2013年には「モーニング」や「アフタヌーン」などの電子版配信が相次いでスタートし、単行本に比べると消極的だったマンガ雑誌の電子化も活気を帯びてきた。DeNAもこの流れを汲み、新たな電子連載のかたちを提案するマンガ雑誌アプリのリリースを決定した。
「マンガボックス」はマンガ業界から多くの協力を得ているのが注目すべき点である。雑誌アプリ編集長には人気作『金田一少年の事件簿』等の原作を手掛けるヒットメーカーの樹林伸さんを迎えた。
創刊号では講談社がコンテンツを提供し、作品の単行本化も行う。今後は小学館も参加する予定だ。DeNA自社編集部の作品を含めて、配信コンテンツの拡充を進めていく方針を明らかにしている。
記者発表会では、DeNA代表取締役社長兼CEOの守安功さん、DeNAエンターテインメント事業本部の川崎渉さん、講談社取締役の古川公平さん、編集長の樹林伸さん、さらにスペシャルゲストとしてタレントの福田彩乃さんが登壇。今後の事業計画や、スマートフォン時代のマンガ連載について語った。
守安さんは「マンガボックス」のコンセプトの一つに、グローバルプラットフォームに対応している点を挙げた。本アプリはサービス開始時点で日本語版と英語版の同時配信が行われ、将来的にはさらなる多言語対応も検討しているとのことだ。
DeNAが強みを持つモバイルインターネットの分野と既存のマンガ出版業界との協業によって、マンガ文化を世界に発信していくとコメントした。
編集長の樹林さんは「マンガボックス」の特徴について、無料であることが強みになると話す。樹林さんはマンガ雑誌の部数低迷の要因に、立ち読みが難しくなったことを挙げた。立ち読みが出来ず、作品に触れる機会が少なくなった悪循環を、無料の「マンガボックス」で打破したいと考えているようだ。
それだけに樹林さんは、「マンガボックス」は紙のマンガ雑誌の代替ではなく、立ち読みの部分を補完してくれるものだと語っている。紙のマンガを否定する気はまったくなく、むしろアプリを通じて紙のマンガに戻ってきてほしいと明かす。
紙と電子書籍、どちらかを主流にするのではなく、マンガ界全体を底上げしたいという狙いは、IT会社と出版社が協力して誕生した「マンガボックス」らしい取り組みと言えるだろう。
最後は樹林さんと共に、ゲストの福田彩乃さんが登場した。ものまねタレントとして活躍する福田さんに促され、樹林さんも「金田一少年」のモノマネを披露するなど、これまでとは一転、賑やかなイベントとなった。
[高橋克則]
マンガボックス
https://www.mangabox.me/
開始日: 2013年12月4日
配信先: 日本、欧米、アジアなど140の国と地域
対応機種: iOS5.0以上、Android2.3.3以上
対応言語: 日本語、英語
利用料金: 無料
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