モノリスソフトは、対談「任天堂と歩んだ『ゼルダ』開発の15年をふりかえって」を公式サイトにて本日12月16日に公開しました。
最初は期待と不安が入り混じる状況だった
この対談は、任天堂・『ゼルダ』シリーズ統括マネージャーの岩本大貴氏と、モノリスソフト・現プロデューサーの藤田泰弘氏が、2010年から続くモノリスソフトの『ゼルダ』シリーズ開発の歴史を振り返るもの。
なかでも『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』の3作における部分受託開発について、任天堂とモノリスソフトの関係性、開発チームの変化や今後の展望などが語られています。

モノリスソフトが初めて『ゼルダ』開発に携わったのは、『スカイウォードソード』で2010年の夏頃から。モノリスソフトは任天堂グループの一員とはいえ、当時は『ゼルダ』としてデザインと企画を社外に委託するのは初めてのことで、期待と不安が入り混じる状況だったそうです。
しかし、頻繁な電話やテレビ会議での密なやり取りを重ね、開発終盤にはモノリスソフト側が任天堂に常駐するほどのコミュニケーションが築かれていったとのこと。
初めての共同作業を振り返り、藤田氏は「任天堂と一緒に仕事をすることに自信を持てた」、岩本氏は「二社が協力することによって、より大きな力をこの作品に注ぐことができた」と掴んだ手応えを語っています。

『ブレワイ』から『ティアキン』でさらに連携は強固に
続くニンテンドースイッチのローンチタイトルとなった『ブレス オブ ザ ワイルド』では、開発規模の拡大に伴い、モノリスソフトの関わり方が大きく変化。『スカイウォードソード』とは異なり、開発序盤からデザイナーとプランナーが参加し、「一緒に考え、一緒に作る」スタイルが確立されていきます。
藤田氏は「データを作るだけでなく、ゲームへの組み込み方も一緒に考え、手触りの調整まで一緒にやらせてもらいました」と、担当範囲の拡大を説明。しかし、両社で開発スタイルに違いはあったため、当初はやや戸惑ったそうです。
モノリスソフトは職種を軸に、大人数を長期的・組織的に動かすことを得意とする一方、任天堂は職種に関係なく、スタッフが意見を交わしながら試行錯誤を繰り返すスタイルになっているとのこと。藤田氏は、「お互いの得意なスタイルをいかに掛け合わせるかが、開発を通じてのテーマだったように思います」と振り返っています。

そうして続編『ティアーズ オブ ザ キングダム』では、さらに一歩進んだ協力体制へ。モノリスソフトからはプログラマーも加わり、最初から3職種が揃って開発に参加します。また任天堂は開発初期から頻繁にモノリスソフトを訪問し、チームの土台作りから一緒に取り組んだとしています。
特に重視され、キーワードになったのは「横軸連携」だったそう。岩本氏は藤田氏に対し、「責任ある範囲を担当してもらったので、新しい遊びを作る難しさや、作り切るプレッシャーもあったかと思います」と話します。
藤田氏は「ノウハウがモノリス内にも共有されていたので、立ち止まったり、迷走することは無かった」とコメント。続けて「最初から最後まで一緒に走り切った経験は、スタッフにとってもチームにとっても大きな財産になっています」とも話し、両社の“連携”が素晴らしいものであったことを改めて述べています。
最後に、今後の展望について、藤田氏は「いろんなスキルや経験値の人達が集まって、コミュニケーションを取りながら、常にベストな形を求めて変化し続けられる、そんなチームにしていきたい」と意欲を示しました。岩本氏は「『ゼルダ』を一から制作していく強力なパートナーとして、どんどん中核の部分を担ってもらいたい」と期待を寄せています。

期待と不安から始まった両社の協業は、約15年もの時間をかけて、互いの強みを活かし合う強固なパートナーシップへと進化。今後も任天堂とモノリスソフトが生み出す“ユニークなシリーズタイトル”に、ファンとしても期待が高まる対談となっています。












