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クイズ王に勝利した「ワトソン」でも使用されている「Power Systems」がもたらす未来~IBMセミナーレポート

日本アイ・ビー・エムは5月28日に、都内で「Infrastructure Matters 2014~データ活用とITインフラの常識を変える、次世代オープン・プラットフォームの誕生」セミナーを開催しました。

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日本アイ・ビー・エムは5月28日に、都内で「Infrastructure Matters 2014~データ活用とITインフラの常識を変える、次世代オープン・プラットフォームの誕生」セミナーを開催しました。会場では代表取締役社長のマーティン・イェッター氏をはじめ、同社エグゼクティブが次々に登壇。本年4月に発表された、最新チップの「POWER8」と、それを搭載した次世代サーバ「Power Systems」などが、ビジネスや社会をどのように変革させていくかについてビジョンを示しました。

ビッグブルーの愛称で知られるIBM。その業務範囲は広範囲にわたっており、人によって企業イメージはさまざまでしょう。現在主流のパーソナルコンピュータが、IBM PCをベースとしたPC/AT互換機であることは周知の通り。同社が開発した半導体のPOWERシリーズは、古くはPowerPCとしてMacで採用されていました。ゲーム業界においても、PowerPCの流れを組むGekkoがゲームキューブで採用され、PS3向けに東芝・SCEとCellを共同開発したことは記憶に新しいところです。

一方でIBMは世界で大きな存在感を誇るサーバ器機ベンダーでもあります。中でも強みを発揮しているのが、X86アーキテクチャではなく、POWERシリーズを搭載したハイエンド系のサーバ群です。2013年にはクラウドサービス大手の米SoftLayerを買収し、クラウド事業も強化しました。SoftLayerのサーバ群にPower Systemsが採用されることも公表ずみ。Power Systemsは日本のソーシャルゲーム大手でも採用例がみられるなど、徐々に普及が進んでいます。

オープニングでイェッター氏は「データ」「クラウド」「エンゲージメント」というキーワードで、ITビジネスをとりまく環境を整理しました。近年ではビッグデータのビジネス活用が叫ばれていますが、日々増加するデータ量に対して、企業の方が振り回されているというのが実情でしょう。世界中でデータセンターが増設中で、クラウドサービスが花盛りですが、場所や電力なども限界があります。スマホやタブレットといったデバイスの拡大で、人々のデータに接する環境も多様性を増しています。

すなわち、大量のデータを高速に処理し、省電力・省スペースで動作し、セキュリティを高度に担保しつつ、顧客のニーズに迅速に対応していけるITインフラが必要になります。これらを解決する切り札が、POWER8搭載のPower Systemsというわけです。

IBM本社でPower Systemsの旗振り役を務めるDoug Balog氏は「POWER8はビッグデータのために設計された業界初のプロセッサで、情報解析で82倍の高速化が達成できた」とアピール。Googleやサムソンなど30社で構成する、業界コンソーシアムのOpenPOWER Foundationと共に、数々のイノベーションが生まれていると語ります。

一方で日本アイ・ビー・エム取締役執行役員の宇田茂雄氏は「IBM先進テクノロジーの集大成がもたらすもの」と題して講演。POWER8とPower Systemsの組み合わせで、コンピュータやITインフラが従来のバックヤードからフロントエンドに進出し、人間の相談相手になりつつある現状を紹介しました。

昨今のIBMにまつわるトピックで、大きな注目を集めたものに「ワトソン」があります。自然文を解析して回答を示す質疑応答システムで、2011年にアメリカのクイズ番組に「出演」し、人間のクイズ王を打ち負かしました。この時に使用されたのが、10台のラックに搭載されたPower Systems 750サーバで、合計で2880個のPOWER7プロセッサが使用されました。宇田氏は「これがPOWER8世代になると、日常的なサービスで使用できるようになります」と語ります。

しかもIBMはワトソンをクラウドサーバ上で公開し、一般のデベロッパがAPIを経由して使用可能にする方針を発表しました。ポイントはクイズ番組の出題者と回答者のように、一般客の幅広い質問に対応するサービスが構築可能になるという点です。すでに医療や資産管理などで活用されており、さらに幅広い用途が期待されています。すぐに連想されるのはカスタマーサービスですが、ゲームへの応用も考えられるでしょう。コンピュータが、より身近な存在になってきたのです。

POWER8はなぜ他のプロセッサ、たとえばX86などよりも効率的に動作するのか。その鍵はユニークなアーキテクチャにあります。宇田氏は「半導体のアーキテクチャにはCPUのコアを数多く分割する流れと、コアあたりの処理性能を高める流れがあり、POWER8は後者を極めた」といいます。実際にPOWER8ではx86の4倍のスレッドを同時処理できます。さらに「高速メモリーアクセス」と「高速I/Oアクセス」の実現で、メモリ帯域幅でX86サーバの4倍、I/O帯域幅でPOWER7+の2.4倍を実現。前述の「82倍の高速化を実現」したと説明しました。

またPOWER8アーキテクチャはコスト削減にも効果的だと言います。第一にソフトウェアライセンス費用の削減です。商用ソフトウェアのライセンスはコア数あたりで契約される例が多いからです。サーバの設置面積も一般的なX86サーバに比べて24分の1、消費電力も12分の1ですむと紹介されました。新たにデータ配置方式のうちリトルエンディアンに対応したことで、x86/LinuxアプリケーションのPOWER8対応も容易になったといいます。

会場ロビーではPOWER8搭載サーバのIBM Power System S814や、POWER8のチップセット、300mmウェハーが展示されていました。またPower System上で動作するOSである、LinuxディストリビューションのRed Hat Enterprise Linuxや、デプロイツールのUbuntu Juju、SoftLayerなどのデモも披露されました。このほかモバイルアプリケーションの開発プラットフォーム「IBM Worklight」も紹介。HTML5やJavaScriptを使用して、複数OSに対応したアプリを一元的に開発でき、WorkLightサーバの活用で統一されたAPIを使用できるなど、生産性の高さをアピールしていました。
《小野憲史》
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