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『ワールドフリッパー』第2部では「ルーツを辿る物語」が描かれる―“揺らぎ”の中、アルクたちはどこから来て、どこへ向かうのか

『ワーフリ』のストーリー部分や世界観に関するインタビューです!メインストーリー等のネタバレも含まれているので、未読の方はご注意を!

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『ワールドフリッパー』第2部では「ルーツを辿る物語」が描かれる―“揺らぎ”の中、アルクたちはどこから来て、どこへ向かうのか
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※本記事には『ワールドフリッパー』メインストーリー第2部10章までおよび各種イベントのネタバレが含まれています。ストーリー未読の方は、読んでからの閲覧を推奨します。

2022年5月に2.5周年を迎え、現在(2022年8月)は水着イベントが絶賛開催中(8月15日20時59分まで)のiOS/Android『ワールドフリッパー(以下、ワーフリ)』。インサイドでは2020年2月2021年2月の過去2回ほどインタビューを行ってきた本作について、約1年半ぶりにインタビューを実施。

お話いただいたのは、『ワーフリ』の開発を担う株式会社シテイルの方になります。今回は、第2部に差し掛かり、現在は9章「揺らぎの都市」と10章「終局の始原」が配信されているメインストーリーを軸に、様々なことを伺いました。

それなりの長文インタビューとなっていますが、『ワーフリ』世界のとある疑問についても、少しだけヒントが出ていたりもしますので、ぜひとも最後までお楽しみください。

なお、改めてになりますが、本記事にはメインストーリー第2部10章までおよび各種イベントのネタバレが含まれています。ストーリー未読の方は、読んでからの閲覧を推奨します。

◆第2部は「ルーツを辿る物語」


――10章まで進めて、個人的には「王道的だった第1部とはまた違う」という感覚を得ていますが、改めて、第1部から第2部に進むにあたり、どのようなところが変わっているのでしょう。

開発:第1部は「」の物語になっています。勇者・ライトを巡る、彼の復帰と帰還の旅であり、ステラやアルクといった人々との出会い、そして様々な経験を得ていく「成長の旅」という構造ですね。「王道的」と言っていただけたのは、その部分が強いからかなと。

そして、第2部からは「ルーツを辿る物語」になっていきます。登場人物たちの、今まで明かされなかったルーツ。それが各々の居場所・拠り所に定まって行くというお話ですね。

配信済みの9章「揺らぎの都市」、10章「終局の始原」も、「急な変化によって居場所が脅かされて“揺らいだ”ときに、第1部で様々な経験を得てきたアルクたちはどうするのか?」ということを基準に作られています。

――第1部完結以降のメインストーリーや周年イベントを見るに、様々な世界を渡り歩いてきた第1部とは対照的に、第2部ではそれまで中々語られなかった「パルペブラ」という都市を中心に物語が進んでいくのでしょうか。

開発:第1部では「いつでも行ける場所」くらいの印象で、(ストーリー上では)存在感が薄めでしたよね。

第2部がパルペブラに集約しているのは、あの場所が「どの世界から見ても特異点」という点があります。設定的な都合というのもありますが、「崩壊域」も「アビスの獣」なども含めて、様々な出来事が起こりやすいんですね。今後も物語の中心になっていくということはあると思いますよ。


――少しずつパルペブラのことがわかっていくので楽しいですよね。ところで、「揺らぎの迷宮」というものがありますが、改めて「揺らぎ」って何なんですか?

開発:シナリオ上の設定では、「異世界や異なる位相と繋がってしまう・混ざってしまう」という現象ですね。

『ワーフリ』では、異文化や異なる価値観が混じることで「変わってしまう世界」というのを描き続けているので、「ひとつに定まらない」事自体が「揺らぎ」と言っても過言ではないのかなと思っています。大きな出来事で言えば、ベスタ族のことや渋谷もそうですし、第1部での魔王との戦いでもいくつかその要素は出ていますね。

――「揺らぎの迷宮」といえば、迷宮の魔術師―ユーザーの間では「迷宮おじさん」と呼ばれることもある彼のことも気になりますね。何だか最近はおじさんのことが好きになってきました。

開発:いつも頭を悩ませている彼ですね(笑)。メインストーリーの続きでは、彼のことをもっと好きになれるような出来事もあるので、お楽しみに!

――ということは今後は物語に絡んでくると……?

開発:9章・10章と、彼にとっては大変に面倒くさいことばかり起こっていますからね(笑)。10章が終わり、これからは「上位者との戦いに向けてなにをするか?」ということが語られていきますが、それにしたって彼を横に置いては通れないと思っています。10月配信予定の11章では、彼の名前も明かされますよ。

――コラボイベントでも毎回大変な目に遭っていますからね。報われてほしいです。

開発:「毎回毎回、穴開けやがって!」と(笑)。


――ありがとうございます。第2部の大きなテーマは「ルーツを辿る」というお話がありましたが、9章・10章それぞれのテーマなどはあるのでしょうか。

開発:一言で表せるかはわからないのですが、9章に関して言えば「違う文化との交わりをどう受け止めるか」という話を強く描いています。パルペブラ自体はファーランドなどとも関わりがありますが、突然、違う部族が現れたときに、どうしても対立やすれ違いが起こると思います。そこで、世界を渡り人々と出会ってきたアルクたちはどういうことができるのだろう?どう抗っていくのだろう?というのを描いたのが9章になります。

10章は、逆に「君、どこから来たの?」という話に更に踏み込んでいきます。渋谷という舞台かつ、そこから外に出られないということも踏まえて表現をしましたが、自分たちの親族や友達が、渋谷以外にいるかわからない・いないということがわかってしまった時に、すごく不安にかられます。その中で、事象を曲げるような超能力を得てしまった人たちは、自分自身の拠り所をどこに置くべきなのか?

直近のイベント「未来へ紡ぐ世界(ほし)の歌」でもありましたね。今はあるこの世界も、なくなってしまうのではないかという不安とずっと戦っているんです。

なら居場所を確保しようということで、あの動き(パルペブラと渋谷の融合)をしたわけです。「自分たちで決めていく」というのをポイントに10章は描かれていると思います。果たしてその判断が正しかったのかどうかというのは、あとから付いてくる話になってくるのですが。


――第1部から通しで見ると、描かれるものは違えど、自分が何なのかを自分で決めていくという『ワーフリ』の軸みたいなところはブレていないんですね。

開発:そうですね。今まで出会ってきた他の人たちを軸に考えていたのを、今度は「自分はどうあるべきなのか」というところに第2部ではスイッチしている印象です。判断軸としては、ずっと変わっていないので、何のために・誰のために自分は何をするのかを軸に動いています。

――だからおもしろいんですね。

開発:めちゃくちゃ大変ですけどね(笑)。「それってアルクっぽくないよね?」みたいな議論もあります。メインライターがベースのシナリオをほぼ一人で対応しているのですが、彼自身の変化で価値観が変わってきたりもしますし、アルクたちとどれだけ差があるのかというのを、スタッフたちと話し合っています。アルクだったらどう判断するのか、という部分をすごく厳密に精査しながら、「今はここでいいとする」という勇気ある選択を毎回しながら作っていますね。

◆9章「揺らぎの都市」とゼッヘルさん、ギルドナイツについて


――そんなメインストーリーですが、9章では今まであまりなかった政治的な話が出てきたのが印象的でした。

開発:若者を主人公に置いている以上、「大人はどういう存在でいてほしいか」という議論をメインライターとしたことがあります。それでいうと、ドゥ・ククスはわかりやすく堅固な態度をとる大人ですよね。

そして、ゼッヘルさんはギルドナイツという自治組織の長であるがゆえの保守性を持ちながらも、とはいえ大人を巻き込んでやりたいようにやるのも若者の特権だよねという考えも持っています。だからこそ、アルクたち若者に「その判断で自分がいいと思うのか」という話をしてくれます。一人で突っ走る前に大人に相談してくれ、ということも含めて。大人っぽいなぁと思いますね(笑)。


――アルクたちはちゃんと相談しに行きましたね。しっかりしてる。9章では「シープシッパー」や「コーテッド」といったワードにもフォーカスが当たりました。第1部でチラチラ出ていたことが第2部で回収されるのはありがたいです。

開発:皆様が気になっていることはどんどん出していこうというのを第2部では意識していますね。

――楽しみです。9章、リアルタイムで読んでいたときはサラッと読めたのですが、読み直してみたら意外とボリュームがありましたね。

開発:10章がガチ盛りですからね(笑)。でも、9章は意図的にサラッとしたところもあります。パルペブラの政治的な問題って、お話が難しく感じられてしまうと刺さらない方には本当に刺さらなくなってしまうんですよね。なので、表現したいこと・伝えたいことは見せつつも、何が起こっていて・何を決めなければいけないのかを、できるだけアルクたちの視点から見せてほしいというのはプロットの段階からメインライターと話していました。いわゆる戦記モノなどに食指が伸びにくい方でも、サラッと読めるように頑張って調整してもらったので、すごくいい出来になったなと思っています。

――私自身、戦記モノなどはほとんど読みませんが、難しい感じはなかったですね。政治的な話をしているということがわかるだけで問題なかったです。アルクの出した解決案はとんでもないなとは思いましたが(笑)。

開発:普通に考えてみたらとんでもないことですよね(笑)。

――それにしてもゼッヘルさん、謎多き人物ですね。ヴェロンとの因縁や特務部隊とか……どこかでギルドナイツのお話も見てみたいですね。

開発:伝えておきます(笑)。諜報や斥候は狩人、キャラで言えばケイロスたちが行っていたり、諸外国との折衝にクアレやミゲルが立つこともあります。とはいえ今はまだギルドナイツが大部分を占めているので、ゆくゆくはギルドナイツ以外の様々なところに力を持ってもらいたい、というのがゼッヘルさんの目論見かなと。ゼッヘルさんの言う「特務部隊」もそのひとつですね。ゼッヘルさんについてはまだまだ書かれていないことがあるので、これから色々な表現ができるかなと思っています。


――正所属なのはゼッヘルさんとキーラ、フィンのみですか?

開発:そうですね。一応、準構成員みたいな人たちはいますが、揺らぎの迷宮も含めて、起こることはかなり多く、(解決できると信頼しているからこそ)ゼッヘルさんがホイホイと受けて雑に下に振るので、仕事は山ほどあるという状態がずっと続いていると。

――それで比較的治安が良い方というのはすごいですね。

開発:悪いことするくらいなら冒険に出て一攫千金を目指そう、という人たちのほうが生きやすい街なので、治安が比較的良いというのがあるかもしれませんね。その分、極端な事件が起こったりもしますが、数は少ないですね。

――とはいえスラム街などもあると。

開発:危ないところ自体はありますね。この街で戦えなくなったらどうするのかなどを考えたり、孤児の存在もありますからね。

――孤児で言えば遺品屋ギルドのヒルデガードさんも出てきてくれましたね。コハネの師匠のゴウランなども含めて、キャラエピなどでチラッと出ていたキャラが実装されるのは楽しみのひとつです。

開発:そのあたりはどれだけ拾えるかというのはありつつも、ただの絵合わせみたいにならないようにすごく意識しています。読後感も含めて、キャラとしてエピソードが楽しくなるように作っています。ハナビとボタンとかもそうですね。匂わせだけして、後でしっかり回収する。なので、皆様が「このキャラまだいないな」というところは順次拾っていくと思います。

◆10章「終局の始原」と渋谷組、そしてアルクについて


――では、10章「終局の始原」のお話もできればと思います。いや、まさか渋谷だとは思いませんでした。

開発:ギリギリまで楽しみにしていただきたかったですし、ファーストインプレッションでしっかり「渋谷だ」と印象づけをし、身近に感じてもらえるにはどう表現するべきかを気をつけて作っていました。

――渋谷を舞台に選んだのには何か理由が?

開発:街としてのアイコンがしっかりしているなと。新宿とかだと、一角を切り抜いた時に「新宿っぽい」場所というのはすごく限られていて、表現の幅が狭くなってしまうんです。

あとは、先程の「揺らぎ」の話にも紐づくのですが、渋谷という街は文化の交流地点として色々なものが交わる場所だと思っています。一方で、渋谷川暗渠のように、様々な層に情報が含まれていたりします。掘り下げるにしても面白く、皆様がすぐにわかる場所ということで、これまでゲームを遊んできた方も触れやすい土地、という理由で渋谷を選びました。

――渋谷という舞台もあり「若者」たちの物語という側面が強かったように感じています。

開発:やはり渋谷という街で新しい文化が生まれ、そこに若者たちが集うという印象は強いですね。メインライターも世代的に若者たちの群像劇に強い思い入れがあると思います。


――その若者たち、「星命会」と「エイジス」は両極端で我が強い。そこにアルクが入ると、やはり経験の差を感じます。アルク自身は身体的にはほぼ同年代なのですが。

開発:6章・7章・8章と、(魔物相手とはいえ)自分で手を下した経験であったり、極限状態の中で彼が判断し、時にはそれを他の人に見せられて感じてきたものや、9章でゼッヘルさんに「自分で判断しろ」と言われたことが圧倒的な前フリとして彼の中にあります。そして、10章ではそれが顕著に描かれていますね。渋谷という危うい世界の中で互いの正義を掲げて動く「星命会」と「エイジス」に対して、「それって本当にそうだっけ?」と改めて問えるアルクは、芯が強くなったと思います。

――そんなアルクとは対照的な渋谷の面々を描くときには、どのようなことを意識しているのでしょうか。

開発:先程のアルクの話に通じますが、アルクとは違い彼らは現代人です。弱さやズルさ、危うさなどを含め、できるだけ行動原理を生っぽく描くようにしています。

突然超能力に目覚めると、やはり万能感や支配欲が湧いてくると思います。ではそうなったときの自分に対してどのように思うのか、そういうことも意識しながら作っていきました。

渋谷を限定的な空間にしたのも、閉塞感や焦りを表現するためですね。広大な海の世界やパルペブラを経験しているアルクたちとの差はそこにも出ているのかなと思います。まぁそれを考えても、シロに言われているように、アルクは結構はっちゃけてる部類の人間ではあるのですが(笑)。でも、シロに「すごい」と言われるというのは、シロがずっとアルクのそばにいたからこそであって、そこからアルクの成長を感じられると思いますし、渋谷組との対比も強くなっているのかなと感じますね。

――基本的にファンタジーな『ワーフリ』で、現代高校生の等身大の悩みが描かれたのも印象的でした。

開発:普段のキャラエピなどでも、「些細ではあるけど本人にとっては大きな悩み」をどう発散させるのか、というのをテーマにはしているので、実はファンタジーの中でも同じようなことはしているんです。ただ、特に渋谷組は現代人であるがゆえに身近に感じられるんだろうなと思いますね。

――アルクの過去についても、こんなに早く出るのかと驚きました。

開発:彼にはまだまだ仕事がありますので、早めにアルクのことを知っておいてもらったほうが良いのかなと。10章を出す前に、サブ案もいくつかあり、渋谷の話とそれのどちらを先に出すか話したことがありました。ただ、魔王オーグとの戦いを経て一度終わりを迎えた勇者ライトの物語から、次の物語に移行した際に、早めにアルクのことに触れておかないと、彼の成長を感じてもらえるシチュエーションが遠のいてしまうんですよね。そこで、少し早いのですが10章でアルクのことに切り込んでいくことにしました。とはいえ、彼についてはまだ解決していない話がいくつかあります。そこはこれから第2部で拾われていくと思いますよ。


――アユムとアルク……。ちなみに、「アルク」という名前は一番最初に自分で名乗ったんでしたっけ?

開発:ライトに対して「僕の名前はアルク」と名乗っていますね。アルクのキャラエピでは、最初は(名前を)覚えていなかったんです。でも彼は、どこからかアルクという名前を思いつき名乗っています。そこにもアユムとのミスマッチがあったりしますね。

――一応、完全に同一人物というわけではないんですよね?

開発:完全に同一人物ではないですけど、ほぼ同一人物というものになりますね。果たして……!

――アルクに関しては本当にまだまだ謎がありますね。そして10章の彼を見ていて思ったのですが、めちゃくちゃ怖い(笑)。

開発:そうですね。10章は自分たちのことばかりという人だらけなんですよ。調和をとりなそうとするアルクとは真逆の人が多い。一方で、そんな人達も生きることに必死です。そのジレンマの中で、「お互いの気持ちはわかるけどそうではないだろう!」というキレ具合が強いなと。

メインライターからは「こんなに怖くて大丈夫か」と相談されたこともありましたが、実際頭に来る話だと思うので。でも実際は、何も考えなければ飲み込める話なんですよね。このまま小競り合いを続けていこうと思えば続けられるはずなんです。ただ、前述した居場所・拠り所や、これからのことを決めるにあたっては、この状態があまりいいものではないことは、早めに皆様にもわかってもらえたと思いますので、アルク自身も気を張って周りを鼓舞するように吠えていたように感じます。もちろん、彼の苛立ちもあるとは思いますが。


――ちなみに、渋谷がパルペブラに融合した際に、マリーナさんが色々と動いてくれたという話もありますが、マリーナさんの言う「新宿」と、10章の「渋谷」は元々は同じ日本にあったものなんですか?

開発:果たして同一の日本からマリーナさんが来ているかどうかは明言はしていないですね。オーグから離れたライトが50年経っていたという話もありますが、時間軸も含めて少しずつ違うようになっています。

――10章の渋谷はアルクたちの時代から数えて1万年前ですが、実際に渋谷からアユムが失踪したのが3ヶ月前。時間のズレの話はノヴァもしていましたね。ノヴァの話も信じて良いのかどうかというところはありますが……。

開発:果たして何者なのか……。本人からもありましたが、彼自身はステラのバックアップであり、彼がどの程度能力を行使できるのか、そして第1部を通してステラが多少壊れていたということが表現できたので、そこを対比にノヴァがいると何が起こるのか、という話は今後出てくると思います。彼に関してはぜひ注目してもらいたいですね。

――レーヴェの行方も気になりますね。

開発:気になりますね。10章では少し折れかけていましたが、とはいえ彼女もステラなので、諦めることはしないだろうなと思います。ステラも頑固ですから(笑)。


――そういえば、渋谷川暗渠に弁財天のようなモノがいましたが、あれって何だったんですか?

開発:超能力者たちの認識によって形を成されたモノですね。暗渠には土地神や妖怪、何か怖いものがいるという共同幻想が結びついて顕現していて、特にその場にいたユキの認識が最も影響していると思います。これは渋谷自体も同じで、あの世界も超能力者たちの認識によって成り立っています。そして、6章「大和の都」での妖怪の発生原理と同じものでもあります。

このあたりは「未来へ紡ぐ世界(ほし)の歌」での話がわかりやすいかと思います。この認識がポジティブな方に働くと、アミーキティアがあんなことになると(笑)。逆に言うと、何か良からぬことを植え付けられてしまうと、とんでもないことになるかもしれないということです。渋谷の人々には平穏に暮らしていただきたいですね。


◆『ワーフリ』世界の“言語”を考えてみると……?


――ここまで第2部を中心にお話しいただきましたが、第1部から続いてアルク勢力が更に力を増していますよね。ゼッヘルさんの話にもありましたが、いよいよパルペブラあたりから危険視されるのではないでしょうか。

開発:お察しの通り、すでに危険視はされていますね。ですが、「星見の街」へ迎え入れられた人たちは、自由に行き来することができる、もしくはアルクたちと行動していることが多いので、ずっと滞在している人は少ないんです。まだ過小評価されていてギリギリセーフくらいの感覚です。何かの号令があって集まったらとんでもないことにはなるのですが(笑)。それによって今後敵視されるようになることはあるかもしれないですね。ここも避けては通れない話なので。

――それにしても、先程のマリーナさんの話も含めて色んな人が色んな所でわちゃわちゃやっているなと。周年イベントなどでは特に感じます。

開発:たくさん出せば出すほど大変になるんですけどね(笑)。とはいえ期待に応えたい気持ちもありますし、セリフがなくても「そこにいることの意味」というのがあります。そのキャラが好きな人にとっては、いるだけで話が膨らむんじゃないかと。このあたりはすごく意識していますね。

マリーナさんも、レジスも、どこかのCEOも、上手になにかやってるんだろうと匂わされることは多いと思います。

よく見ると、色んな人がいる


――これまでの積み重ねがあるからこそ、オールスター的なイベントは本当に面白いです。

開発:厚みが出ますよね。今年の水着イベントも、色々なキャラが出ているので、ぜひ読んでみてほしいです。ショウちゃんにワンチャンはあるのか……?

――その周年イベントとしてこれまでに少し名前の上がっていた「未来へ紡ぐ世界(ほし)の歌」では、「粛清者」に造形が似ている「廃龍」という存在が登場し、「星詠み」の話にも少し触れられました。

開発:「星詠み」の人たちが何をしたいのか―上位者になりたいのか、コンタクトを取りたいのか、はたまた成り代わりたいのかは明言されていませんが、2周年イベント「歩め、闇の夢人達よ」を見る限り、古龍の力に大変興味のある人達というのは間違いないですよね。世界を渡り歩く力を持ち、勇者のトリガーでもある古龍の力を使って、「星詠み」は何をしたいのか。それを読み解いていただくのが、今後の話としても面白いのかなと思います。

――「星詠み」の人たちも世界を渡る力がありそうですよね。

開発:すごくインスタントかつ多くの犠牲を払ってですけど、そこまではたどり着いていますね。

――そして「星見の図鑑」を読んでいて思ったのですが、「ウォルンタス魔法学院」の学院長であるニルヤーナ・ウォルンタスも「星詠み」関連でなんだか怪しいのですが……。

開発:ニルヤーナさんについては、学院長というのもあり、おそらくハイスペックであろうと。しかしどう考えてもおかしい動きをしていますよね。果たして「星詠み」なのか、はたまた別の勢力なのか……。間違いなくストーリーに絡んでくる人ではあります。すごいと思いますよ。「そんなことなる!?」と驚くと思います。ご期待ください。

――「ウォルンタス魔法学院」自体はギルドナイツとよろしくやっていたりしますよね。

開発:パルペブラという都市は「揺らぎの迷宮」から得た資源を元に、自己で経済を回せてしまう場所であり、いくつかの組織が共同経済連合みたいなものを組んで都市を形成しています。なので、ギルドナイツとウォルンタスも隣近所の付き合いであり、お互いの利害関係に問題がなければ手を組むという方針が強いと思います。

ファーランドとかの隣国から見れば、独自で経済を回せてしまうことや、ギルドの持つ武力やコネクションは脅威になりえるのですが、そこはうまいことゼッヘルさんたちが立ち回って関係値が悪くならないようにしています。ウォルンタスとの付き合いもその一環ですね。

――イベントなどで語られる「ウォルンタス魔法学院」の話は和気藹々としたものが多く、教師陣も生徒もアルク関係者が多いので、友好的な印象が強いのですが、「星見の図鑑」を読むとちょっと印象が変わりますね。これはみなさんも「星見の図鑑」読みましょう、ですね。

開発:それはぜひ読んでほしいです。私たちもどこに次の話の前フリを入れるかは色々選んでいますが、所々で図鑑を更新しているということは、何かしらのタネを蒔いていると思っていただければと。


――楽しみです!あと、パルペブラについて細かいところなのですが、「言語」や「通貨」ってどのようになっているのか気になっていまして。

開発:通貨は「ゴールド」というものが使われています。金を使って取引していた頃の名残ですね。他の世界では別のものが使われているかもしれません。

そして言語ですね。実はこれが結構な話になってしまうので詳しくは語れないのですが、1章制作時以外で会話していることに対してライターが悩んでいません。というところから、なにか紐解けるものがあるかもしれませんね。今回話させていただいた内容をおしなべて考えてみると、少しヒントが含まれているような気がします。なので、ここまで読んでいただいた方については、もう一回読み直してみましょう、という感じになります(笑)。

――確かに、言葉が通じないという描写はないですね……?ゲーム的な都合かとも思いましたが、お話を聞く感じだと、ちゃんと理由があると。

開発:あります。ちゃんと理由をつけたんです。

実はこれに関連して、『ワーフリ』を作る際にメインライターと「年表」を作ったりしています。先程、渋谷から1万年以上経っているという話もありましたが、じゃあその前は?その後は?というのを並べて年表を作りながら、破綻しないように物語を作っています。これを公開するかはわかりませんが、言語の話も含めて物語がおかしなことにならないようになっています。

――年表!それは気になりますね……。続き物のストーリーは別として、『ワーフリ』であまり時系列を気にしたことがなかったので、驚きです。

開発:ぽっと出で「1万年」と言ったような感じですが、実は1万年にもある程度理由があったりするんです。

――本当に「そんな設定あるんだ」となりますね、『ワーフリ』は。

開発:そこは制作チームが楽しんで作っているので、皆様の期待をいい意味で裏切りながら続けていければなと思います。

――ちなみに10月配信予定の11章について、なにかお話できることってあったりしますか?

開発:話せること……ないですね(笑)。あくまで皆様もわかっている範囲の話になりますが、10章が終わって一段落ついたように見えつつも、全然そんなことはなくて。これから旅の準備をしていくところです。各所との交渉、渋谷のこと、そして渋谷を機に間違いなく敵視され始めます。その状況で、こちらから出ないわけには行かないだろうと。そこをどのように、そして何から始めるのか。やれることは色々あると思いますので、それらを軸に展開される面白いお話だと思っていただければと思います!

――無茶振りに答えていただきありがとうございます!水着イベント「ブルーサニースマイル」も絶賛配信中(8月15日20時59分まで)ということでこれからも楽しみです。

開発:ザンテツはともかく、予告でシルエットを公開した段階で皆様がキャラを当てているのは驚きました(笑)。

前回の水着イベント「大海の遺産」はわちゃわちゃしていましたが、今回の「ブルーサニースマイル」は本当に「いい意味で」小さな話です。夏休みに田舎の島で出会った清純派女子・エコーとどう絡んでいくのかというのを丁寧に描いています。『ワーフリ』の中でも一番あっさりしていて、食べやすいんじゃないかなと思いますね。

光るふんどし

私がこれを言うと毎回「そんなことない」とか言われるのですが、今回は演出等も含め、心穏やかに見てもらえると思います(笑)。ちなみに、キャラエピは「ブルーサニースマイル」のストーリーを読んだ後に読んでいただくのを強く推奨します!

――では最後に、締めの一言をいただければと思います。

開発:8月からは一週間ごとにイベントが開催されることも含めて、今は色々な仕込みを行っています。ですが、やれることはまだまだあると思っておりますので、これから3周年に向けて随時更新を掛けていきます。ぜひとも皆様お見逃しなく!

――ありがとうございました!


というわけで、約1時間30分に渡ったインタビューはここまでとなります。ゲーム内に実装されている「星見の図鑑」や各種ストーリーを見てもらえれば嫌というほどわかるのですが、本当にこの『ワーフリ』世界は奥深く、考えれば考えるほどのめり込んでいける沼です(考察勢の方々は本当にすごい……!)。

10月配信予定の第11章、そして11月に控える3周年ではまた新たなことがわかり、そして謎もたくさん出てくることでしょう。それまでに様々なイベントを楽しみ、「星見の図鑑」を読み明かし、『ワーフリ』に思いを馳せながら備えていきましょう!

すえなが

ソウルシリーズ大好き すえなが

1990年3月、神奈川県生まれ。パズル誌の編集を経て、イードへ。「Game*Spark」「インサイド」の編集業務に携わり、同社のアニメ情報サイト「アニメ!アニメ!」も経験。幼少期よりゲームに触れ、現在はCS機・スマホを中心にプレイ中。好きなジャンルはアクションやFPS・TPSなど。『デモンズソウル』を始めとしたフロム・ソフトウェアの「ソウルシリーズ」や、2020年にサービスを終了した『ららマジ』に特に思い入れがある他、毎年の『Call of Duty』に一喜一憂したり、『アクアノートの休日』『FOREVER BLUE』の新作を待ち望んでいたりする。

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