従来、ビデオゲームプレイは視空間能力に対する好影響などが知られている一方、特定タイプの言語記憶、注意、睡眠、学業、知識などに対する悪影響やビデオゲームプレイ時の多くのドーパミン放出による中毒が懸念されてきた。しかしながら、これまでの脳画像研究においては、ビデオゲームによる言語系やドーパミン系のネガティブな影響と関連した長期の神経基盤の変化は明らかにされていなかったという。今回の研究は、拡散テンソル画像解析と呼ばれる手法の拡散性という指標を用い、これらを縦断研究で明らかにすることを目的に行われた。
研究は一般より募集した5歳から18歳(平均約11歳)の健康な小児に参加してもらい実施。初回時に日々のビデオゲームプレイ時間を含む生活習慣などの質問と知能検査、MRI撮像を行い、その後3年後に再び研究参加者の一部に参加してもらい、再び知能検査とMRI撮像を実施した。
その中から、初回参加時の行動データや脳画像データを解析し、平日に参加者がビデオゲームをプレイする平均時間と言語性知能、動作性知能、総知能、脳の局所の水分子の拡散性と呼ばれる指標の関係を分析。次に初回参加時と2回目参加時の行動データおよび脳画像データを解析、初回参加時のビデオゲームプレイの平均時間がどのように各参加者の言語性知能などの変化を予測していたかを解析した。
結果、初回参加時における長時間のビデオゲームプレイ習慣は、初回参加時の低い言語性知能と関連しており、数年後の2回目参加時のより一層の言語性知能低下につながっていることが明らかになったという。
今回の研究成果により、ビデオゲームの長時間プレイで小児の脳の高次認知機能に関わる領域が影響を受け、神経系の好ましくない神経メカニズムの発達と言語知能の遅れや低下につながることが示唆された。研究チームでは、ビデオゲームプレイが小児の日常生活において大きな幅を占めるものになっている中、発達期の子どもの長時間のビデオゲームプレイには一層の注意が必要であるとしている。
なお、今回の研究は、脳の微小な形態学的特徴を明らかにできる脳画像解析、大規模なデータ、数年の期間をおいた縦断解析といった手法を用いて発達期のビデオゲームプレイの言語機能や広汎な神経メカニズムへの悪影響の神経メカニズムを新たに明らかにした点などが、従来にない画期的な研究成果として評価され、米国精神医学雑誌「Molecular Psychiatry」に採択された。
竹内光准教授は、神経系の可塑性や脳の情報処理の容量限界、創造性や情動指数などの認知機能の神経基盤について研究している。川島隆太教授は、ポータブルゲーム機のNintendo DSゲーム「脳を鍛える大人のDSトレーニング」を監修したほか、脳機能イメージングや脳機能開発を研究テーマに研究を重ねている。
数年越しの研究で明言、川島教授ほか東北大「ゲームは子どもに悪影響」
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