『カルドセプト』でした。社内で検討したところ、古くからのファンも多く「ぜひこの形で作っていきたい」という方針が早期に固まり、ご相談の連絡を差し上げたのが始まりです。

――この時は、武重さんに相談されたんですよね?

長嶋氏:いざ『カルドセプト』のプロジェクトを動かそうと大宮ソフトさんへのコンタクトを試みたのですが、当初は連絡先すらわからない状態でした。

必死に資料をかき集めている中で、ジャムズワークスの武重さんがキーマンであることを突き止めたのですが、なんと、私の仕事仲間に武重さんの小学校時代の同級生がいたのです。彼を介して紹介してもらうことで、ようやく連絡を取ることができました。

世が世ならスマホ版『カルドセプト』も誕生していた!?

――『カルドセプト』は10年間新作が出ていなかったわけですけど、なぜ出なかったのか、そして、今回ネオスさんの提案はなぜ受け入れることになったのでしょうか?

武重氏:これまでも何社かお話をいただいていたところもあったんですけど、我々としても、単純に『カルドセプト』がリメイクされるだけというより、今後さらに広がっていくにはどうしたらいいのかという話をしていたというのがありました。

鈴木氏:お話をいただいたり、こちらから提案したりですね、企画書もいっぱい書きました。色んなバージョンの提案をして、それこそスマホ版とかも。これいいですね、楽しみですねという感触があって、話を進めていったりもしていましたが、最後の最後で先方側の「やっぱり新規プロジェクトはやりません」というような結果でひっくり返されてしまうというのを数年やっていたという記憶ですかね。

――スマホ版のカルドセプトの可能性もあったのでしょうか?

鈴木氏:今はちょっと変わってきましたが、僕個人の考えとして、ゲームはもうどんどんスマホに集約されていくんだろうなと思っていた時代もありました。なので、スマホ版の『カルドセプト』の話が進んでいたタイミングもありました。

――結局成立しなかったのには、なにか問題があったのでしょうか?

鈴木氏:それは企画の内容というよりは、社会情勢や業界の流れの中で日の目を見なかったという認識ですね。

――では、世が世であれば、スマホ版の『カルドセプト』が遊べた日も来ていたかもしれなかったということですね。

鈴木氏:大宮ソフトとしてはゲームのプラットフォームが昔から色々変わっていったように、その中にスマートフォンというのは当然あり得るだろう、というぐらいの感触です。長嶋さんのお話にありましたが、昔はメガドライブが好きだとか、スーパーファミコンが好きだとか、そういうプラットフォームへのこだわりもありました。しかし、今ではどれも性能が高くなりゲームの内容には関係なくなっています。私たちは求められるフィールドがあれば、そこでやりたいという感じでした。

しかし、『カルドセプト』がどうというよりも、ゲーム業界全体が、1本あたりにかかるコストが大きくなり、売れ筋のタイトルを保有している会社さんが、それ以外の新規タイトルを自社で立ち上げようとしても、苦闘の末に失敗していき、過去に売れたトリプルAタイトルしか売れないというような状況になっていったように思います。

『カルドセプト リボルト』直後からそのような空気は感じていましたが、10年の間にそれはより厳しくなっていったと思います。昔は3人でスーパーファミコンのタイトルを作れた時代もありましたが、現代ではやっぱりすごくたくさんの人が動いて、大変な予算がかかるプロジェクトになり、なかなかスタートできなくなったんだと思います。

そんな中で、ネオスさんが登場されて、細かいやり取りは覚えていないんですが、「これ、もう我々がOK、お願いしますと言ったらスタートするんですかね」というようなことを聞くと、長嶋さんが「スタートしますよ」みたいなことがあって、この10年間最後の決定がいかに難しいかということに苦労していた中で、スパッとお答えいただけて、ありがたいという気持ちでした。

武重氏:『カルドセプト』の問題として大きいところでいうと、ネオスさんのお話をいただくより少し前なのですが、ニンテンドー3DSのオンラインサービスが無くなってしまうということもあって、現行機で『カルドセプト』が遊べなくなることにたいして、なんとかしなければいけないということもありました。

長嶋氏:ええ。ただ、ここで“悪徳プロデューサー”……あ、これは最高の褒め言葉として『敏腕』という意味で使っているのですが(笑)、武重さんとの対話についても触れなければなりません。当初、僕たちはすぐにでも大宮ソフトさんにご挨拶したかったのですが、武重さんがなかなか会わせてくれない時期があったんです。その間、武重さんとは何度も対話を重ねましたが、核心には触れさせてもらえず、ネオスという会社の本質やプロジェクトの完遂能力、ビジネスの規模感など、尋問のようなやり取りが続きました。

ですが、先ほど鈴木さんがお話しされたこの10年のご苦労を伺うと、あの時の武重さんの対応はそういうことだったのか、と。守るべきもののためにこちらを試されていたのだなと、今になってようやく腑に落ちました(笑)

武重氏:やっぱり慎重にはならざるを得ないです、我々にしてみれば、娘のようなものなので、本当に。

長嶋氏:おっしゃってましたね、当時も。

武重氏:どうしても、嫁ぎ先については、調べさせていただく必要がありました。

長嶋氏:武重さんがそうおっしゃっるので、僕、鈴木さんに初めてお会いするときに「娘さんをください」って言わなきゃいけないのかと思いました(笑)

武重氏:そうですね、このままだと僕本当にただの悪徳プロデューサーみたいになってしまうので、少しだけ真面目な話をしますと、初め企画をいたただいた時に、ルックも含めて全部変えるという話に近いなと思いました。UIであるとか、我々が『カルドセプト』の中で課題だと思っていたところに手を付けるということもおっしゃっていただいた中で、時間や、お金や、色んなことを考えなくてはいけませんでした。

そこで、スタッフィングであるとか、例えば大宮ソフトのゲームエンジンを使っていただくとか、『カルドセプト』のゲームデザイナーである神宮さんを入れていただくとか、ということを伺った中で、前向きに検討いただくということなので、進めていけそうだということになりました。

――今、ゲームエンジンの話もありましたが、大宮ソフトさんの関わりとしてはどのようなものだったのでしょうか。

鈴木氏:神宮 孝行氏、『カルドセプト』のゲームデザイナーが参加するということと、ゲームエンジン、簡単に言えばコアの部分のプログラム、そしてお目付け役の私が監修するというのが大きなポイントですね。大宮ソフトも『カルドセプト』を変えていきたいという気持ちは大きくて、例えば時短、1プレイ当たりの時間を短くしたりということを今回はやっています。

そういう中で、ネオスさんからいただいた企画書を見た時に、変えるところと変えないところの切り分けというものが、大宮ソフトとしても腑に落ちるところがありました。

長嶋氏: 武重さんとやり取りしていたあの時間は、結果として、自分たちがやりたいことを整理し直す貴重な準備期間にもなりました。そのため、いよいよ大宮ソフトさんとお会いできることになった時には、企画のイメージをかなり強固に固めて臨むことができたんです。

本作のポジショニングから事業規模、さらにはストーリーやビジュアルの方向性に至るまで――その時点ではまだ僕の勝手な妄想に近いものでしたが、開発の座組も含め、心に決めてお話しさせていただきました。

今、完成した作品を前に「最初のイメージにかなり近い形で着地できたね」と春木場とも話しています。

新しい『カルドセプト』の、変える部分と、変えない部分

――体験会で遊ばせていただいた時に思ったのですが、今回の新しい『カルドセプト』は、それこそ過去作のリメイクのようなものではなくて、もうビジュアルも、細かなルールも、新しいですよね。それこそブックの枚数も40枚になりましたし。そうすると、今まで大宮ソフトさんが苦労されていた、ゲーム1本作るのに簡単にはいかないよねという話に戻りますし、武重さんが心配されていたのも、本当にこれを作り切るのは大変なことになるよということで、何度も確かめられていたのだと思います。ネオスさんはどのように考えられていたのでしょうか。



長嶋氏:弊社はゲーム業界でのキャリアがそれほど長いわけではありませんが、その分、前例がないからと躊躇することもなく、面白さや可能性を感じるものには挑戦しようという企業風土があります。

そして、ファンの一人として、これほどの名作を埋もれさせてはいけないという強い使命感もありました。日本国内にとどまらず、世界に向けて発信していくべきだと。

現在のマーケットにおいて、国内市場だけを見据えたモノづくりは限界に来ています。企画段階から「世界で売れること」が前提となる中で、そのポテンシャルを秘めた筆頭候補が『カルドセプト』でした。世界で通用させるために、ルックやUI、ゲームテンポなど、ドラスティックに変えるべき箇所は最初から明確に見定めていました。

春木場氏:僕もPlayStationの『カルドセプト エキスパンション』を中学生の頃からプレイしていましたし、カードゲームやボードゲームも好きだったので、実際これはすごい良いものだなと昔から思っていました。

開発にあたっては、これまでのセプターさんにも納得してもらえる部分として、まずプレイフィールを変えずにいこうということをベースに、どこを変えると、新しく広めていけるかという観点で企画を進めていきました。

完成までの見通しという話をすると、カードゲームってやっぱりボリュームが多くてかなりのリソースが必要ではありますので、企画の段階で、開発会社さんやイラストレーターさんなど、色んな方とお話しさせていただいて、土台を作ってからご説明させていただきました。

長嶋氏:カードのイラストをすべて描き直すというのは、カードゲーム開発において最もリソースを消費する、いわば最大の難所ですが、今回のプロジェクトにおいては、何としてでも実現したい譲れないポイントの一つでした。

ポップな中に確かなディティールがある、松浦聖氏が描く世界

――以前の『カルドセプト』では、カードアートは複数のイラストレーターの方が分担して描書かれてたと思うんですけど、今回全部松浦聖さんなんですよね。

武重氏:クリーチャー全部が松浦さんですね。

――アイテムとかスペルは他のイラストレーターさんが担当されていて、カードのクリーチャーを含むキャラクターは松浦さんがみんな描かれているということですよね。すごい量じゃないですか?

長嶋氏:とてつもない量です。クリーチャーとメインキャラクターを合わせると、200枚以上を松浦さんお一人に描いていただいたことになります。

本来、開発期間内にそれだけの枚数を一人のクリエイターさんに完遂してもらうのは、スケジュール的に極めて困難なことですから、当初はこちらも「複数人のイラストレーターさんにお願いする」という前提で動いていました。

ところが、想定していた枚数をお伝えしたところ、松浦さんの方から「描ききれます。ぜひやりたいです。」と力強いお返事をいただいたんです。それは単なる根性論ではなく、本作が目指すべきクリエイティブの方向性や、世界へ挑戦することへの意欲に共感いただいたからだと思っています。

これで世界観をより強固に統一できるぞと、チーム全体がワクワクしたのを覚えています。

鈴木氏:『カルドセプト』ファンの人と開発すると、大宮ソフトが変えたいと思っていても、例えばカードのアートは重厚な油絵のタッチでなきゃいけない、というようなことを先方から言われるパターンも過去にありました。

松浦さんに関しては、作業量がとてつもないもので、とても一人の方で全部完了するのは難しいだろうと思えてしまうところを、見事に完遂していただきました。また、ポップで明るいタッチのイラストではありますが、ファンタジーに関する造詣の深さを感じさせられて、しっかりディティールが押さえられていて、見るたび感動していました。すべてのクリーチャーを松浦さんに起こしていただけたというのは、『カルドセプト』にとって大きなプラスになったと思います。

長嶋氏:松浦さんとは、単なる西洋ファンタジーの焼き直しではなく、日本人の感性を融合させた唯一無二の架空世界を作り上げようと意気投合していました。

伝統的なモチーフを尊重しながらも、松浦さんならではの独創的なエッセンスが加わることで、今までにない新しい世界観を構築できたと自負しています。

初心者も遊びやすいゲーム性と、誰もが同じスタートラインで読める物語

――たくさんの苦労を乗り越えていよいよ今年発売されるわけですが、『カルドセプト ビギンズ』はシリーズの中ではどのような位置づけの作品になるのでしょうか?

長嶋氏:ゲーム性に関しては、ニンテンドー3DS版『カルドセプト』の系譜を継承しています。

新規ユーザーの方々にも広く手に取っていただくことを考えた際、実験的な新機能を盛り込むよりも、『カルドセプト』本来の面白さをストレートに感じてもらうべきだと判断しました。

――『リボルト』の方が複雑化しているものだったので、3DS版の無印『カルドセプト』に近い方が入りやすいということですよね。

長嶋氏:物語としては、これまでの『カルドセプト』シリーズよりも前の時代を描く『前日譚』となっています。

シリーズを追い続けてくださっている方はもちろん、今回初めて触れる方も含めて、プレイヤー全員が同じスタートラインから物語を体験できるようになっています。過去作の知識がなくても、自然にその世界観へと入り込める構成を目指しました。

――『カルドセプト』の物語をごく簡単に言うと、カルドラという世界を創造した神様がいて、『カルドセプト』というこの世の様々なものを生み出す本を作っていたと。しかしバルテアスという別の神様が、勝手に本に呪いを書き加えて悪用しようとした、そこでカルドラは本をバラバラにし、本の各ページは石板となって世界に降り注いだ。その石板の不思議な力を引き出す人たちがセプターであり、石板を全て集めて元の本に戻せれば、神様の力すら手に入るということで、みんなが石板、いわゆるゲームに登場するカードを集めながら、そのカードで戦い、奪い合う、ということでよいでしょうか。

長嶋氏:はい。まさにその「降り注いだ石板」を人々が使い始めた黎明の時代を描いています。

地上で初めてセプターと呼ばれた人物」を登場させよう、というところからストーリーを構築していきました。

――なるほど。それでチュートリアルは学校でカード(石板)の使い方を習っているんですね。

『カルドセプト ビギンズ』は学園で戦い方を教わるチュートリアルから始まる

長嶋氏:そうですね。強大な力を持つ石板を悪用する人も現れるだろうし、正しく導き、指導する人も存在したはずだ…と、世界観を深掘りしていった形です。

――前日譚ということは、つまりこれまで発売された『カルドセプト』の物語に接続されていくということだと思うのですが、今興味があって初めての人たちは、例えばエンディングまで行った時に、これまでの物語を知らなくても大丈夫なつくりになっているのでしょうか。

長嶋氏:1作目だけを遊んでも、物語はわかりやすく、面白く、破綻することなく完璧に完結している。けれど、もし先に続編を知っている人が遊べば「ああ、ここからあそこに繋がるんだな」とニヤリとできる。そんなバランスを目指しました。

今後「そうなるかもしれない」裏設定!?

長嶋氏:これは完全に余談なんですが…。キャラクター視点で妄想を膨らませていく中で「やっぱり石板って重いよね」というリアルな問題に突き当たりまして(笑)。物語の中に、持ち運びやすい「携帯版カード」を作りはじめる絵師が登場して、彼が描く美しい絵にもなぜかカルドセプトの力が宿る……そんな「石板時代からカード時代への過渡期」を描いたら面白いと考えていた時期もありました。

春木場氏:なんか、ありましたね(笑)

長嶋氏:石板はアカデミアの生徒たちには不評で「重すぎて鞄に50枚も入れてられない!」…なんて、境遇は現代の学生の教科書と変わらなかったり…。一方で「わしは石板しか信じんぞ!」なんて頑固親父がいたり…。

――結局今回は、そうはならなかったのでしょうか?

春木場氏:そういった描かれ方はしていないですね(笑)

――今後の作品のどこかのタイミングで、そういった話が入ってくるかもしれないなんて、ファンとしては妄想もしてしまいますが…この話をしている間、武重さんがずっとニヤニヤしていますね。

武重氏:『カルドセプト』は昔からあのカード状のものも石版と呼んでいたので、表現上の違いという認識でしかなかったので(笑)

――石板といっても、大きいものから小さいものまであるので、薄いカードのようなものでも石板と言えるかもしれませんね。

武重氏:はい、そうですね。

――いずれにしても、これまでのファンの人たちも、懐かしい要素が見え隠れしつつ、いつものプレイフィールで安心して遊べ、新規の方々も、複雑で難解になりすぎないゲームバランスで、テンポも良く、物語も入りやすくなっているということで、多くの人が楽しめるカルドセプトになりそうですね。

本日は、大宮ソフトさんの設立から始まって、様々な苦難を乗り越えて、カルドセプトが今日新作となって甦るまでの軌跡をたっぷりと伺えました。ありがとうございました。

一同:ありがとうございました。

© Omiya Soft. ©Neos Corporation
カルドセプト、Culdceptは有限会社大宮ソフトの登録商標です。

カルドセプト ザ ファースト
Copyright © 1997, 2026 Omiya Soft /

© 2026 CITY CONNECTION CO., LTD.

Music: Copyright © 1997 Yuzo Koshiro

Nintendo Switch version: Published by © Neos Corporation


カルドセプト エキスパンション
Copyright © 1997, 1999 Omiya Soft

Music: Copyright © 1997, 1999 Yuzo Koshiro


カルドセプト セカンド
Copyright 2001 Omiya Soft (Supported by Marigul)

カルドセプト サーガ
© 2006 OmiyaSoft (JAMSWORKS) © 2006 NBGI

カルドセプト

©1997-2012 Omiya Soft. ©2012 Nintendo

カルドセプト リボルト
© 1997-2016 Omiya Soft. © 2016 Nintendo


《田下広夢》
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