
2025年7月22日から24日かけて、パシフィコ横浜 ノースにてゲーム技術者やコンピュータエンターテインメントのエンジニアらを対象とした、国内最大級のカンファレンス『CEDEC 2025』が開催されました。
12会場に分かれて数多くの講演者が登壇・講演を行なっていくなかで、24日にカバー株式会社のクリエイティブ制作部で活動する平野晶麗さん、株式会社スピンが運営するクリエイティブチームTxDにて活動するよしだたかゆきさんと泉次雄さん、計3名による講演が行なわれました。
リアルタイムで行なわれるVTuberのライブ。その中で描かれるトゥーン表現を駆使した実在性のあるライティングと、ステージの実照明とCG空間の照明を高度に同期した照明演出について、3人は話してくれました。



よしださんと泉さんは別々の会社に所属しつつ、TxDのチームの一員としてカバー社が手掛けるホロライブの現地ライブに携わっており、舞台演出側からの視点で今回は話をしていくと説明しました。
講演は、リアル(現地会場)ライブにおけるUnityのライティングシステムや現場の事例、照明の作り方などについて、後半はARライブにおけるライブシステムや照明計画について、それぞれ話題を分けて進めていきました。


2つの内容に入る前に、平野さんは「そもそもライブの魅力は何なのか?」という原点から話を切り出しました。
ライブの魅力というのは主に3つ。
・タレントご本人のパフォーマンス
・タレントとファンが一緒の空間で作り上げるドラマ(体験)
・多種多様な領域のプロフェッショナルが掛け算的に組み合わさってうまれるライブ演出
この3つではないかと平野さんは話します。
よしださんは平野さんの話に頷きつつ、ライブを通して観客側の感情の揺れ動き・抑揚を技術的にかつテクニカルに計画設計をしているが、そんな計画を遥かに上回る感動が訪れる……「ライブは生き物なんだ」と話しました。

平野さんはつづけて、ライブにおける照明システムは、タレント本人を彩るお化粧のような存在だと話します。曲のテーマや世界観を表現する演出、ライブに来たお客さんを非日常空間へと没入していくための役割もあります。
加えて泉さんは、どんな広い会場であってもタレント本人と観客が同じ場所・同じ時間を過ごしている感覚を強く持たせ、一体感をつくっていくことが重要で、そこで照明が果たす役割は大きいと語ります。だからこそ、「バーチャルアーティストの実在感」というものを大事にして照明を作っているとも話しました。
