人生にゲームをプラスするメディア

脳だけで生きてる!『グラディウス』のラスボスに見る「SF鉄板ネタ」とその源泉

SFモノで見られる脳だけの存在。その源流はどこにあるのでしょうか…?

その他 特集
脳だけで生きてる!『グラディウス』のラスボスに見る「SF鉄板ネタ」とその源泉
  • 脳だけで生きてる!『グラディウス』のラスボスに見る「SF鉄板ネタ」とその源泉
  • 脳だけで生きてる!『グラディウス』のラスボスに見る「SF鉄板ネタ」とその源泉
  • 脳だけで生きてる!『グラディウス』のラスボスに見る「SF鉄板ネタ」とその源泉
  • 脳だけで生きてる!『グラディウス』のラスボスに見る「SF鉄板ネタ」とその源泉
PCエンジン版『グラディウス』より
さまざまなゲームに登場するボスキャラの魅力をあらためて掘り下げる連載「僕らのボスキャラ列伝」。第16回は『グラディウス』のマザーコンピューターを紹介しつつ、SF鉄板ネタである「単体で生きている脳」の元ネタにせまります。

コナミが1985年にリリースした名作横スクロールシューティングゲーム『グラディウス』は、惑星グラディウスを守るために飛び立った超時空戦闘機ビックバイパーと、他星への侵略の手を止めない亜時空星団バクテリアンの戦いを描くゲームです。

6ステージを戦い抜くと、最終ステージはいよいよ最終目標である敵要塞ゼロスの内部に突入。その最深部で待ち構えるマザーコンピューターは「プラズマ(or電流)のようなものを帯びた脳」という、ちょっと生々しいデザインでした。

『グラディウス』のラスボスであるマザーコンピューター

名目上はこのマザーコンピューターラスボスになるのですが、戦闘力はまったくなく、さらにはショットをまったく撃たず見ているだけでも10秒ほどで自壊します。以来「ラスボスはほぼ戦闘力を持たず、その邂逅は基本的に演出で終わる」のが『グラディウスV』まで続くナンバリングシリーズの恒例となりました。

また、『グラディウス』シリーズは最終ステージが敵要塞内部への突入なのもお約束で、激しい弾幕、行く手を阻む破壊不能の巨大エネミー、閉まる前に通過しそこねるとミス確定のシャッターなど、殺意に満ちたさまざまな敵や仕掛けが歓迎してくれますので、筆者はラスボスとの邂逅が演出で終わるからといって拍子抜けすることはまったくありませんでした。

要塞ゼロスを破壊し、惑星グラディウスへと帰還するビックバイパー

「単体で生きる脳」の元ネタはなに!?

さて、ここからは前述のマザーコンピューターのような「脳だけで生きている状態/存在」についてちょっとだけ深堀りしてみます。

これはSFの鉄板ネタのひとつと言えるもので、『グラディウス』の翌年にリリースされた『メトロイド』のラスボス・マザーブレインもシリンダーのような容器に詰められた巨大な脳というビジュアルでした。では、その源流はどこまでさかのぼれるでしょうか?

元ネタはゲームではなく海外のSF小説あたりではないだろうか…と当たりを付けながらネットで少しずつ古い情報をさかのぼっていってたどりついたのは、イギリスの著名な研究者であるジョン・デスモンド・バナールでした。

バナールが1929年に記した著書「The World, the Flesh & the Devil」には、「脳は、正しく処方された新鮮な血液に満たされていれば(それ単体でも)生存できるであろう」というようなことが記されているようです。

バナールのその言には根拠があり、わずかな時間ながらも犬の脳を脳単体で生きながらえさせたという実験結果に基づいてのものだったようです。さらに、この本は20世紀を代表するSF作家アーサー・C・クラークが絶賛したとのこと。つまり、後世のSF作品への影響も極めて大きいものだったと考えられます。

さらに4年さかのぼった1925年のSF小説「ドウエル教授の首」にも似たようなネタが書かれているようですが、これはタイトルにも「」とあるように、脳というより「首から上」を生存させるというネタだったようです。

筆者はこれ以上うまく情報をさかのぼれませんでしたが、「実は元ネタはもっと古いんだぜ」というのを知っておられる方がいましたら、ぜひコメント欄でそっと教えてください。PCエンジン miniで初代『グラディウス』と『グラディウスII -GOFERの野望-』を遊びながらお待ちしております!

小説「ドウエル教授の首」のように首から上だけの状態で生きていた『グラディウスII』のラスボス・ゴーファー

メガドライブミニ 6Bコントロールパッド
¥4,980
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
《蚩尤》

汎用性あるザク系ライター(が目標) 蚩尤

1979年生まれのファミコン直撃世代。スマホゲームもインディーズも大型タイトルも遊びますが、自分と組ませてしまって申し訳ないという気持ちやエイミングのドヘタさなどからチーム制のPvPやFPS、バトロワが不得手です。寄る年波…! ゲームの紹介記事に企画記事・ビジネス寄りの記事のほか、アニメなど他業種の記事もやれそうだと判断した案件はなんでも請けています。任天堂『ガールズモード』シリーズの新作待機勢。

+ 続きを読む
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめの記事

その他 アクセスランキング

  1. 「ガンダム ジークアクス」最終回まであと1話! シャアの“変身”に米津玄師さんのポストまで、クライマックスに向け盛り上がる【週間ニュースランキング】

    「ガンダム ジークアクス」最終回まであと1話! シャアの“変身”に米津玄師さんのポストまで、クライマックスに向け盛り上がる【週間ニュースランキング】

  2. 「そら笑うだろ」ガンダム ジークアクス、第11話終えて米津玄師のコメントに共感殺到―「大いに笑いました!」「笑わない方が無理ある」

    「そら笑うだろ」ガンダム ジークアクス、第11話終えて米津玄師のコメントに共感殺到―「大いに笑いました!」「笑わない方が無理ある」

  3. 「ガンダム ジークアクス」第11話の展開に庵野秀明氏も驚き―「あいつら、やりやがった!!と僕も思ってます」

    「ガンダム ジークアクス」第11話の展開に庵野秀明氏も驚き―「あいつら、やりやがった!!と僕も思ってます」

  4. 「ガンダム ジークアクス」第11話でシャアがまさかの大変身!「魔法少女かよ」「キュアキャスバルだ」などSNS大盛り上がり

  5. キシリアとニャアンの衝撃シーンをほっこりに…「ガンダム ジークアクス」沼地どろまる先生の“平和なファンアート”が反響

  6. シロウズ…ではなくシャア!「ガンダム ジークアクス」第11話でついに正体明かす―BS11でアニメ再放送も決定

  7. 大迫力の全高約47cm!「エヴァQ」より「エヴァンゲリオン 第13号機」が立体化ー2本腕(通常形態)と4本腕(暴走形態)をパーツ差し替えにより再現

  8. キシリア様とニャアンが一緒にお風呂…「ガンダム ジークアクス」沼地どろまる先生のファンアートに反響「もう親子じゃん」「てぇてぇ」

  9. 大川ぶくぶ先生の「シャア」が可愛い!「ガンダム ジークアクス」肩章匂わせが話題の中、“このキットにザクはついてきません”な旧キットネタを放り込む

  10. 「ガンダム ジークアクス」第11話で「BEYOND THE TIME(メビウスの宇宙を越えて)」が流れファン熱狂!「寝る前にとんでもないもの見せやがって!」「神回だった」

アクセスランキングをもっと見る