デローラ氏はゲーム開発者としてのキャリアに加えて、『Game Programming Gems』シリーズなどの著者としても知られており、CEDEC2011でも「西洋におけるゲームエンジンとミドルウェア」と題して講演するなど、日本とも縁の深い人物です。またIGDAで2003年に理事に就任するなど、大手からインディまで幅広いネットワークを備えています。
そのデローラ氏はGDCで「A View from the White House: Games Beyond Entertainment」(ホワイトハウスからの視点:エンタテインメントを越えたゲーム)と題して講演を行いました。同氏は2014年9月にホワイトハウスで開催された「White House Education Game Jam」について紹介し、オバマ政権が教育分野におけるシリアスゲームの活用に積極的に取り組んでいることをアピールしました。
デローラ氏のブログ(http://www.whitehouse.gov/blog/2014/10/06/white-house-education-games-jam)にも紹介されているように、White House Education Game Jamは9月6日-8日の48時間で開催されました。ジャムの目的は、教師が小学校6年生の授業で使えるツールのプロトタイプを開発すること。運営事務局には米教育省とスミソニアン博物館、NASAが名前をつらね、歴史・英語・数学・科学などを楽しみながら学べるゲーム作りが行われました。
ジャムにはゲーム業界と教育界から合計128人が参加し、23本のゲームが制作され、発表会と小学生を招いてのプレイ大会も行われました。参加者の内訳はゲーム側がディズニー・インタラクティブ・スタジオ、ロビオ、SCEA、UBIといった大手からインディゲーム開発者まで105人。教育界からは教育関係者や学生、研究者など23人となっています。開発されたゲームの一部はYoutubeで動画が公開されています。
デローラ氏は、このうち『ENDEMOS』と『Global Doomination』の2作を紹介しました。前者は新しい動物を自由にエディットしてバーチャルワールドに配置し、食物連鎖や生態系について学ぶというもの。プレイヤーは動物のサイズ、寿命、生命力、移動速度に加えて、肉食・草食などを選択できます。後者は惑星の環境を自由に調整しながら、体に羽を生やした不思議な生物の増殖などを観察できるというものです。
今回の成果については、Games for ImpactやIGDAのLEG(Learning, Education and Game) SIG、Games and Learningといったシリアスゲーム関連の主要コミュニティとも情報を共有し、議論を深めていく計画です。またGames for Change、Games+Learning+Society、Serious Playなどの主要カンファレンスにも、ホワイトハウスとして参加する予定だとしています。
■関係者を動かすのは客観的なデータの積み重ね
デローラ氏の肩書きは、ホワイトハウスの科学技術政策局にある、技術イノベーション部門の上級アドバイザーです。2012年2月に同局はゲーム関連団体を集めて、子どもの肥満問題の解決に関する会合を開催しました。その際にGlobalGameJamの創始者として知られるスーザン・ゴールド氏と共に、IGDAの代表として参加したことが契機となってホワイトハウス入りすることになります。デローラ氏は現在70名近くの「非常に聡明な」職員と共に働いており、みな驚くほど良く働くと話していました。
『オレゴン・トレイル』(アメリカ西部開拓時代をモチーフとしたアドベンチャーゲーム)に代表される80年代のエデュケーションゲーム、『ダンスダンスレボリューション』など90年代のエクササイズゲーム、社会現象にもなった『Wii Sports』にみられる2000年代のカジュアル体感ゲーム、そしてゲーミフィケーションの要素を取り入れた『Foldit』とゲームはさまざまに形をかえて、しだいに市民権を得てきました。
その一方で政府のメディア戦略は第二次世界大戦のプロパガンダ映画で急速に力を増し、今ではゲームが政治的メッセージや行政プロモーションの一環にも使用されるようになってきました。デローラ氏はウィスコンシン大学が開発した連邦政府の予算策定ゲーム『Budget Hero』や、月面に宇宙基地を建造するNASAの『moonbase alfa』などを上げ、他にもさまざまなタイトルがリリースされていると紹介します。こうした取り組みが地ならしとなっていきました。
きっかけとなったのが2013年の国際学力テスト(PISA)で、ゲームなどのデジタルメディアを用いた場合、子どもの認知機能が12%上昇するといった調査報告です。これらに加えてオバマ大統領の積極的なゲームの教育活用に関する姿勢があり、政府として取り組みを本格化させることが決定。産業界・教育界との接点やコミュニティ作りも含めて、ゲームジャムという「クレイジーな」形式を採用したといいます。もちろん実施にはデローラ氏の豊富なキャリアが貢献したことは言うまでもないでしょう。
日本がそうであるように、アメリカでも行政という単位でみれば、シリアスゲームにそこまで力を入れてきたわけではありません。そのため、ジャム開催についても紆余曲折があったものの、PISAレポートをはじめとした第三者による調査研究結果が貢献したと補足されました。大物ゲーム開発者といえども、一人で何でもできるわけではありません。シリアスゲームの普及には産官学の連携が必要で、その中心になるのが一連の研究成果であることが、あらためて感じられたセッションでもありました。
編集部おすすめの記事
その他 アクセスランキング
-
「ガンダム 閃光のハサウェイ」ハサウェイが抱えるトラウマとは…? アムロとの戦闘シーンも交えた公開後PVお披露目
-
2,000人の読者が選んだ“『FF7 リメイク』ヒロイン”ベスト10を発表! バレットがまさかの7位、女装クラウドの順位は?【アンケート】
-
コスプレイヤー・えなこの艶っぽ新境地♪オトナな“ホテルグラビア”披露!「MFゴースト」声優デビュー・相沢菜々子も登場の週刊誌「FLASH」発売
-
【コスプレ】『ウマ娘』セイウンスカイが吸い込まれそうな透明感… 注目レイヤー・箱ネコさん【写真9枚】
-
2020年にも脈打つ“ゲームブック”の息吹─「ドルアーガの塔」三部作や「送り雛」などの名作は今も現役! 平成最後の一年に珠玉の作品が登場【電子書籍編】
-
マツキヨココカラが「ジョジョの奇妙な冒険」とコラボか?歴代主人公の要素散りばめた“分かる人には分かる画像”で匂わせ
-
最も人気の高い『ペルソナ』ナンバリングはこれだ! 上位3作が約3%差の熾烈な争い─派生作もジャンル別で激突【アンケ結果発表】
-
大人気「スライムういろう」が復刻販売!『ドラクエウォーク』内でもらえる“おみやげ”を再現、もちもち食感を楽しめる
-
過激コスプレにドキッ!競泳水着から清楚系お姉さんまで目白押し!「コスケット」人気コスプレイヤー&グラビアモデルまとめ【写真35枚】
-
【特集】スイッチ2で遊べるおすすめ新作インディー5選!ブロック崩し×ローグライト、穴掘りからチルな放置系釣りゲームまで個性派作品がずらり












