
ゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』(以下、ウマ娘)にて、新たな育成シナリオ「ごくらく♪ ゆこま温泉郷」(以下、温泉郷編)が2025年10月29日に公開予定となっています。
前回の「無人島編」に負けず、今回の育成シナリオも高ステータスな育成が可能、かつギミックや工夫に富んだ内容となっており、多くのトレーナーを楽しませ、悩ませてくれるはずです。
本記事では、新シナリオ公開に先駆けて催されたメディア向け体験会でのプレイレポートをお届けします。
※記事中の画像は開発中のものであり、表記される数値などは実際に公開されるものと異なる可能性があります。
◆温泉を掘削してさまざまな効果を得よう!「超回復」ができればさらに大きなメリットも
「温泉郷編」は、温泉旅館を経営している「保科健子」と「ユノハナブルーム」の2人が、自身らが経営する旅館をPRするためトレセン学園へと来校。興味を持ったトレーナーと担当ウマ娘が現地に足を運び、思う存分に休暇を楽しんだところからストーリーが進みます。
2人が訪れたURAの誇る保養施設「ゆこま温泉郷」には、まだまだ沢山の温泉の源泉があり、トレーナーとウマ娘たちはさまざまなリフレッシュ効果を得ながらトレーニングを行なっていくために、それら源泉を掘削していこうと決めます。
トレーニングと源泉掘削をつづけ、各種からバフを受けながら能力を大いに向上させ、すこしずつ旅館の評価を上げながら年に1度ある湯浴み会を迎える。これが本シナリオにおける育成の大きな流れとなっています。


まずトレーナーは、序盤の3ターン目開始時に、掘削する源泉と掘削用の装備を選ぶことになります。ジュニア級ではまず3つの源泉「疾駆の湯」「堅忍の湯」「明晰の湯」が現れ、クラシック級で4つ、シニア級で1つと合計8つの源泉を掘削することになります。
もちろん源泉それぞれに効果が違っており、源泉を掘削し終えると、みごとに温泉が噴出。その後のトレーニングで効果を発揮します。
また掘削する源泉はそれぞれ地層が異なっており、砂の地層・土の地層・岩の地層と分かれています。掘削する際に選択する装備は、これら3つの地層に対応したものになっており、Lvを上げることで対応する地層に対する掘削力が上がっていきます。また装備の強化レベルだけでなく、それぞれのパラメータや関連因子の数によって地層の掘削スピードが変化するという細かなギミックがあります。





源泉の選択と装備のレベルアップはトレーナー(ユーザー)側に委ねられており、どの源泉を掘削するか、どの装備を強化するかは自由です。どの源泉がどの地層なのかは画面上に表示されているので、地層に合わせて掘削する装備を選択(強化)し、ゲームを進行することをおすすめします。
たとえば砂の地層で構成された源泉を掘削する際、岩の地層を掘削する装備ばかりを強化して臨んだ場合、掘削する効率が下がり、源泉から得られる効果を獲得するタイミングが遅れてしまい、育成そのものに大きな影響を与えてしまいます。大きなバフ効果を与えてくれる源泉ですので、掘削はできるだけ効率よく進めたほうが良いように感じました。


ここまで聞くと前回シナリオ「無人島編」を思い起こさせますが、このシナリオ育成でもっとも特徴的なのは、温泉入浴になります。トレーニングしながら掘削した温泉には、ウマ娘本人が入浴することが可能。体力回復・やる気アップ・一部の悪いコンディションの解消をターンを使うことなく得ることができ、2ターン限定でトレーニング効果をアップさせます。


温泉に入浴するには、温泉入浴券が1枚必要になります。温泉入浴券は初回の源泉選択時や、源泉を掘削しおえたタイミング、夏合宿の直前、最後の湯浴み会後、今回シナリオのみに現れるコマンド「PR活動」など、道中さまざまなタイミングでゲットするチャンスがあります。もらえる枚数については「保科 健子」のサポートカードの編成有無によって変わります。なお、「SSR[ゆるり、ゆこま旅館]保科 健子」を編成しているとより多くの入浴券を獲得できます。
こうしてみただけでも超強力だと分かる温泉入浴ですが、トレーニングなどで一定量の体力を消費することで、温泉入浴で「超回復」という特殊な効果を発揮できる状態になります。
超回復は、温泉入浴で得られる体力回復よりもさらに回復量が多いだけでなく、スキルポイントが獲得でき、編成しているサポートカードからスキルヒントもゲットできるなど、ただでさえ強力な温泉入浴の効果からさらに輪をかけて強力なバフを与えてくれます。
この超回復はいつでもどこでも発生できるというわけではなく、体力を一定量消費することで発生確率があがり、その後体力消費するごとに「超回復」が発生しやすくなっていくというシステムになっています。つまり、ジュニア級やクラシック級序盤では発動しにくいですが、シニア級後半になると「超回復」が発動しやすい、といえばわかりやすいかと思います。

今回登場する友人サポートカード「SSR[ゆるり、ゆこま旅館]保科健子」は、前述した「入浴券の獲得枚数が増加する」に加えて「確率的に超回復しやすくなる」という、まさに重要なポイントをカバーするカードとなっています。今回のシナリオをフルで楽しむには、是が非でもゲットしたい1枚といえるでしょう。

夏合宿に参加している7月8月、またURAファイナルズ開催期間は温泉掘削は進行されませんが、温泉入浴はできるので、特に夏合宿に入っている4ターンでは温泉入浴から練習コマンドを踏みたいところです。
PR活動と温泉入浴は今回のシナリオで導入されたコマンドで、選択時に流れる演出も新たに撮影&制作されたものになっています。ふだんのプレイで見られる温泉入浴シーンとはまったく異なるものとなっており、初プレイ時にはスキップで飛ばしてしまわぬように、じっくりと見て楽しむのも良いでしょう。


また新育成シナリオにはかならず登場してきた新曲ですが、今回の新曲は昭和を感じさせるスローでバラッドな歌謡曲。また温泉ということもあり、「温泉施設の宴会会場でウマ娘が昭和歌謡を歌う」という構図になっています。センチメンタルどころかノスタルジックなムードがムンムン、今までのウマ娘楽曲や歌唱シーンとは一線を画すシーンはトレーナーたちを驚かせます。
数時間ほどの体験会を通して気付いたのは、「採掘した温泉にどのタイミングで入るか?」という点が重要になること。
最大3枚まで手元に置いておける温泉入浴券ですが、使用するのを渋っていると新たに獲得できるはずだった温泉入浴券ができずに、余ってしまう(溢れてしまう)ことになります。
上記のように入浴券をゲットできるタイミングはある程度わかりやすいですが、新育成シナリオに慣れていないうちは、大事に取っておくのではなくタイミングを図りながら気軽に使っていくのもアリではないかと思います。

また温泉入浴をすると基本的に体力が半分近く回復するため、賢さカードを踏むタイミングを逸してしまいがちになります。今回筆者はハイランダー構成(各種サポートカードを1枚ずつ)に加え、「SSR[ゆるり、ゆこま旅館]保科健子」を使って育成しましたが、最初はかなり歪なステータスができあがってしまい、勝手がわからず「どうすればうまいこといい感じに育成できるんだ?!」と焦ってしまいました。
とはいえ、「どうすれば良い形でステータスをあげ、ウマ娘を育てていけるか?」と探っていくのは本ゲームの醍醐味といえるところ。体力回復と悪いコンディションの解消が普段のシナリオよりも簡単に行えるのがこのシナリオのオリジナリティであり、焦ることなく何度もプレイすれば、「無人島編」と同程度のハイステータスな育成がおこなえると思います。

◆リハビリセンター・地方・ケガを描く「温泉郷」編
今回新たに登場した「ゆこま温泉郷」は、劇中では「バスで約1時間ほどの距離にある」「山の中にある」ということ以外、場所にまつわる情報はかなり薄い状態です。
とはいえ、現実の日本競馬に当てはめてみると、福島県いわき市にある競走馬リハビリテーションセンター(常磐支所)や北海道函館市の函館競馬場にある温泉療養施設など、現在も運用されているリハビリセンターはさまざまあり、作中の「ゆこま温泉郷」もウマ娘の休養・保養所、そしてケガを負った際のリバビリ施設として描かれています。

またこれはあくまで筆者の個人的な見解とはなりますが、「ゆこま」という地名は、福島県いわき市の競走馬リハビリテーションセンター(常磐支所)の近くにある「湯本」から名付けられたのではないでしょうか。
アニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』第4話のなかでは、キタサンブラックが特徴的な形の温泉に浸かってリハビリに努めていますが、中山レース場へと走って向かうシーンではいわき市や松戸市と綴られた交通看板などがあり、より元ネタをオマージュかつ意識した描写があります。
今回の新育成シナリオが予告された時、「ついに来たか」などと筆者は感じていました。じつはわたくし、生まれ故郷が福島県いわき市。幼い頃に日曜夕方に放送されていたJRAのGIレースを見ていたこと、趣味としてアニメや漫画が好きだったことが繋がり、現在はこうして『ウマ娘』関連の特集記事を執筆させてもらっています。
そのうえで、地元からほど近い湯本・常磐にある競走馬リハビリテーションセンターをモチーフにした新育成シナリオが登場。正直いつかは何かしらで描かれるかもしれないと思っていたのですが、ついにきた!と震えてしまったわけです。
またこれは完全に偶然なのですが、今年の正月に里帰りした際に「ほな、ちょっと車飛ばしてもらってリハビリテーションセンターまで行ってみようか……」と姉とともに現地へと足を運んでおり、現地の雰囲気を堪能。そういったこともあったので一段と驚いてしまいました。


本シナリオや登場するウマ娘を改めてチェックしてみると、ディープな競馬ファンもしくは『ウマ娘』をよくプレイしているトレーナーなら気づくことがあるはず。
今回の「温泉郷」編のなかでメインにシナリオリンクキャラとしてピックアップされている、トランセンド、ワンダーアキュート、ホッコータルマエ、トウカイテイオー、ミホノブルボンのうち、モチーフとなっている競走馬のトウカイテイオー号とミホノブルボン号はその競走馬人生のなかで大怪我を負い、いわき市にある競走馬リハビリテーションセンターで療養に励んだという過去があります。
また、劇中シーンのなかで端役として登場してくるウマ娘たちには、オグリキャップ、テイエムオペラオー、ファインモーション、ノーリーズン、デアリングタクトといった面々がいます。こちらもお察しの通り、モチーフとなっている競走馬が実際にリハビリセンターで療養をした過去を持っている点で共通しています。特にオグリキャップに関しては、マンガ『ウマ娘 シンデレラグレイ』のなかで近しい描写が描かれていることからも、ご存じの方は多いはずです。


今回のシナリオでは、「ゆこま温泉郷」が推し進める保養や回復、なによりウマ娘の健康を軸にしながら日々の練習をこなしていこうというメソッドが彼女たちに広まっています。その中で印象的なのは、シニア級の途中で温泉街にやってくる"ケガをしたウマ娘"にまつわるストーリーです。
無茶なトレーニングをしすぎた結果ケガしてしまった彼女は、療養に努めるために「ゆこま温泉郷」へ訪れます。彼女をサポートしようと頑張るミホノブルボン、トウカイテイオーとともにその復帰レースを見守りますが、とある出来事がキッカケで彼女のケアにより努めていくようになります。描かれる切ない感情は、物語を一気にクライマックスへと進めていきます。
また「ゆこま温泉郷」は、一時期は大きな人気を集めていましたが、現在はとある理由からすこし寂れた街として描かれています。寂れた理由を知れば、「それはそうあってほしい」という納得できる理由でありつつ、やはり淋しさは拭えません。


筆者は今回の体験会で、シナリオリンクキャラであるホッコータルマエを使ってプレイしました。彼女と言えば北海道・苫小牧の観光大使として活動するローカルアイドルウマ娘であり、郷土愛・地元愛では作中でも指折りです。
じつはストーリー序盤においてホッコータルマエは、寂れていた温泉街を復興する"町おこし"に力を注ぐ、心温まるストーリー展開となっています。
新育成シナリオ「温泉郷編」は、「休むことがトレーニングの効果を高めるもっとも一番の近道」という言葉を地で行くような内容とゲームシステム(ギミック)で、これまた多くのトレーナーを楽しませてくれそうな予感がしています。
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