
アプリやゲームの開発・運営に関わる情報が出揃うGTMF(Game Tools & Middleware Forum)。今年も「GTMF2017 TOKYO」が7月14日(金)、秋葉原UDXにて開催されました。今回はその中でも「アプリのバックエンドを支えるサービス「mBaaS」のご紹介(ニフティクラウド mobile backend)」という講演の内容について、ご紹介しましょう。

スマートフォンアプリの開発は一般的に、プレイヤーの目に見えない裏側で様々なプログラムが処理されていくバックエンドと、メニュー画面やボタンの位置などプレイヤーの目に映る部分を作り込んでいくフロントエンドに大別されます。その中で、バックエンド機能の開発を手助けしてくれるサービスはmBaaS(mobile backend as a Service)と呼ばれており、ニフティ(現・富士通クラウドテクノロジーズ)が提供するmBaaSのサービスの名称が「ニフティクラウド mobile backend(NCMB)」です。
NCMBを導入した際の大きなメリットは、プッシュ通知やユーザーのログイン・ログアウトを記録する会員管理、ガチャやフレンドといった、最近のゲームアプリには必須と言える各機能が簡単にアプリに実装できるということです。NCMBの利用者はこれらの機能から「既存のアプリにプッシュ通知だけ追加したい」や「セキュリティの高いガチャ機能だけ使いたい」といった、それぞれのニーズに合わせて必要な機能だけ選べるようになっています。
また、NCMBは常にアップデートされるため、appleやGoogleが行う細かな仕様変更への対応コストが軽減されるのも、アプリ開発者には嬉しいポイントと言えるでしょう。

講演の後半では、実際にNCMBを使ってサービスを行っているアプリの紹介として、『強くてNEW GAME』『弱虫ペダル Connect Road』といった法人アプリから、『Solokus』『ひとりぼっち惑星』など個人のゲームクリエイターが作ったものまで、多くのタイトルが挙げられました。
こういったタイトルでは、iOS/Androidをまたいでユーザーの成績を集計するランキング機能や、データベースを活用するフレンド機能、ユーザーのログイン状態や所持アイテムの状況を確認する会員管理機能などが多く使われているとのことです。
ゲームアプリの中には少人数もしくは1人で開発されるタイトルも数多くありますが、NCMBを使えば限られたリソースの中でも、アプリの開発や運営に必要な機能が手軽に実装できると紹介されています。

実は筆者も数年前に、少人数体制でゲーム開発に取り組んだことがあります。ゲーム開発を始めるのにまず必要となるのが、どんなゲームを作るのかということを定めた要件定義。そこで筆者はガチャやフレンド、ギルドなど様々な機能を列挙したのですが、そうしたゲームアプリとして最低限必要な機能を作るだけで、開発費が跳ね上がってしまうという問題に直面しました。
また、自前でそういった機能を作った場合は「ガチャを回した瞬間にスマホの電源を切っても正しく処理されるか」など、細かいテストを何件もこなす必要があります。少人数や1人でアプリ開発を行っていると、こうした作業に多くのエネルギーが費やされてしまい、ゲームのクオリティを上げる作業に手が回らなくなるという状況が頻発するのです。
NCMBのようなアプリ開発を支援するサービスには、そのような問題を一気に解決してくれる可能性が秘められています。なお、NCMBには法人・個人を問わず、ほぼ全ての機能が無料で使えるプランも用意されているとのこと。アプリ開発に携わっている方々は一度、詳しい情報に目を通してみてはいかがでしょうか。


株式会社ヘッドハイ 代表取締役 一條貴彰氏(左)と、富士通クラウドテクノロジーズ株式会社 山本昇平氏(右)
ニフティクラウド mobile backend(NCMB)公式サイト