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まさかの令和にスイッチ2ローンチタイトルとして『サバイバルキッズ』が復活した背景とは?Unityが開発を手掛けた理由も聞いてみた

前作から17年ぶりに登場する『サバイバルキッズ』シリーズ。一体なぜ、このタイミングなのかを開発陣に聞きました。

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まさかの令和にスイッチ2ローンチタイトルとして『サバイバルキッズ』が復活した背景とは?Unityが開発を手掛けた理由も聞いてみた
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まさかの「サバイバルキッズ」シリーズが、17年ぶりに帰ってくる…しかも、ニンテンドースイッチ2のローンチで。

無人島に残された少年少女が、生き残りを賭けたサバイバルを展開していく「サバイバルキッズ」シリーズ。 “キッズ”がやるにはあまりに過酷すぎる展開のゲームですが、シリーズはかなり早い段階で今、人気のジャンルであるサバイバル&クラフトを手掛けていたと言えます。

1999年に第1作『サバイバルキッズ 孤島の冒険者』がゲームボーイカラーでリリースされた当時、ゲームでサバイバルのジャンルは比較的珍しいものでした。シリーズはその後、ニンテンドーDSやWiiのほか、関連作がモバイルゲームなどで続編が制作されていきます。ですが、コンソールで展開された2008年の『サバイバルキッズWii』を最後に、シリーズの新作は音沙汰がなくなっていました。

それからしばらく経った後、世界はサバイバル&クラフトのヒット作が数多く生まれ、いまもまた人気を得続けています。そんな時代に、なんと『サバイバルキッズ』がスイッチ2で新作として登場するのです。

驚くのはシリーズの復活だけではありません。ゲーム産業としてもある開発体制となっていることもトピックスになりました。それは、本作の開発にゲームエンジンの大手・Unityが参加していることです。同社はUnityの最新バージョンであるUnity 6を使用し、なんと直接開発を手掛けていることを公式に発表しています。普段、ゲームエンジンの運営に特化していた同社がゲーム開発を手掛けることも、興味深い動きと言えるでしょう。

果たして、2025年に『サバイバルキッズ』を復活させる意図とは何か?ディレクターを務めたKONAMIのRichard Jones氏、そしてUnity Studio ProductionsのAndy Dennision 氏にメールにて本作の狙いを伺いました。

前作から17年ぶりの新作が企画された理由

――今回、『サバイバルキッズ』が前作『サバイバルキッズWii』から17年ぶりに新作が作られることに驚きました。どのように新作の企画が立ち上がったのでしょうか。

Richard Jones氏(以下、Jones): 17年も?思ったよりずっと長いですね!

『サバイバルキッズ』の魅力の一つは、子供たちが無人島に漂流する物語という王道の冒険テーマだと考えています。子供たちのサバイバルや探検といったものの想像力を奮い立たせ、友達や家族と一緒に冒険を楽しんでいただけるものです。時代を超えて改めて最新作で遊ぶ価値のある、充実したテーマだと感じています。

企画段階から、新しいことをやりたかったし、マルチプレイ対応のゲームにしたいと考えていました。一緒にサバイバルするというアイデアは、新たなダイナミズムを加えつつ、遊び場や遊び方を提供できると考えています、是非この活気ある世界で冒険を楽しんでもらいたいです。

――あらためまして、「サバイバルキッズ」シリーズがどんなふうに始まったかを教えてください。本シリーズは実に25年以上の歴史を持つシリーズですよね。コンソールでかなり早くにサバイバル&クラフトのジャンルにチャレンジしていたのが興味深いです。

Jones: 『サバイバルキッズ』シリーズが始まった当時、私はKONAMIに在籍していなかったので詳細な背景についてはコメントできませんが、おっしゃる通り、ゲームボーイカラーの「サバイバルキッズ」はコンソール向けに発売となった初期のサバイバルゲームの一つであり、多くのファンに注目されたタイトルとなりました。

シリーズを通して「サバイバルキッズ」はサバイバルゲームの限界をさらに押し広げたと感じており、この一つのジャンルを改革し続ける精神(スピリット)は新作の『サバイバルキッズ』を開発する際にも念頭に置いて取り組みたいと考えていました。新作の『サバイバルキッズ』はハードコアなサバイバルゲームではありませんが、その精神(スピリット)で、ソーシャルで現代的な要素を加え、楽しさを重視したマルチプレイ推奨のサバイバルゲームとして進化させました。

――今、サバイバル&クラフトはPCを中心に多くのプレイヤーが集まる人気ジャンルのひとつですよね。今回、その世界的な人気が新作が開発する背景としても大きかったのでしょうか。

Jones: 確かに、このジャンルは近年爆発的に人気になりました。しかし、私たちのアプローチはこのテンプレートに沿うものではありません。オリジナルのテーマ、探検、建設、無人島でのサバイバルに焦点を当て、それを誰もが楽しめるようにしたいと考えました。多くのサバイバルゲームは過酷で厳しいものですが、私たちはその方向性から離れ、ガイドブックや40時間のプレイ時間が必要ない、一緒にプレイして楽しめるゲームを目標に開発しました。

――不勉強ながら存じておらず、恐縮なのですが、「サバイバルキッズ」シリーズ自体は海外のプレイヤーからの人気も高かったのでしょうか。

Jones: 欧州では『Stranded Kids』シリーズとして知られ、後にNintendo DSとWiiで『Lost in Blue』シリーズとして発売しています。また、米州などの地域でも「Survival Kids」シリーズとして発売していたので、一定の世代のファンは確実に覚えているでしょう。ちなみに、私は複数のタイトル開発に携わりました。

私たちは常に新しい世代のお客様に「サバイバルキッズ」シリーズを触れていただくことに注力しており、新作『サバイバルキッズ』の本質はまさにそこにあるのです。単なる懐かしさをなぞるのではなく、オリジナルのエッセンスを新しい世代に伝え、新たな体験を提供することを目指しています。

――スイッチ2のローンチタイトルとして、本作をリリースするということにも驚きました。本作は当初からローンチを意識して開発が始まったのでしょうか。

Jones: 最初はそうではありませんでした。開発の初期段階では、無人島を舞台にしたマルチプレイアドベンチャーゲームとして、幅広い人々にお楽しみいただけるように開発していました。開発が進むにつれ、ニンテンドースイッチ 2に関する情報が次第に明らかになり、コンソールの内容と私たちのビジョンが一致していることが分かり、ニンテンドースイッチ 2のローンチタイトルとしての発売を決定しました。

――スイッチ2ならではの機能を生かしたゲームデザインの見どころはいかがでしょうか。

Jones: オフライン/オンライン上でのマルチプレイはこのゲームの核心です。ニンテンドースイッチ 2の新しいソーシャル機能について知った時、本当に興奮しました。特に「ゲームチャット」は完璧に『サバイバルキッズ』の目指すものにフィットしていると感じました。

なぜなら、コミュニケーションを取りながら協力し合い島から脱出を目指す本作は、この機能を使用することでその体験を大幅に向上することができるからです。さらに「おすそわけ通信」は、同じ部屋にいる友達や家族が一つのソフトを共有して異なるデバイスで一緒にプレイできる機能で、マルチプレイの新たな可能性を展開しました。ニンテンドースイッチ 2 は私たちが目指していた体験をまさにサポートしていると感じています。

――開発では、他のサバイバル&クラフトジャンルのタイトルも意識されましたか。

Jones: サバイバル&クラフトジャンルは巨大であり、他タイトルの存在は認識しています。しかし、私たちの目標はクラシックなサバイバルゲームを作ることではなく、手軽さや協力プレイを重視し、様々なプレイヤーにとってより親しみやすいものにしたいと考えていました。そのため、他の作品がどのようなものか知ってはいましたが、異なるゲーム内容で開発しました。

ゲームエンジンの大手・Unityと共同開発した背景

――今回の『サバイバルキッズ』はUnityと共同開発することも大きなトピックスとなっています。どういったかたちでKONAMIとのコラボレーションが実現したのでしょうか。

Andy Dennision氏(以下、Dennision): 私は開発者がビジョンを実現するための支援を行う内部チームUnity Studio Productionsの一員です。長年、ゲーム開発者の目標達成、プラットフォームの移植、ゲーム全体をUnityに移行する支援を行ってきました。

また、広範な生産検証をカバーするプロジェクトの一環で、チームを編成し、ゲーム全体の作成を目標として動いていました。Unityが既にKONAMIと良好な関係を持っていたため、今回の共同開発について話し合いがすぐ行われました。

Jones: Unityはマルチプレイと協力プレイに関する豊富な経験を持っており、欧州地域の非常に経験豊富な開発者で構成されたチームを保有していたため、共同開発が始まった当初から安定性があり、刺激的な時間を過ごすことができました。

――今回の開発をきっかけに、KONAMIとしてもUnityとより関係を強めていくことを考えていますか。また、ゲームエンジンの企業と関係を強めることでどういったものが生み出せるかなども、可能であれば教えてください。

Jones: 素晴らしい経験でした。Unityのチームは深い技術知識を持っており、特にエンジンと密接に連携している点が大きな強みだと感じます。これにより、ツール機能を最大限に引き出す方法を知っていたため、非常に役立ちました。今後再び一緒に働く機会があるかどうかは未定ですが、もし機会があれば、喜んで検討したいと思います。彼らと協力できたことは、本当に嬉しかったです。

――最後に、ユーザーに向けて本作に期待して欲しいこと、楽しんで欲しい部分などがあれば教えてください。

Dennison:「おすそわけ通信」による最大3人プレイを是非体験いただければと思います。この機能を使うことで、同じ部屋で最大2人の友達と簡単に、かつ迅速にプレイできるようになります。今後、他のUnityゲームでも「おすそわけ通信」に対応する可能性に期待しています。

Jones: 『サバイバルキッズ』には笑える場面が多々あります。例えば、丸太を運ぶようなシンプルな行動が、チームワーク次第ではユーモアあふれるシーンになるのです。個人的に『サバイバルキッズ』を共同開発できたことを光栄に思います。他の「サバイバルキッズ」シリーズとは違い、ハードコアな要素は多く取り入れてはいませんが、みんなで楽しむことができる新しいものを作ることができたと確信しています。是非この体験を皆さんにお楽しみいただきたく思っています。


というわけで、いま『サバイバルキッズ』が蘇る意味で大きなものは、Jones氏が言うように「ジャンルを改革し続ける精神」が大きいものと思われます。図らずも「サバイバルキッズ」シリーズがかなり早い段階でサバイバル&クラフトのジャンルを手掛けた精神を、開発者は引き継いでいくということかもしれません。

『サバイバルキッズ』はスイッチ2の発売と同じく6月5日にリリースを予定。ちょうど本作のリリースに先駆けて、Nintendo Switch Onlineにてゲームボーイカラーで発売された初代『サバイバルキッズ 孤島の冒険者』も配信されています。まったく新しいスイッチ2の『サバイバルキッズ』に触れる前に、子供が過酷な状況に置かれる原点に触れておくのもよいでしょう。


サバイバルキッズ -Nintendo Switch 2
¥6,302
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
《葛西 祝》
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