
4月25日から4月27日までの3日間、ネクソンの連結子会社であるNexon Korea Corporationが、ゲーム開発者の祭典、Nexon Developers Conference(以下NDC17)を開催していました。本稿では、コーエーテクモゲームス エンタテイメント事業部 シブサワ・コウブランド シニアマネージャー越後谷和広氏による「コーエーテクモゲームスの30年以上継続する「IPの創造と展開」」のセッションレポートをお届けします。
まず初めにコーエーテクモゲームスについての紹介からなされました。コーエーテクモゲームスは2016年から組織体制をIPを軸にしたブランド制に移行したといいます。現在は、6つのブランドで事業を展開しており、その6つは下記の通り。

・シブサワ・コウ 「三國志シリーズ」、「信長の野望シリーズ」、「大航海時代シリーズ」など。
・ω-Force 「真・三國無双シリーズ」、「戦国無双シリーズ」、「討鬼伝シリーズ」、「進撃の巨人」とのコラボなど。
・Team NINJA 『仁王』、「DEAD OR ALIVEシリーズ」、「NINJA GAIDENシリーズ」、『ゼルダ無双』など。
・ガスト 「アトリエシリーズ」、「よるのないくにシリーズ」など。
・Ruby Party 「ネオロマンスシリーズ」など。
・midas 今年度設立したスマートフォン向けゲームブランド。
◆最初の仕事は横山光輝の「三国志」をひたすら読むこと
続いて越後谷氏の自己紹介に。1990年に当時の光栄に入社、越後谷氏はコーエーテクモゲームスの歴史を見てきた人物と言えます。もともとは開発を担当したかったわけでなく、学生時代にバンドでベースを担当していたこともあり、本来は曲作りをしたかったそうですが、学部が理系であったためか入社後プログラマーに配属されたとのこと。入社後、3ヶ月でプログラマー失格の烙印を押されプランナーに配置転換されたというエピソードを披露し、会場の笑いを誘っていました。
プランナーに転属後、最初に行ったことは1ヶ月間、横山光輝の「三国志」を読み続けるということ。この羨ましいような作業が、実は『三國志英傑伝』のセリフを考えるためのものであり、越後谷氏のプランナー人生はここからスタートしたのだといいます。その後、『真・三國無双2 猛将伝』、『戦国無双』、『戦国無双 猛将伝』のメインプランナー、『真・三國無双 Online』のディレクターやプロデューサーを担当し、現在はシブサワ・コウブランドにて『三國志』のIPプロデューサーに就任したといいます。
◆コーエーテクモゲームスのIPの創造と展開
ここからはコーエーテクモゲームスの経営方針について話が移ります。越後谷氏は、現在は「IPの創造と展開」を第一に開発を行っているといいます。「IPの創造」については、新しいゲームを作るという動きが活発で「信長の野望シリーズ」、「真・三國無双シリーズ」といった作品を続けていくとしつつも、新しいIPを作ることに注力していると述べました。具体的には、「新IPの一作目をヒットさせる」ことに集中することで、その結果生まれた作品が『討鬼伝』、『仁王』の2作。IPの創造に関しては様々な要素がありますが、それはキャラクターだけでなく、ゲームシステム、サウンド、CGといったリソース類も含めてユニークなものを作っていこうというのが『三國志』を30年以上続けてきたコーエーテクモの精神だと話します。
また、IPの創造だけでなく「IPの展開」も大切だと越後谷氏は語ります。プラットフォーム展開、他のタイトルとのコラボ展開をしていくことでIPが派生していき、新しいIPを創造していくサイクルが重要と話します。実例として、まず『三國志』があり、その後に格闘ゲームの『三國無双』が生まれ、そこから『真・三國無双』に派生し、同じ無双でありながらユニークな『戦国無双』が誕生、といった流れで新たなIPがどんどん登場している、と紹介しました。

◆IPが成功するための第一条件とは?
越後谷氏は成功したIPの事例として『真・三國無双』、『戦国無双』を挙げ、両作を通じて感じたことは「キャラクターが個性的」、「システムがユニーク」であることと話します。すでにコーエーテクモには『三國志』や『信長の野望』といったゲームがある中、『真・三國無双』の曹操、『戦国無双』の信長はこれらのゲームとは全く違うキャラクターとして独立して存在しているといい、「キャラクターの個性の確立」は不可欠であると述べました。
これに加え、システムがユニークでなければならないと越後谷氏。『三國志』は戦略シミュレーションですが、『真・三國無双』はタクティカルアクションとして新しいジャンルを確立。プレイヤーの行動が軍の動きを左右する、戦術性のあるアクションゲームとして作られたのだと述べました。
一方、『戦国無双』に関しては、制作する際に『真・三國無双』とは異なる、ボタン連打だけでないアクションの工夫を取り入れているといいます。また、ゲーム中の切り札である「無双奥義」については『真・三國無双』のようなボム的ものではなく、緊迫感を出すために切れ味のするどいクイックアクションを導入したといいます。『戦国無双』のアクションを『真・三國無双』のまま変更せずにいたら、IPとして独立せずただのスピンオフとして留まっていたのではないか、と越後谷氏は話し、「キャラクターだけでなく、ゲーム性としてもユニークなものを作ることが成功の第一条件、どこまでユニークでいられるかを徹底的に突き詰めることがヒントになるのでは」と会場の開発者にアドバイスを送っていました。
取材協力:ネクソン 《山崎浩司》
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