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今さら聞けない「メトロイドヴァニア」―ジャンルの特徴や歴史、オススメ作品を初心者向けに解説!

海外で生まれた造語「メトロイドヴァニア」の特徴や歴史、さらに同ジャンルの代表作品などを紹介し魅力に迫っていきます。

PCゲーム Steam
『メトロイドドレッド』
  • 『メトロイドドレッド』
  • 『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』(iOS版)
  • 『ドラキュラ2 呪いの封印』
  • 『洞窟物語』
  • 『La-mulana』
  • 『Hollow Knight』
  • 『ロードス島戦記ーディードリット・イン・ワンダーラビリンスー』
  • 『Castlevania Advance Collection』

『メトロイドドレッド』が2021年10月にニンテンドースイッチ向けに発売され、日本を含め国外でもセールスは好調なようです。『メトロイド』シリーズも初代が1986年に発売されてから長い歴史を持っているため、初代メトロイドをファミコンディスク実機で遊んだことがある方、あるいは『ドレッド』で初めて『メトロイド』に触れた方もいらっしゃると思います。

『メトロイド』過去作は先に海外版が出てから日本語版が出るという流れになっていたため、特に海外では日本以上に人気のあるシリーズなのですが、携帯機の過去作はプレミア価格がついていることもあり、バーチャルコンソールを除きプレイできる機会は難しくなってきています。

そんな『メトロイド』シリーズの名と『悪魔城ドラキュラ』シリーズの海外名である『Castlevania(キャッスルバニア)』を組み合わせた「メトロイドヴァニア」という海外で生まれた造語ジャンルも、この10年位で一般的になってきました。元々は2D探索アクションやら、プラットフォームアクションなどメトロイド自体のゲームジャンルも固定されておらず、この造語が一般的になるまではどのゲームメディア/メーカーも割と自由なジャンル名を付けていました。最近ではつくり手側も呼称し出したこともあり、現在ではゲーム評価にも直結するハードルにもなっています。

『ドレッド』で興味を持ち「メトロイドヴァニア」というジャンルに興味を持たれた方も多くいらっしゃると思います。そこで本記事では、「メトロイドヴァニア」の特徴や歴史、さらに同ジャンルの代表作品を紹介し魅力に迫っていきます。

◆どうしてそんなジャンル名が生まれたのか

実はこの「メトロイドヴァニア」という言葉の元々の語源はハッキリとしていません。ただ広義としてはプレイステーション向けに発売された『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』(上記画像はiOS版)がベースになっていると言われており、後期シリーズのプロデューサーでもあった五十嵐孝司(IGA)氏の言葉を借りるなら、『メトロイド』シリーズが販売されていなかった空白期に生まれた同作の探索アクションがメトロイドを想起させたことが一因となってこの造語が生まれたのではないか、と言われています。

そんな『悪魔城ドラキュラ』シリーズも『メトロイド』シリーズと同じくほぼ全ての過去作がプレミアがつくほど入手困難になっているのも共通項として面白い所です。

ファミコンで発売された『ドラキュラ2 呪いの封印』では後の探索アドベンチャーに繋がるRPGスタイルを模索していたような片鱗も伺えます(画像はAnniversary Collectionより)。

◆で結局「メトロイドヴァニア」って何?

基本的にはダンジョンを探索し、道中のギミックなど、アイテムを手に入れることで切り抜けられるようになったりと探索がメインとなっていて、謎などを解きつつ目標に向かって進む2Dタイプのゲーム(現在ではキャラクターモデルが2Dか3Dかは特に問われない)を指します。

ゲームデザインとしては、広い連続したフィールドと一方通行でないルートを何度も反復したり、ギミックを解除するのに必要なアイテムなどを延々と探し回るような形になっていることが多いです。

この探索要素は誰がプレイしても同じではなく、ゴールは同じでもプレイヤーによってルートなどが異なってくるのも作品の魅力です。今ではグリッチ(バグ)やテクニックを駆使したとんでもないルートを使ったRTAなども生まれており「メトロイドヴァニア」というジャンルのゲームではそういった楽しみ方も存在しています。

また、「メトロイドヴァニア」は大手ゲームメーカーよりもいわゆるインディーと言われるような小規模な開発チームや個人で作られた作品が多く、そういった点でもコアなユーザーが注目しやすいジャンルになっています。

◆「メトロイドヴァニア」というジャンルを冠されたオススメ作品

洞窟物語/2004年(フリーウェア)(画面は洞窟物語+)

2004年頃、パソコンではフリーゲームが全盛期で、色々なクリエイターが作品を公開していました。その中でも開発室Pixelから発表された本作品は、フリーゲームからNintendoDSのダウンロードウェアという商業作品へ場を移して提供されるほど反響が合った最初期の作品です。

今でも「メトロイドヴァニア」のオススメ作品を挙げる際にはほぼ必ず挙がる名作で、アクション要素だけでなく独特な世界観から織りなされるストーリーはフリーゲームだったと思えないほど濃密なボリュームの作品になっています。現在はSteam/各種家庭用機でもプレイできますが、最初に発表されたフリーソフト版も今でもダウンロード可能なため、オリジナルであるフリーソフト版でプレイしてみるのも良いでしょう。

タイトル:洞窟物語
対応機種(フリーウェア版):PC(Windows)
発売日:2004年12月(フリーウェア版)

La-mulana/2006年(オリジナル版)(画面写真はリメイク版です)

La-mulanaも元々はフリーソフトとして、コナミのMSX版『魔城伝説2 ガリウスの迷宮』をオマージュした作品として発表されていました。このガリウスの迷宮も探索アドベンチャーという点では1987年頃に発売された非常に古い作品で、キーボード入力も含めた謎解きなど、当時としても高難易度で歯ごたえのあるアクションゲームとしてコアなユーザーには認知されていました。

そんなMSXを再現したフリーソフト版も有名な作品でした(現在は配布停止)が、Wiiでリメイクが発表された後、各種家庭用機/Steam等でも現在は販売されています。人を突き放したような高難易度の謎解きや、悪意にまみれた迷宮を己の知略と腕でねじり伏せることにカタルシスを感じる人には是非ともお勧めしたい作品となっています。

2018年には続編となる『2』も日本のインディー作品では初の快挙とも言えるクラウドファンディングの成功で発売されており、初代と同じく高難易度な遺跡探索を楽しめます。

タイトル:La-mulana
対応機種(フリーウェア版):PC(Windows)
発売日:2006年6月27日(フリーウェア版)

Hollow Knight/2017年

「メトロイドヴァニア」のゲーム作品は、探索に応じてキャラクターが強化されるなどして、クリア自体はそこまで難しくないデザインになっていることも多いです。

そんなジャンルでありながら『DARK SOULS』に影響を受けた本作品は探索だけでなく戦闘面も高難易度になっており、死に覚えるゲームになっているだけでなく、「虫の世界」をテーマにしたシナリオはダークで若干人を選ぶゲームになっています。

ですが、「メトロイドヴァニア」というジャンルに新風を吹き込ませた本作品は間違いなく傑作の一つです。

タイトル:Hollow Knight
対応機種:PC(Steam/Windows/MAC/Linux)/Nintendo Switch/PlayStation 4
発売日:2017年2月25日

ロードス島戦記ーディードリット・イン・ワンダーラビリンスー/2020年

元々はニコニコのゲームマガジンで『ファラオリバース』という作品を作っていたスタッフ陣により結成されたチームの作品で、前作には東方二次作品である『Touhou Luna Nights』という「メトロイドヴァニア」の作品も販売されています。

上記の開発実績など含め、原作公式認可作品として開発されたのが『ロードス島戦記 -ディードリット・イン・ワンダーラビリンス-』で、『ロードス島戦記』というこちらも息が長い小説を原作としています。原作者の監修を受けたシナリオとある通り、若干読者向けにはなっていますが、同作品を知らないプレイヤーでも楽しめる丁寧な難易度調整など、後期の「メトロイドヴァニア」作品としてはお手本といえる作品ではないでしょうか。

タイトル:ロードス島戦記ーディードリット・イン・ワンダーラビリンスー
対応機種:PC(Steam)/Nintendo Switch/PlayStation 4/PlayStation 5
発売日:2020年3月13日
※本作品の正式リリースは2021年となりますが、早期アクセスとして2020年から提供されているため、そちらに合わせております。

Castlevania Advance Collection/2021年

「メトロイドヴァニア」というジャンルは『悪魔城ドラキュラ』シリーズの海外名である『Castlevania』を組み合わせたと言われるように、『月下の夜想曲』以降の作品は探索アドベンチャーとしての側面がフィーチャーされる傾向にあります。そのため一つ一つの作品が何十時間以上もやり込める程のボリュームを持っています。

特に探索アドベンチャーとして開発されたゲームは携帯機シリーズに偏っており、ほぼ全ての作品の原版は現在もプレミア価格で取引されているほどプレイしづらい環境下にあります。ですが、『Castlevania Advance Collection』はそんなプレミアタイトルの中でもゲームボーイアドバンスで販売されたタイトル群でバンドルされたパッケージタイトルになっています。機能面も追加されたこともあり、原版よりも更に遊びやすくなっています。

『月下』以降、その新機軸で開発された作品群となるため、まだ若干粗さの目立つ一作目『サークルオブザムーン』(2001)、海外と同一タイトルの『キャッスルバニア』になり、某動画サイトではIGA氏にも認知されるほどの名言を生み出し続けた『白夜の協奏曲』(2002)、『月下』の主人公アルカード以降の人気キャラクターとしてシリーズを繋いだ来須蒼真のシリーズ初作品『暁月の円舞曲』(2003)などゲームボーイアドバンスで販売された三作品はどれもが独自のシステムを持っており、どの作品も「メトロイドヴァニア」とも言われるゲームスタイルを堪能できるでしょう。

筆者の収録作品の中でもオススメは『白夜の協奏曲』です。多関節アニメーションなどの挙動と言ったオールドスタイルなオマージュが散りばめられた本作品は、過去古くから続く『悪魔城ドラキュラ』シリーズの雰囲気も味わえる傑作タイトルです。

タイトル:Castlevania Advance Collection
対応機種:PC(Steam)/Nintendo Switch/PlayStation 4/Xbox One
発売日:2020年3月13日

Bloodstained: Ritual of the Night/2019年

『悪魔城ドラキュラ』の後期プロデューサーでもあり、『月下の夜想曲』から参加している五十嵐孝司(IGA)氏の独立後のタイトルです。クラウドファンディングにより行われた本作品の開発は「IGAVANIA」というジャンル名がご本人から発せられるという驚きの中、大成功とも言える結果とともに開発が行われました。

筆者もサントラとアートブック目当てでバッカーとして参加しています。

『月下』以降、プロデューサーとして開発に参加していたIGA氏の作品であるが故、ファンからの期待は大きいものでした。

蓋を開けてみれば期待を裏切ることなく、過去シリーズに引けを取らないボリュームを持った作品になっており、単なるセルフオマージュとしてだけでなく、同ジャンルに「IGAVANIA」としての矜持を示していました。

◆最後に

今でこそ「メトロイドヴァニア」という単語は浸透してきており、ゲームメディア以外でも使用されるようになってきました。ですが、その言葉の語源とも言われる作品が名作であるように我々プレイヤーの印象に強く残り続けるタイトルは、今でも新作でそのオリジナルタイトルとしての期待感に答えてくれています。

『メトロイドドレッド』も新作として発売され、その売上と同じように好印象な感想がユーザーから出てくることを見ても、オリジナルタイトルの矜持ともいえるかもしれません。任天堂やコナミが「メトロイドヴァニア」というジャンルを呼称することはないかもしれませんが、そのジャンル名が存在する限りはオマージュ/リスペクトタイトルのハードルは高くなっていくことでしょう。

ドレッドで初めてメトロイドに触れた方も、「メトロイドヴァニア」というジャンルに興味を持ったあなたも、是非ともリスペクトに溢れる「メトロイドヴァニア」と呼ばれる作品群に飛び込んでみてください。


《rate-dat》

面白そうなことに頭を突っ込んで火傷してます rate-dat

本業はデザイナー。 印刷物やWeb、写真加工など色々とやっています。

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