発表会がこの日となった背景には、同日にガンダム展の内覧会が開催されることになったという事情もありそうだ。おかげでアムロ役の古谷徹さんがゲストとして参加することができたわけだ。
「機動戦士ガンダム展」では、1979年にテレビ放映された「機動戦士ガンダム」にまつわる1000点以上もの制作資料を展示。目玉といえるのが、ガンダムシリーズの生みの親である富野喜幸(現・富野由悠季)総監督によるメモや企画書。
そして富野総監督のアイデアを受けて中村光毅氏が描いた美術設定ボード、安彦良和氏によるキャラクターデザイン画、大河原邦男氏の「モビルスーツ」を中心とするメカデザイン画なども豊富に展示。
企画案に沿って描かれた初期設定画から決定稿へいたるまでの、4人のクリエイターによる試行錯誤はまさしく「ものづくり」の本質を浮かび上がらせている。同時に、後に巨大コンテンツへと成長してゆくアニメ作品の誕生前夜の熱気も感じることができる。
またアニメ本編で使用された原画は膨大な数が掲出されている。生々しい筆跡からはアニメーターの息づかいすら感じられそう。さらに用紙を切り貼りすることで、躍動感のある画面構成を動画担当に伝えようとする創意工夫も見ることができた。
内覧会では古谷徹さんと、サンライズ(アニメ制作会社)の佐々木新ゼネラルマネージャーによるギャラリートークを開催。放映時には打ち切りだったことをはじめ、当時の思い出が感慨深く語られた。
多くのファンは、人物キャラクターやモビルスーツの資料に注目することだろう。しかしこの展覧会の魅力はそれだけではない。美術設定からは、当時の最先端の科学技術を踏まえた本格SFに劣らない世界観が構築されていることがわかる。
また富野氏が「フリーダムファイター」という仮称で企画を立ち上げ、その後「宇宙戦闘団ガンボーイ」、「機動鋼人ガンボイ」と変わってゆく企画書も必見。当初は、主人公が「否応なく戦争に巻き込まれ、生き延びるためにゲリラ活動へ身を投じてゆく」という、ベトナム戦争の影響を感じさせる内容だったのだ。
さらに「スポンサーの意向で、人型ロボットを登場させることになった」という経緯も隠さない。大河原氏の初期スケッチからは、人型巨大兵器という設定ではあるものの、玩具としてのデザインを訴求していたことが感じ取れる。
このほか制作資料ではないが、ファンならニヤリとする展示物もある。最終回の名シーン「ラスト・シューティング」の寸前、シャア操るジオングによって吹き飛ばされたガンダムの頭部を、実物大で再現したものだ。公式には頭部の行方については設定が存在していなかったため、新たに考証して制作されている。
「機動戦士ガンダム展」は森センターアーツギャラリー(東京・六本木ヒルズ)で9月27日まで開催されている。会期中無休。
「ガンダム」はいかにして誕生したのか?…機動戦士ガンダム展
《古庄 速人@レスポンス》編集部おすすめの記事
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