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先行プレイレポのため、本稿にはネタバレになり得る情報が含まれます。
今回はマーベラスが、2025年6月5日に、Windows PC(Steam)/ ニンテンドースイッチ/ ニンテンドースイッチ2向けにリリース予定のファンタジー生活ゲーム『龍の国 ルーンファクトリー』をご紹介します。
本稿の執筆にあたり、PC版のキーをいただいたので早速プレイ。まだまだ序盤ではありますがそれでも、長らく据え置き機で苦戦してきた本シリーズが、念願かなっての遊びやすさに到達したかのようなプレイフィールで、いちファンとしてはとても嬉しいものでした。また本作がシリーズ初体験というプレイヤーでも、安心して楽しめる作りになっていると思います。
『龍の国 ルーンファクトリー』とは?

本作は、神々が失われた国こと「アズマ」を舞台に、ひょんなことから里に流れ着いた主人公が周囲の人と力を合わせて生活していくアクションADV。もともとは牧場物語の外伝ものとして始まった『ルーンファクトリー』は、間もなく20周年という長い歴史を持つシリーズの最新作です。

個人的な話で恐縮ですが……筆者は『ルーンファクトリー3』で本シリーズに出会い、そこから時期は多少前後しつつもほとんどのシリーズタイトルに触れ、iモード用アプリの『ルーンファクトリー外伝』でタバサさんに狂うなどしてきました。
そのため『3』と『4』のリマスター(?)がリリースされた時には狂喜乱舞して記事を書き散らし、涙を流しながら大好きなキャラクター達の「その後の物語」を味わっていました。幸せなひとときでした。

その一方で、正直なことを申し上げると、初動で惜しい点が多かった前作『ルーンファクトリー5』でのプレイ体験から、本作が発表された時は、ちょっとだけ身構えている自分もいました。バグなど課題の多かった初代や、おのれルーニーなフロンティアも楽しんではいましたが、それはそれとして。

んが、『龍の国 ルーンファクトリー』はそんな筆者の懸念・取り越し苦労を打ち砕き、想像以上のクオリティと遊びごたえを届けてくれました。3や4で完成をみせた「面白さの核」を受け継いで伸ばしつつ、そこへ3Dゲームならではの新しい試みを盛り込んだことで、ルーンファクトリーの世界をさらに広げることに成功したと言えましょう。
操作・設定・言語について

今回はPC版をプレイしているので、操作系はコントローラーだけでなく、キーボード&マウスにも対応しています。コンシューマ機をベースにしているためか、設定項目はオーソドックスな並びです。

……と、思ったらグラフィックスにPC版ならではの項目がもりもり並んでいました。フレーム生成とな。ここらへんは、使用するマシンスペックに合わせて適宜設定していくと良いでしょう。

言語はもちろん日本語にバッチリ対応しています。イベントシーンの会話も基本的にフルボイスでとても贅沢な作りです。ただ……これは筆者の環境でだけ発生するのかもしれませんが、音声読み込みが終わるまで「セリフの先送り」ができなかったので、待ち時間数秒とはいえ連続するとちょっとストレスでした。
丁寧なチュートリアル

さあ始まりました『龍の国 ルーンファクトリー』。新規ゲームから主人公キャラを選択して、生まれた月日の質問に答えると、オープニングイベントが始まります。


2体の龍によるドッグファイトが流れ、パッケージイラストも飾る主人公2人が映されます。なにやら敵対しているようですが、一体どういう関係性なのか。

……というところで夢オチからのゲーム序盤が始まります。『ルーンファクトリー』シリーズのお約束といえば、行き倒れて記憶喪失になるのが基本ですが、はたして本作においても主人公は記憶を失っていました。

ただしこれまでのシリーズとちょっと違う(?)のは、主人公が記憶を失ってからある程度の日数が経過している点。すでに現地住民とはある程度の関係性が出来上がっているようで、住民との会話から、自分が置かれた状況が浮かび上がってくるので、これはこれで良い導入でしたね。

チュートリアル部分の進行には若干の不満が残りました。前述のボイスの読み込み時間も含め、序盤はイベントが立て続けに発生するため、テンポが悪く冗長に感じられます。確かにスキップ機能は実装されているものの、通常プレイで約40分もの時間を要するのは、プレイヤーにとってストレスとなりかねません。

そのためキャラクターイベントなど一通りのゲーム要素の案内が終わって、さあ自由にプレイできるぞーとなるまでの体感が長かった……!丁寧な進行であること自体には不満はありませんし、ゲームを止めてしまいたくなるほどの問題でもありませんが、基礎をある程度把握しているシリーズの既存プレイヤー向けの短縮版の導入もあったら、と思わざるをえません。
シリーズの要素がさらに進化

『ルーンファクトリー』シリーズといえば、ファンタジー生活でスローライフ。土を弄り作物を育て、ダンジョンに潜りモンスターをしばき、住民と交流を深めていく……という一連の流れのなかでプレイヤーはそれぞれの物語が生まれていきます。
まあスローライフだっつってんのに最速で過酷な労働に走り出す農民が後を絶たないのですが(自分も駆け出しながら)。

本作でも基本的にはその流れを受け継ぎつつ、しかしそれぞれの要素がさらに進化しています。マップ内のワープ移動など細かいところも本当によく手が届いており、新しいシステムもただ単に取り入れたのではなく、本作に合わせて遊びやすくしているのが好印象です。

その上で、全体的に見れば、キャラクターゲームの部分をより前面に押し出したようなバランスになっていました。
便利になった畑作業まわり

畑仕事はシリーズではお馴染みの要素で、本作の核となる面白さの一つでもあります。畑を耕して種を撒き、水をやって成長を待ち、作物ができたら収穫。それらを出荷して利益を得つつ、同時に入手した種をまた畑に撒いて……というサイクルですね。

シリーズ作品それぞれで微妙に味付けの異なる畑まわりのシステムは、『4』で完成を見せたと個人的に思っていたのですが、本作ではさらに踏み込んで「速さ」の方向を突き詰めています。

例えば、畑でキャラクターを移動させ、マス目にカーソルを合わせて各操作入力をしていく……という従来のスタイルはそのままに、本作では、モードを切り替えることで上空から畑全体を俯瞰して「一気に作業を完了させる」こともできるようになりました。手作業だとサク……サク……なのが、このモードだとズババババババ!と仕事が終わります。

収穫も、これまではマス1つに作物1個をひとつずつ手作業で収穫していくスタイルだったのが刷新され、1マスから複数の作物をまとめて入手できるようになりました。しかも鼓の舞によって作物の成長を促進させ、収穫までの日数を短縮することも可能に。ぐんぐんグリーンに頼らない無農薬栽培に革命が起きました。

個人的に、これまでの作物をサク……サク……して重ね持ちしていくような「手作業感」が好きだったので、本作は土いじりの感覚が減ってちょっぴり寂しかったりします。ただそれはそれとして、システム的にはめちゃくちゃ便利なのでありがたい。鼓をポンポンして新芽がピョコピョコ出てくるのも視覚的に気持ちが良いですしね。

その一方で、これまではクワをはじめとする農具で好きなだけ畑を耕せたのに対して本作は、「素材を消費して畑の地形パネルをクラフトして設置する」直感的でない方式なのが少々不満でした。

プレイに支障があるほどではないものの、いちいちモコロンを呼び出して項目を選択してクラフトするというのはもどかしさを感じました。ええい、その手に持ったクワはなんのためにあるのか。かつての主人公ラグナさんは行倒れて記憶を落っことした代わりに水をかけられ、さらにクワとカブの種を渡され滅私奉公の生活が始まったんですよ(錯乱)。
里を発展させよう

チュートリアルを乗り越えると、アクセスできる要素が増えていきます。もちろん引き続き、ゲーム側からある程度の誘導はされますが、自由度が増してからが本作の面白さが際立つ部分。



そんな中で、「里の発展」という要素は、シリーズの中でショップオープンなど似たような方向性のシステムはあったものの、建物を設置することで「里のパラメータ」および「キャラクター性能」に数字で影響を与えるのは本作が初めてなはず。


新しく住居を建て、さらに鍛冶屋などの施設を開けば、里の人口も増えていき、畑仕事や素材採集を頼むこともできるようになります。『4』における「王子ポイントでオーダーを重ねることで最終的に国の人口を増やすシステム」をさらに磨いて発展させたものと言えるでしょう。

そして今この文章を書きながら当時、ゲストキャラを故郷へ帰さないようオーダーで引き止め続ける王子プレイしてたのを思い出しました(暴君)。
ダンジョンは主に素材集めの場所

ダンジョンではモンスターと戦闘しながら、探索しつつアイテムを集め、最奥にて待ち構えるボスを張り倒すことが目標となります。戦闘については後述するとして、アイテム集めは里の発展にも関わってくるため重要です。

ゲームの進行によって、何かと木材や石材などの素材アイテムが必要になってくるので、普段からダンジョンに潜って素材をストックしておくと良いでしょう。


そういった素材は、ダンジョンのマップ内に点在する岩や木などから取得できます。オブジェクトに向かってボタン押しっぱなしで作業が楽ちんなのもグッドポイント。過去シリーズでもダンジョンでは、こういう楽しさがありましたが、本作はより素材が集まりやすくなった印象です。

ただ、枯れた桜の木を舞で強制満開にさせたらナタを振り下ろして木材にしたり、お地蔵さんを掃除しては備えられたおにぎりを失敬したりするムーブには若干の狂気を感じました。まあそこは脈々と受け継がれてきた『ルーンファクトリー』シリーズの伝統(?)とも言えます。

これまでのシリーズではどんな変なことを…?と思った方はぜひ過去作もプレイしてみてください。ミスト様にカブを渡して奉公しましょう(どこまでも澄んだ瞳)。
よりアクション性が増した戦闘

本シリーズの戦闘のバランスはプレイヤーの難易度設定による部分はあるものの、基本はカジュアル路線です。『3』以降は主人公が育つにつれて戦闘力のインフレがおきはじめ、雑魚敵に物足りなさを覚えたプレイヤーが、激しい戦いを求めて迷宮に籠もるといったこともありましたが、いたってカジュアル路線です。

本作でもカジュアル路線はそのままで、特に難しい操作を要求されることはないので、様々な武器・装備を試しながら自分にあった戦闘スタイルを構築していくと良いでしょう。個人的に新鮮で楽しかったのが、これまで主な遠距離攻撃手段だった魔法に代わり「弓」が登場したこと。

結構遠くから狙えてしかもそこそこ強い。序盤だと雑魚敵を一撃で倒せる火力だったのでなかなか面白い新要素だと思います。

アクション性の進化はボス戦で顕著で、ダウンゲージの管理が重要になってきます。敵の攻撃に合わせたジャスト回避や、属性攻撃によってゲージを削り切ると、敵の動きがスローになり、無防備になった敵へと攻撃を叩き込めます。

この時、通常攻撃のコンボでも良いのですが、溜め攻撃のほうが一撃の与ダメージが大きいのでおすすめです。そのためにも、積極的にスキルを使用して武器スキルを解放していくと良いでしょう。

ただこれだけはどうしても言いたいのですが、過去シリーズと比較して武器の付け替えまでの手間が大幅に増えています。事前に指定したメインとサブの武器の間の切り替え自体はボタン一つで行えるのですが……それぞれの枠の武器自体を変えようとすると一気に複雑に。装備ホイールで切り替えられる神器に対して武器は、毎回メニューを開いて身支度を選び、そこから装備変更を選んではじめて付け替えが行えます。

また、構えて狙いを付けるといった操作が用意された弓についても、せっかくならメイン・サブと別枠の装備にしてくれたら、戦い方の幅がさらに広がりそうでした。そのあたりはアップデートにも期待でしょうか。
スキルポイントもやり込み要素強め

戦闘を通して得たスキルポイントを消費することで主人公を鍛え、新しい技などを習得していくのが本作の成長システムです。それにより、やり込み要素が大幅に上がっています。

一方で、スキルポイントはそのカテゴリ専用のものと、汎用で使えるものとが共存している状態で、汎用ポイントだけで良かったんじゃないのかね?と思ってしまう人もどうしてもいそうです。


また、スキルツリーに並ぶ項目は、武器であればスキルと体力上昇などのステータスアップが入り組んでいる作りです。そのため、複数のスキルが同時に上昇することもあった過去作と比較して、本作は能力を伸ばしていくことが少々難しくなっています。これは人によってはもどかしさを感じるかもしれません。
個性豊かな住民たちとの交流

本作の醍醐味でもある住民たちとの交流……彼らと会話をして、時には贈り物をして交流を深めていくという、シリーズの基本的なシステムは本作でも同じです。

会話画面の演出はシリーズを通して様々な試行錯誤が行われてきました。基本はイラストによる立ち絵でしたが(Live2Dが導入されたりも)、時代が進み技術が高まったおかげで、本作では3Dのまま違和感なく動きまで表現されるように。表情や仕草がコロコロ変わって、キャラクターたちは生き生きとした動きを見せてくれます。

彼らも生活があるので、一日の中で里を自由に歩き回る様子(お店には必ず誰かいるので安心)を眺めるだけでも楽しいものです。

すれ違いざま挨拶代わりに舞を踊って好感度を稼げるのですが、個人的には「あいさつの魔法」で声をかけたいなーなんて。ここここここんにちは、いらいらいらいらいらっしゃいませ。

交流コミュニケーションには何段階かあり、会話・贈り物などからお出かけなど様々です。一緒に過ごす際に行えるアクション(?)も、前述のスキルポイント使用で解放されるのですが……「手を繋ぐ」とかそれ以上の行為がアンロック式なのはなかなかにシュール。……なんだか汎用ポイントがいかがわしい意味に聞こえてきm(カブに剣が刺さった画像)。

彼らとの絆レベルが上がると、ダンジョンに一緒に出かけて戦闘もこなしてくれるようになります。仲良くなった住民最大3人でパーティーを組むことも可能です。

編成画面から、武器・装備を整えることができるなど、パーティープレイはなかなかどうして本格的で楽しく、そして今から水着装備での冒険が楽しみでなりません。なんですかうららか様どうして弓を構えて私の眉間を狙うのですかむちぷり様。

しかもダンジョン攻略の道中、キャラクター同士で掛け合いが発生するのでもうね……関係性が見えて尊いと言いましょうか……台詞の多さといい(設定から発生頻度が調整可能)、こういう細かいところにまでこだわってくれるのはね……ほんっと最高でしてね……(感無量の涙を流しながら)
あと、まだ出会えていませんが、『天穂のサクナヒメ』とのコラボでおひいさまも登場するんですよね。大好きなゲームシリーズに、これまた大好きなゲームのキャラクターが登場して筆者の情緒は乱高下の末にきりもみ回転を挟んでもうおしまいです。ありがとうございました。
濃密な生活

ところで執筆しながら気づいたことが一つあります。まだゲームを始めて序盤なのに、だいぶ濃密なプレイ体験をしているね?と……。チュートリアルで時間がかかったとはいえ、3-4時間ほど遊んでまだ春の5日くらいですよ?

なのにもうダンジョンでボスしばくわ、住民と一緒にお出かけついでにボスをお仕置きするわ、店や建物を建てる素材集めのためにボスを八つ裂きにするわという状態です。鼓を鳴らしまくって畑仕事も順調ですし、里の人口も増え順風満帆、うららか様は本日もむちぷりです。
ここらへんのプレイフィールには、記事冒頭でも少し触れたシリーズお馴染みのスローライフ(過労)を思い出すような感覚です。やれることがいっぱいあって楽しい、でも時間が足りない。遅寝早起きの過酷な毎日をすごすうちに気づけば主人公が強くなりすぎて、ボスがチョコレートよろしく溶けて「つ、強すぎる……」みたいな。
何はともあれ話をまとめると、本作は、操作にまつわる部分を中心としたUX(ユーザーエクスペリエンス)に小さなストレスはあります。しかし全体的に「これまでやりたくても、やれなかったこと」が払拭され、間違いなくシリーズを代表する最新作として文句なしの出来栄えだと思います。

何よりキャラクターとの交流、農作業、里の発展、戦闘など要素のすべてがひとつの輪としてつながっているのです。プレイヤーの行動がゲームを何かしら前進させるというのは、シリーズがこれまで大切にしてきたゲームの核であり、本作においてもそれがしっかりと受け継がれていたのが何より嬉しさを禁じえません。

そんなファンタジー生活ゲーム『龍の国 ルーンファクトリー』は、2025年6月5日に、Windows PC(Steam)/ ニンテンドースイッチ/ ニンテンドースイッチ2向けにリリース予定です。
通常版以外にも、豪華特典もついたデラックスエディションが用意されているので、詳しくは公式ウェブサイトをご確認ください。
タイトル:『龍の国 ルーンファクトリー』
対応機種:Windows PC(Steam)/ ニンテンドースイッチ/ ニンテンドースイッチ2
記事におけるプレイ機種:Windows PC(Steam)
発売日:2025年6月5日
著者プレイ時間:4時間
サブスク配信有無:無し
価格:
Windows PC(Steam)/ ニンテンドースイッチ
通常版(パッケージ/ダウンロード) 7,678円
デジタルデラックスエディション 9,328円
プレミアムデジタルデラックスエディション 11,528円(税込)
ニンテンドースイッチ2(パッケージ/ダウンロード) 8,678円
※製品情報は記事執筆時点のもの
スパくんのひとこと
長らく据え置きで苦戦していたシリーズが、念願かなってのバランスと遊びやすさに到達した手応えがあるスパよ