「東京ドームシティ シアターGロッソ」では、ライトフライヤースタジオとKeyが贈る『ヘブンバーンズレッド』(以下、「ヘブバン」)初の舞台【舞台「ヘブンバーンズレッド」】が、2025年11月1日(土)~9日(日)の期間で公演されています。
一般公開日を迎える前日、10月31日(金)には関係者を招いたゲネプロ公演が行われていました。今回は公開前日に実施されたゲネプロ公演の様子をレポートしていきます。

◆『ヘブバン』の物語を舞台向けに再編。2章までのシナリオを濃縮
舞台「ヘブンバーンズレッド」(以降、「舞台版」)では、ゲーム冒頭部分である、第0章から第2章までのメインストーリーが舞台向けに再構築されていました。作中の印象的なギャグシーンを部分的に交えつつ、人類のために奮闘するセラフ部隊員同士の濃密な人間ドラマを描きます。

およそ2~3時間という舞台版の尺の中にシナリオを詰め込む性質上、登場するセラフ部隊員の数は限られます。例えば、第1章で主人公たち「第31A部隊」と功を争う、「第31C部隊」は、部隊長の山脇・ボン・イヴァール(斉藤瑞季さん)と、その章の鍵を握る豊後弥生(小倉愛梨さん)の2キャラクターが登場となります。
一方で、第2章から登場する「第31B部隊」では、ビャッコを含む全員が登場していました。 しかし、世界観に基づく納得できる理由付けがされていること、未登場キャラクターの役割を部分的に司令部が引き継いでいること、必要に応じた描写の取捨選択が行われていることによって、プレイヤー目線で感じる違和感はありません。

むしろ登場人物を絞ったことで、シナリオの見どころが引き締まった印象を受けました。 キャラクターやセラフ(武器)の再現度も高く、舞台ならではの躍動感溢れる戦闘描写と演出には、思わず見入ってしまう没入感があります。
取材中、カメラのレンズ交換がこれほど煩わしく感じたのは、舞台作品としての完成度が高かったからに他ならないでしょう。

セラフ部隊員の殺陣も大きな見どころでした。訓練の総仕上げとして第31A部隊の前に立ち塞がる、司令官・手塚咲(飯窪春菜さん)との戦闘描写もあります。舞台版だと、セラフを所有した部隊員同士の戦闘がより一層映えるようです。
デススラッグやロータリーモール、レッドクリムゾンといった大型キャンサーとの戦いは、スクリーン、音響、照明など、総合的な舞台効果をふんだんに用いることで死闘の緊張感を演出。ゲーム内の楽曲もほぼそのまま使われ、見せ場を盛り上げてくれます。

また、すでに告知されている通り、本舞台では劇中バンド「She is Legend」の生歌唱&生演奏も最大の見どころです。
茅森月歌役の結那さんと、朝倉可憐役の太田夢莉さんによるツインボーカルが、場内に響きます。ゲームを飛び出して、ライブツアーを巡り、今度は“舞台”という場においても活躍する She is Legend に注目です。


◆舞台表現だからこそ見えてくる、キャラクターの繊細な描写
ゲームではキャラクターの立ち絵イラストを中心とした会話劇が繰り広げられていきますが、そもそも「舞台」とは生身の人間がキャラクターを演じるもの。
ゲームを舞台作品に落とし込むとき、ADVパート主体の原作では視覚化されていない表現、言うなれば“キャラクターの体と表情の些細な動き”を、俳優の解釈によって埋めるため、そこにゲーム原作ならではの難しさがあると考えられます。

台詞に合わせたキャラクターの動きなど、原作の描写だけで足り得ない表現を如何にして埋めるのか。そうした点はファンから自然と着目されやすい点であり、言ってしまえば観客の中のキャラクター像と解釈が一致しているかが問われてくることになります。
ですが、いちファンの視点からゲネプロ公演の感想を述べるのであれば、舞台版はそんなプレッシャーの中でも、俳優によるキャラクターづくりが総じて丁寧な印象でした。原作の空気感も損なわれることなく、最初から最後まで『ヘブバン』として楽しめた、というのが正直な気持ちです。

台詞と台詞を繋ぐ演技から、会話に直接参加していないキャラクターの行動に至るまで、「この人物ならこういうことをしそう」と、ファン納得の行間の埋め方が特に秀逸です。
それは演者が、ただ原作を理解しているだけでは生まれないものであり、明確なキャラクター像を自分の中に確立していなければ成立し得ない、“表現の繊細さ”だと思うのです。舞台上で人間が演じるからこそ見えてくる、登場人物のきめ細やかな心情変化を肉眼でありありと捉えられるのは、ゲームの『ヘブバン』にない、新しい魅力と言えましょう。

主人公・茅森月歌と山脇が話している間、その場にいる他のキャラクターは何をしているのか、そしてどんな気持ちなのか。これまではプレイヤー視点では会話劇の制約上、その全てを知ることができなかったわけですが、舞台版ではそこに1つの解釈が示唆されたような心持ちでした。
舞台「ヘブンバーンズレッド」は、Blu-rayの発売が決定しています。都合が合わなかったファンからチケットを購入できなかったファン、そしてもう1度舞台版を見たいファンまで、再び舞台ならではの演出と醍醐味を楽しむことができそうです。

・茅森月歌役 結那(ゆいな)
「緊張していますが、今まで稽古で創り上げてきたからこその緊張なので、その緊張感も舞台上で生かして、大事にしていきたいです。それぞれのキャストが自身のキャラクターと向き合い続けて、やっとお客様にお見せできると思うと、とても嬉しい気持ちです。皆様をヘブバンの世界に連れていきたいという気持ちでここまでやってきたので、この G ロッソの端っこの端っこのお客様まで全部届けられるように頑張ってまいります。是非最後まで楽しんでいただきたいです!千秋楽まで全力で走りますので、どうぞよろしくお願いいたします!」
・和泉ユキ役 中野あいみ(なかの あいみ)
「見どころはありすぎてキリがないですが、それぞれが扱う“セラフ”という武器の扱い方や戦闘シーンは舞台化ならではの見どころがぎゅっと詰まっているので注目してほしいです。私が演じる“和泉ユキ”は突っ込みまくっておりますので、何回突っ込んでいるか、是非数えてみてください!私も分かりません!」
・逢川めぐみ役 込山榛香(こみやま はるか)
「普段、それぞれのキャラの絡みが魅力的だなと思って原作をプレイしていて、ゲームでは画面上で話しているキャラクター達の魅力がより良く見ることができますが、舞台では登場している全キャラクターを観ることができます!ゲームの中では見れなかった自身の推しがどんな風に生きているのかを全て見ることができるので、1 回目は全体を観ていただき、2 回目以降はそれぞれのキャラクターを観ていただき、是非何回もお越しいただきたいです!」
・國見タマ役 早川渚紗(はやかわ なぎさ)
「ちょうどこのメンバーということで、生歌唱と生演奏、そして込山さん演じる“めぐみん”のサイキックだったりと、初心者の方もいる中で、みんなで頑張って練習をして、31A と蒼井の絆も深まったので、そんな感動シーンが舞台上でどのように表現されるのか注目してほしいです!」
・東城つかさ役 星波(せな)
「本当に役者の表情や動きはもちろんですが、劇場に入って場当たりをする中で、照明や映像など舞台を構成する全てをこだわっていて、ゲームの鮮やかな画面や繊細な世界観をスタッフ全員で作り上げているので、空間全てが魅力になっています!」
・朝倉可憐役 太田夢莉(おおた ゆうり)
「今回、私だけ二面性があるキャラクターということで、どういう風に演じ分けていくのかなと気になっていました。今は“かれりん”なのですが、“カレンちゃん”になった時はフードやしっぽなどが違うので、その違いや切り替えも楽しみにしていただきたいです。“かれりん”と“カレンちゃん”が好きなお客様にもご満足いただけるように精進します!」
・蒼井えりか役 河内美里(かわうち みさと)
「いよいよ公演が始まりますが、ここにいるメンバー以外にも素敵なキャストがいて、ワールドパフォーマーの皆さんも少ないメンバーで沢山走り回って、舞台を支えてくださっています。そして素敵なスタッフさんも含めて全員で創り上げている舞台ですので、本日お越しいただくお客様が観劇くださって本当に舞台が完成すると思っています。千秋楽まで一人でも多くのお客様にご観劇いただけるように頑張ります。」
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©舞台『ヘブンバーンズレッド』製作委員会














