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なぜ人々は『タクティクスオウガ』に狂喜したのか─斬新な切り口・卓越したテキスト・大胆なゲーム性…当時の衝撃を振り返る

『タクティクスオウガ リボーン』の原点となった『タクティクスオウガ』は、当時RPGが人気だった中、どのような個性を放って注目を集めたのか。その魅力や特徴を振り返ります。

ゲーム 特集
なぜ人々は『タクティクスオウガ』に狂喜したのか─斬新な切り口・卓越したテキスト・大胆なゲーム性…当時の衝撃を振り返る
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■重いテーマを濃密に描き、鋭い台詞回しでプレイヤーの心を撃ち抜く

『タクティクスオウガ』の特徴は、そうしたゲームシステムだけに限りません。ほかの作品と一線を画するような重厚な物語にも、ユーザーたちは衝撃を受けました。

RPG黄金期だった当時は、中世風ファンタジーを舞台とするものが多く、その大半は世界を滅ぼさんとする魔王や悪魔などを打倒する物語が目立っていました。『タクティクスオウガ』もファンタジー作品ですが、その切り口は大きく異なっており、こちらは「民族紛争」を題材とした物語を紡ぎます。

魔王や勇者といった世界観の作品が並ぶ中、生々しい重さを持つ「民族紛争」を切り口とした作品は、ゲーム慣れしたコアなユーザーにとっても刺激的でした。しかも、ただ目新しいだけでなく、単純な“善と悪”では割り切れない複雑な人間ドラマや、民族浄化といった苦々しい題材も取り上げるなど、重みのあるテーマを誤魔化すことなく正面から堂々と描き切ったのです。

さらに本作の物語は、プレイヤーの判断によって分岐し、この世界の歴史を変えるほどの影響を受けます。分岐はそれぞれ、ロウルート、ニュートラルルート、カオスルートと呼ばれますが、ロウ=正しいルートであったり、カオス=悪のルートというわけではありません。善と悪で割り切れない複雑な世界を、自分の判断で変貌させていく。選択肢ひとつにも重みがあり、その手応えが物語とプレイヤーの距離を大きく近づけます。

その意欲的な姿勢とテーマに負けない濃厚な描写が、手応え溢れるゲーム性と並び、『タクティクスオウガ』を成功に導いたもうひとつの柱になりました。

また、『タクティクスオウガ』が紡ぐ物語を一層魅力的に彩ってくれるのが、優れた言葉のチョイスです。本作の分岐はゲームの序盤から早くも訪れますが、それを示唆する章のタイトルが「僕にその手を汚せというのか」。過酷な選択を突きつけられる重さが、これ以上ないほど伝わってきます。

また、次の章でも物語は分岐し、第3章では前述の3ルートに分かれます。タイトルはそれぞれ、「欺き欺かれて」、「すくいきれないもの」、そして「駆り立てるのは野心と欲望、横たわるのは犬と豚」となります。いずれも各ルートを象徴する素晴らしいネーミングですが、特に3番目の「駆り立てるのは~」は、この一文だけ切り取っても非常にパワフルで、記憶に残るほどのインパクトです。そのため、本作の代名詞になるほどファンの間で語り継がれています。

こうした優れたセンスは、もちろん台詞にも表れています。本作は名セリフの宝庫で、様々なシーンでプレイヤーの胸を射抜きます。例えば、2人の騎士が言い争う場面では、ひとりは騎士然とした姿勢を貫き、もうひとりの騎士は「民」の弱さを指摘し、不満をこぼせる被害者の立場に望んで身を置いていると言及しました。

その時に飛び出した台詞が、「民に自分の夢を求めてはならない。支配者は与えるだけでよい。支配されるという特権をだっ!」と言い放ちます。

これまでのRPGなどでは、支配は「悪」として扱われることがほとんどで、被支配側は弱者という扱いでした。その支配を断ち切るのが、主人公であるプレイヤーの役目です。しかしこの騎士は、被支配側を「特権」と表現し、新たな視点と発想をプレイヤーにぶつけて驚かせました。

もちろんこの騎士の発言も、数多ある考え方のひとつにすぎず、本作が「正解」として提示したものではありません。こうした様々な視点や考え方が交錯し、ぶつかり合いながらも絶対の正解はないまま、それでも世界と物語が結末を迎えていく無常さが、プレイヤーの心に響きます。

正解のない物語だからこそ、プレイヤーは自分だけの正解を心の内から探し出し、それを拠り所に過酷な世界を戦い続けたのです。


刺激的なゲーム性と重厚な物語が衝撃的だった『タクティクスオウガ』。このほかにも、耳に残る素晴らしいサウンドや、一目ぼれする人も多かった繊細で美しいグラフィック、バトルに華を添えたキャラクターのモーションなど、特徴を挙げていけばキリがないほどです。

そんな名作SLGを令和に蘇らせた『タクティクスオウガ リボーン』は、普遍的なテーマと現代に合わせたパワーアップにより、今も色褪せることのない魅力を放っています。ファンはもちろん、未体験の新規ユーザーにとっても、刺激に溢れるプレイ体験を味わわせてくれる1作となることでしょう。

そして願わくば、この『タクティクスオウガ リボーン』がヒットし、「オウガバトルサーガ」の新たな章を描く新作に繋がることを、ひとりのファンとして願ってやみません。

(C)1995, 2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.


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《臥待 弦》
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