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まるでマクロス!宮武一貴デザイン“巨大みかさロボ”にVRで搭乗しよう!【インタビュー】

メカデザイナー宮武一貴氏の手で横須賀・三笠公園に展示されている世界三大記念艦「三笠」が巨大ロボットになりました。

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上空から眺めた「みかさロボ」。メタバース猿島は横須賀の上空に浮かんでいる設定で、みかさロボはその桟橋あたりに浮いている。
  • 上空から眺めた「みかさロボ」。メタバース猿島は横須賀の上空に浮かんでいる設定で、みかさロボはその桟橋あたりに浮いている。
  • 煙突と主砲の40口径・30.5センチ連装砲を肩に配置することで V 字の巨大ロボがかっこよくみえるシルエットをなぞりつつ、足を長めにとることでかっこよさを強調し、でも少し寸胴になっているのでおじいさんみたいな雰囲気を醸し出している。すべてを宮武さんは意識してデザインされています(アドバイバー 堀さん)
  • みかさロボのデッキに仁王立ちすると、アルカディア号(銀河鉄道999)のハーロック気分です。
  • メタバース・ヨコスカ猿島の桟橋から眺めた「みかさロボ」の後ろ姿。背中や腰回りの詳細は実際にワールドに行って確かめていただきたい。船首と船尾が両腕になったデザインは、やっぱりマクロスっぽいですね(マクロスの両腕は別の船が合体したものですが)。
上空から眺めた「みかさロボ」。メタバース猿島は横須賀の上空に浮かんでいる設定で、みかさロボはその桟橋あたりに浮いている。

メカデザイナーの宮武一貴氏の手で横須賀・三笠公園に展示されている世界三大記念艦「三笠」が巨大ロボットになりました。

しかも、その大迫力ロボットに搭乗したり外から眺めて堪能できる! 『VRChat』上での話ではありますが、VRヘッドセットだけでなくPCやスマホでも体験できます。ロボット好きオタクが狂喜乱舞するこの企画を実現した担当者に、エモい裏話をたっぷり聞きました。

◆巨大ロボットデザインの始祖!? 宮武一貴氏を知っていますか?

巨大ロボットデザイナーの草分けとして知られる宮武一貴氏がデザインした「みかさロボ」が横須賀市が『VRChat』上で運営する「メタバースヨコスカ」に登場しました。アニメに出てくる巨大ロボットの「メカニズム」や「大きさの体感」にこだわったデザイン展「日本の巨大ロボット群像」が横須賀美術館で開催されることを記念したものです。

現実の三笠の全長が131.7m。これがロボットになった「みかさロボ」は全高72.9m。横浜のガンダムが全高18mですから約4倍の大きさ。だいたい18階建てビルやエヴァンゲリオン初号機(約80m・富士急ハイランド調べ)に近い大きさです。

これをVR内で見るととにかくデカい。まさしく「巨大ロボット」です。

煙突と主砲の40口径・30.5センチ連装砲を肩に配置することでV字の巨大ロボがかっこよくみえるシルエットをなぞりつつ、足を長めにとることでかっこよさを強調し、でも少し寸胴になっているのでおじいさんみたいな雰囲気を醸し出している。すべてを宮武さんは意識してデザインされています(アドバイザー 堀さん)

宮武一貴氏は、数々の巨大ロボットのデザインを手がけたことで知られているメカニックデザイナーの草分けであり、イラストレーターでもあります。特にロバート・A・ハインラインのSF小説「宇宙の戦士」の口絵イラストに描いたパワードスーツは「機動戦士ガンダム」のモビルスーツの原型とされ、その後に制作された多くのリアルロボットアニメに影響を与えたとも言われます。

宮武氏はライディーン、コン・バトラーV、ボルテスV、ダイモスという王道の変型・合体ロボットのデザインも手がけており、さらに全長1,200mの超巨大宇宙戦艦が人型ロボットに変型するマクロスのデザインも河森正治氏と共同で行っています。

「巨大ロボットデザインの神様」みたいな人が手掛けた「みかさロボ」は、迫力と格好良さもガチです。しかも、こだわりが凄い。単に三笠っぽい巨大ロボではなく、実際に三笠がロボットに変型したらどうなるかを考慮してデザインされ、それを受けてVRのスタッフ側でも3DCGやサウンドなど、それぞれが全力で宮武一貴氏のコンセプトを具現化した結果、いままで誰も見たことのない壮大なワールドを体験できることになったのです。

このみかさロボの実現に尽力した横須賀市観光課の小山田さんと、VRの制作を担当した株式会社往来のアドバイザーである堀さんから聞いた、企画から制作過程までの熱い話をお届けします。

◆横須賀市と宮武一貴氏と三笠の関係は深かった

――なぜ宮武一貴さんにデザインを依頼したのですか?

小山田:2015年に宮武一貴さんの原画展を三笠の中で行いました。私が観光課で働いていて、「すごい人が横須賀に住んでるぞ」というのを耳にして、宮武先生に会いに行って「三笠の中で原画展をやってみませんか」とお声がけさせていただきました。

宮武先生も、小さい頃から三笠にすごく慣れ親しんでいて、子どもの頃の遊び場だったそうです。それをずっと見ていたからこそ、こういう船だったり、巨大な物を描くことが身についていったんだよと。その思い出深い場所で個展ができるのはとても嬉しいことです、と快諾いただいて個展を開催できました。

2022年には、横須賀市の遊休施設を活用してデザイナーやアーティストの方に住んでいただく居住空間「The Base APARTMENTS」を作りました。そこに宮武さんにも住んでいただいて、今は横須賀市のPRなどを一緒にやりましょうという取り組みをしています。

そういった流れがあって、メタバースヨコスカを立ち上げた段階で「日本の巨大ロボット群」という展示会が横須賀美術館に来ると聞いたときに、「みかさロボを見たいです」と宮武さんにお声がけをさせていただいて、宮武さんも「ついに来ましたか」と、ふたつ返事でOKをいただきました。

宮武先生のデザインを3DCG化したものをメタバースに出現させ、そのデザインの原画を美術館で展示します。また三笠の講堂ではMCにスタジオぬえの森田繁氏をお招きして、みかさロボの制作秘話を宮武さんに聞くトークショーを行います(申し込み方法は後述)。

――つまり、メタバースとリアルの両方行かないと全ては堪能できない仕組みになっているということですね。

小山田:宮武先生の原画はすごく細かく、雰囲気も力強さも感じられる画だと思います。ぜひ両方を見に来てもらえたらと思っています。

――みかさロボはどなたが発案されたのですか。

小山田:みかさロボは、2015年の個展をやったときから笑い話として出ていた話でしたが、「いつかやろう」という雰囲気もあったんです。それが私の頭の中に残っていて、今回、改めて「やってください」「見たいです」とお願いしました。

――小山田さんご本人は、宮武さんの過去の作品で好きなものはあったのですか。

小山田:マクロスとエウレカセブンが大好きで、マクロスは親子でずっと観ていました。最初はマクロスFだったんですが、そこから過去に遡って最初のマクロスにたどり着きました。

エウレカセブンも(一般視聴者として)普通に観ていたんですが、 宮武先生の画集が出たときに設定や世界観なんかがこと細かに書き込みされているのを見て「こういう世界を作り出す方なんだ」とすごく感銘を受けて、ぐっときたのを覚えています。

今回みかさロボを作るにあたっても、「これはおじいちゃんロボなんです」「かっこいい音を立てて飛ぶんじゃなくて、 5メートル上がったら2メートル下がるんです!」と話されていました。そういった設定をどうやってメタバースに組み込んでいくか? という点については、堀さんをはじめ、いろいろな方に動いていただいて実現できました。

みかさロボのデッキに仁王立ちすると、アルカディア号(銀河鉄道999)のハーロック気分です。

◆「変型」と「ボイラー」への凄いこだわり

――堀さんは、どのようなところで関わられたんですか?

堀:宮武さんのラフデザインに対して、3DCG化をお願いしたCGアーティストのSUTOさんが最初は戸惑うわけです。「ここのパーツは実際の三笠ではどこなんだろう?」と。それを「おそらくここです」「ここはこういう処理でいいのでは」というディスカッションをして、少しずつSUTOさんがイメージを固めていきました。

宮武さんは変形に関してはこだわりがありますから、ちゃんと質量が保存されてなきゃいけない。変形した後にしか存在しない余計な部分があってはならないのです。「現実の三笠が過不足なくちゃんとロボットになっているんだ」という辻妻が合うように凄く時間をかけてられて、そこにSUTOさんと私は感銘を受けました。

小山田:SUTOさんと宮武さんが結構オタクというか、同じ空気感の中でお話されていました。特に印象深いのは、背中のボイラーです。どんなボイラーを使っていて、どんな断面だったかというのを調べ出して。「未知のエネルギーで飛んでいる」という設定はあるのですが、背中のボイラーのパワーを全身のいろんなところに使用するための設定を2人でお話されているのを見て「なるほど、これで動くのか」と納得しました。

背中でボイラーが回ってるんですけど「この方向だと手が動かないから、ここで回転して……」みたいなところまで再現されているので、そういう点にも注目して欲しいです。

堀:三笠はイギリスで作られたのですが、当時のヴィッカース社製エンジンの資料をSUTOさんが見つけてきて。「これだったらここに組み込めるだろう」と実際に再現したものが、みかさロボの腰の辺りに入っていて、VR上でもご覧いただけます。

さらに、それを見たサウンドクリエイターの方がすごく本気になってしまって「蒸気タービンが回ってる音や蒸気がプシュって出る音を入れるべきだ」と。「おじいちゃんロボなんですよ」と設定を教えたら、「それなら回転は一様ではなくて、ちょっと遅くなっては追いつくとか、そういった演出を入れるべきですね」となって。それを加えたら、今度はワールドのクリエイターの方が「じゃあ蒸気(の視覚効果)を入れましょう。蒸気が出るタイミングも音に合わせましょう」と。

動きがちょっとゆっくりになって頑張るってときに、ブシューってスチームが出る音がして、それに同期して背中側から蒸気がバーッと出てくる。その流れを見た瞬間に、私も本当に涙が出てきました。

みかさロボの周りには空中に浮かぶ小島が配置されていて、そこを飛んで回りながらみかさロボをさまざまな角度から見ることができます。これが凄い迫力の体験なのでぜひ見て欲しいです。

メタバース・ヨコスカ猿島の桟橋から眺めた「みかさロボ」の後ろ姿。背中や腰回りの詳細は実際にワールドに行って確かめていただきたい。船首と船尾が両腕になったデザインは、やっぱりマクロスっぽいですね(マクロスの両腕は別の船が合体したものですが)。

◆PC単体でもスマホでも楽しめる仕組みとは

みかさロボの裏話は広報写真を撮ったVRカメラマンや、みかさロボのロゴを作った横須賀市観光課のデザイナーの話にまで広がり、チーム一丸となって、みかさロボの実現に頑張った話は感動的ですらありました。

このみかさロボは「Meta Quest 3」などVRヘッドセット単体でも、Windows PC単体でもAndroidスマホでも体験できるという点も凄いところです。

企業や自治体によるワールドの中にはCGが豪華すぎて、VRヘッドセット+ゲーミングPCの環境でないと体験できないものもあります。今回のワールドは『VRChat』が動く環境ならほぼどれでもOK、というのも凄いところ。仕組み的には、使用環境に合わせて自動的にロードする3DCGモデルを変えているそう。テクスチャの細かさなどを変えることで、パワーのない端末でもそれなりに楽しめるようになっているとのことでした。

ただし、VRならではの臨場感や没入感を体感するには、できればVRヘッドセットが欲しいところです。最近は「Meta Quest 2」が値下げされ、「PICO 4」もよくセール価格で販売されているので、この際に買ってみるというのもありだし、持っている人から借りてみるのも良いでしょう。そしてVRヘッドセット+ゲーミングPCという環境下なら最高の体験が味わえます。

◆「みかさロボ」を体験する方法

最後に、『VRChat』と現実の横須賀美術館で「みかさロボ」を体験する方法などをご紹介します。

1. 「メタバース・ヨコスカ」で「みかさロボ」を体験するには

  • 『VRChat』のアカウント(無料)が必要。

  • 対応ハードウェアはVRヘッドセット(Meta Quest 3/2/Pro、PICO 4など)、Windows PC、Androidスマートフォン

  • 『VRChat』にログインしたらWorld検索で「SARUSHIMA WORLD」を検索。
    もしくは下記URLにWebブラウザでアクセスして「LAUNCH WORLD」か「INVITE ME」をクリックしてVRChatを起動。
    https://vrchat.com/home/launch?worldId=wrld_2142ea4d-3faf-49af-8cb1-392fcbf013cc

2. 日本の巨大ロボット群像 ―巨大ロボットアニメ、そのデザインと映像表現―

宮武一貴氏の「みかさロボ」ラフデザイン原画が展示されます。

  • 開催場所:横須賀美術館

  • 期間:2024年2月10日(土)~4月7日(日)

  • 開館時間:10:00~18:00

  • 休館日:3月4日(月)、4月1日(月)

3. みかさロボトークショー

みかさロボ制作秘話を宮武一貴氏に聞くイベントです。

  • MC :森田繁(スタジオぬえ)

  • 日時:2月17日(土)13:00~15:00

  • 場所:記念艦「三笠」講堂

  • 料金:無料(別途、記念艦「三笠」への入館料がかかります)

  • 申し込み方法: Peatix https://metasukavr.peatix.com/view


※宮武一貴/みやたけ・かづたか(スタジオぬえ)
横須賀生まれ。学生時代に『マジンガーZ』エンディングの内部図解イラストを手がけたのを皮切りにSF、アニメ、玩具などのメカデザインや作品の世界観を構築するコンセプトデザインを行ってきた。イラストレーターでもある。
メカデザイナーとしては『ゼロテスター』(テスター1号機)が最初。『さらば宇宙戦艦ヤマト』のアンドロメダ、劇場版『銀河鉄道999』のアルカディア号など宇宙船のデザインも人気。ロボットでは『超時空世紀オーガス』の主役メカ・オーガスや『聖戦士ダンバイン』では昆虫をデザインに取り入れたダンバイン、ダーナ・オシー、ドラムロなど。『交響詩篇エウレカセブン』『マクロスF』ではコンセプチュアルデザインを担当。

※世界三大記念艦「三笠」とは
「三笠」は日露戦争でバルチック艦隊に圧勝した日本の旗艦・戦艦三笠ではありましたが、1922年のワシントン条約で戦艦などの保有量が制限されたことから引退して「記念艦」となりました。
なお、世界三大記念艦の残りの2隻は、イギリスの「ヴィクトリー / HMS (Her majesty's ship) Victory」、アメリカの「コンスティチューション / USS Constitution」だそうです。



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