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次世代機も視野に入れて開発を進行中―新作サバイバルホラー『PsychoBreak』木村雅人プロデューサーインタビュー

木村雅人プロデューサーがデモプレイを披露し、北米メディアにとって事実上の「初お目見え」となったTango Gameworksの新作サバイバルホラー『PsychoBreak(サイコブレイク)』。

ソニー PS3
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木村雅人プロデューサーがデモプレイを披露し、北米メディアにとって事実上の「初お目見え」となったTango Gameworksの新作サバイバルホラー『PsychoBreak(サイコブレイク)』。

id softwareの最新ゲームエンジン、id Tech5上で開発されており、Direct X11上に対応しているため、デモでは「今世代機以上・次世代機未満」のテクノロジーで作られていると説明されました。空気中の塵や、血の滴りまで表現された画面演出は、まさに次世代クオリティ。デモの詳細プレビューや三上真司氏のインタビューも公開しているので、あわせてご覧ください。

デモプレイでは木村プロデューサーが鮮やかなコントローラー裁きでゲームを完走。もっともプレスから「移動しながら撃つことはできないのか?」という質問に対して、「自分が下手なだけで、ちゃんと動きながら撃てます」といった回答も聞かれました。その後、国内プレス向けに木村プロデューサーを囲んで、グループインタビューが実施。次世代機への考え方をはじめ、これまでの内容をもとに、さらに踏み込んだ質疑応答がなされました。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

―――海外プレスの反応はいかがですか?

かなりポジティブにとらえられています。「サバイバルホラー」というジャンル自体は北米ではちょっと弱まってきているジャンルかなあと言われているのですが、この作品は楽しみにしていると言われます。

―――前回のプレスツアー(4月末)から約一ヶ月で変わったところを教えてください。

大きな変化はありません。ただ、今回見ていただいたのは、いわゆる次世代機の技術を使っているため、ビジュアル的に少し進化しています。もちろん、開発チームの方はどんどん新しいモノが入っています。そちらは改めてみていただく機会があると思います。

―――id Tech5エンジンはデフォルトでDirect X11対応となっていますが、どういった部分が違いとして現れていますか?

まずはスペックの部分でまったく違います。メモリやシェーダーなどもリッチになっているので、細部が全然違います。

―――そもそもid Tech5エンジンを採用した理由を改めて教えてください。

もともとグループ会社のid Softwareが開発していたことと、性能が良かったことと、プランナー向けのツールが揃っていたことが理由でした。ディレクターの三上(真司)の作り方として、よくいえばライブ感あふれる、悪く言えばゴリゴリ作り替えていって、暗中模索の中で作っていくスタイルがあります。そのためプランナーがトライ&エラーができるツールが揃っていることが重要でした。もっとも、id Tech5はFPS向けのエンジンなので、三人称視点用に自社でカスタマイズしています。

―――どういった部分でカスタマイズされているのですか?

僕らが今回作っているのはサバイバルホラーなので、画面のコントラストが重要でした。明るい部分はより明るく、暗い部分はより暗くしたいというところがあります。そういった部分でシェーダーをかなりカスタマイズしました。

―――攻撃とスニーキングに加えて、トラップという遊び方が増えたことで、クリーチャーとの駆け引きが重要になると感じました。キャラクターAIで何か新しい工夫はされていますか?

キャラクターAIにはかなり力を入れています。たとえばゲームって、チュートリアル的なステージから始まって、だんだん難しくなっていくというように、流れがありますよね。こういったところでもキャラクターAIがかかわっています。それによって、次第に複数のクリーチャーが連携して攻撃してきたり、クリーチャーがトラップを解除したり、逆に使ってきたり、といったようなこともしてきます。クリーチャーは視覚や聴覚も持っているので、物陰から瓶を投げて気をそらして、そのすきに進むといったこともできます。

―――ホラーゲームということで、システムAIについてはどうでしょうか? たとえばノーミスで進んでいたら難易度が上がったり、逆に死にそうな状態では手加減してくれるといったように、動的な難易度調整は行われていますか?

まだ確定しているわけではありませんが、そういったことを入れていきたい、と視野には入れています。

―――何度かデモプレイを見せていただきましたが、クリーチャーの膝を狙って何度も攻撃されていましたね。ただ、今回もなかなか倒れませんでした。

膝を撃ってクリーチャーが倒れたところで火を付けると一撃で倒せるので、それをお見せしたかったのですが、微妙な感じでしたね。実は敵がどれくらいアクティブかというのが、主人公との距離・角度・物音などで変わるんです。それの最終調整がまだ終わっていないので、すきを作ってくれるか否かですね。あとは場所にもよります。今回はクリーチャーがかなり元気だったようで、なかなか倒れてくれませんでした。

―――たとえばクリーチャーの足を打つと足がちぎれて動きが遅くなる、腕を打つと腕がちぎれて、武器による攻撃ができなくなるなど、クリーチャーの部位欠損に関するゲーム性の変化は入っているのでしょうか?

そこはレーティングとの関係もありますが、基本的にはあります。うちの基本的な考え方として、最初に何か制限を設けて、その中でできる表現を行うのではなくて、まず最高の表現を作ってから、改めて検討していく進め方をしています。ただ部位破損が入ることで、多くの方に楽しんでいただけないとか、何かマイナスになってしまうのは本意ではありません。そのため、後に変わっていくところがあるかもしれません。

たとえばデモでクリーチャーの頭がとれて、血が噴き出すといった表現がありましたが、ああいった箇所もそのまま残していくのか、これから検討していきます。ただ、できるだけユーザーの気持ちよさを大事にしたいですね。せっかく苦労してヘッドショットを決めたら、それなりのリワードはあげたいですよね。

―――カットシーンの恐怖演出などが変わる可能性も……。

ゼロではないです。シーンによってはカメラをパンして間接的な表現にする、なども考えられますね。

―――効果音はどのように作られているんでしょうか? 実際に肉を切っているとか?

直感的に状況が分かるような効果音にしたいというのは話しています。実際に音をサンプリングしているところもありますし、素材集を加工して作っているところもあります。弊社の中に小さなサウンドルームがあって、いろいろな道具がありますよ。今後ゲームSEの作り方に特化したインタビューなども、おもしろいかもしれませんね。

―――冒頭で主人公以外に日本人(日系人)の男性ジョセフと、キッドと呼ばれる女性の捜査官が登場しますね。彼らを操作するシーンはありますか?

プレーヤーチェンジはありません。ただし同僚のジョセフと部下のキッド(本名はジュリー・キッドマン。いろいろあってキッドと呼ばれている)は、さまざまな形でストーリーにからんできます。主人公を助けたり、助けられたり、時には反目したりします。そこはぜひ楽しみにしてください。

―――近接戦闘はありますか? たとえばナイフクリアは可能ですか?

はい、できます。ナイフクリアができるように、ナイフだけで敵を倒すこともできます。

―――冒頭のチェーンソーマンは倒せますか?

あの時点では主人公は武器を何も持っていないので、倒せません。ただし、後からチェーンソーマンと再開するシーンがあります。そこでナイフでも何でも武器を持っていれば、がんばれば倒せます。

―――Direct X11対応のゲームエンジンということで、次世代レベルの絵作りがされていると思いますが、良い意味で「画面が汚い」印象を受けました。国産ゲームの多くは画面があっさりしているように感じるのと対照的です。

本作では、いろんな「怖い」場所を用意してあります。たとえば冒頭のチェーンソーマンが登場する場所は、まさにごちゃごちゃしています。嫌悪感があって、すぐにここから離れたい、という場所を作りたかったから、暗くて、じめじめして、汚らしい場所にしているのです。逆にすごくクリーンで、近代的な感じなのに、どこか不安や怖さを感じる場所もあります。場所ごとにユーザーに感じて欲しい怖さを画面で表示しています。

―――暗さ、汚さ、湿度感などで怖さを演出するのは定番ですが、クリーンなのに怖いという演出は珍しいですね。そこまで感じさせるような絵作りを目指されている、ということでしょうか?

はい、そこは説明するよりも見ていただいた方が早いので、楽しみにしてください。

―――デモ後編の小屋のシーンで、トラップをセットしてクリーチャーを食い止めた後、なぜか地下に降りていきますよね。あれはどういった理由がありますか?

そこはまさに、プレイしてもらってわかることなんですが、今回トラップの要素を入れたことで、あるハードルにおけるクリアの仕方がさまざまに広がりました。そのため、あくまでクリアの一例をお見せしたという形です。ただし特定の場所でクリーチャーが無限に登場してきて、戦ったけど弾がつきて終わりなど、進行が不可能になってしまうような、理不尽な展開はありません。

―――細かいところで恐縮ですが、状況によってカンテラの持ち方が変わりますね。

カンテラは武器を構えていると腰からぶらさげ、構えていないと腕で持つようになります。これだけで、ちょっと光源の位置が変わります。腕で持っていると、ちょっとだけ先の方まで照らせるようになります。このことが意味を持つシーンもあります。

―――ある地点で急に別の地点に飛ぶなど、細かいワープシーンがありました。

本作のテーマでもありますが、それがはたして現実なのか、どこか別の世界なのか、わからないから怖いという点があります。クリーチャーにしても、得体が知れないがゆえに怖い、抜け出したいという点を強調しているのです。また、何でもありえるという自由度の幅は大事にしています。

―――E3ではどういった情報が出される予定ですか?

もともと本バージョンはE3向けのデモ版という位置づけです。シアターの中で見られますが、プレイアブル出展ではありません。現在は実写版のトレーラーが公開されていますが、E3前後でゲームのプレイムービーも公開できると思います。またE3後もさまざまなイベントがありますので、段階に応じて徐々に追加情報が出ていきます。

―――最近ではシングルプレイであっても、継続的にプレイするための仕掛けが充実しているゲームが増えています。本作では、どういったことを考えていますか?

大きな要素を追加するというよりも、本作はゲームの戦略性が通常のサバイバルホラーよりも上がっていますので、一つのハードルをクリアするための攻略法がたくさんあります。それがプレイバリューを高める一つになっています。またメインのストーリーでは、訳が分からないから怖いという点がたくさんあります。中には、その謎を解き明かせるだけの深みも持った部分もいくつかありますので、それらをゲーム内の手がかりで掘り下げていくことも、プレイバリューの一つです。

―――プラットフォームについて、PC・Xbox360・PS4・次世代機ということでしたが、単純に次世代機ではグラフィックで1080Pが標準になりますので、単純にゲーム容量が増えます。供給メディアはどのようになりますか? ディスク枚数が増えるのでしょうか? それとも基本ディスクがあって、追加配信という形でしょうか?

そこはまさに調整中です。とりあえずメディア条件は考えずに、ゲームを作っています。メディアでコンテンツを妥協するようなことはありません。

―――海外ユーザーはPC版の内容に対してシビアな傾向にあります。たとえばコンソール版とPC版でUIの作り替えなどは予定されていますか?

はい、そうですね。PC版だから遊びにくいなんて、意味がないですよね。

―――通常の16:9の縦横比よりも、上下を切って横長の画面になっていますが?

そこは三上のこだわりで、わざとそうしています。映画的に画角を広げる・画面が締まるという効果もありますし、主人公の周囲の状況がわかりやすいので、隠れたり、スニーキングがしやすかったり、物陰から向こうを覗き込みやすいといった効果もあります。ゲームとホラーの両方のメリットを考慮した形です。

―――次世代機では動画投稿機能をはじめ、ソーシャル機能が充実すると言われています。こうした「ユーザー同士のつながり」はホラーに必ずしも適さない印象がありますが、どのように捉えていますか?

次世代機ならではの機能やサービスで使って、どんなことができるか、今まさにアイディアを膨らませている段階です。その中からいろいろなことが出てきますが、まだお話しできることはありません。

―――逆にいろんなクリア方法をシェアできるといったことも考えられます。

まさにそのとおりです。基本的な考え方として、ユーザーのゲーム体験を妨げるようなこと、たとえばネタバレであったり、怖さが減ってしまうようなことはしたくないですね。

―――細かいところですが、敵キャラクターは何と呼称するのでしょうか? ゾンビではありませんよね?

特に決まっていません。とりあえずクリーチャーでしょうか? というのも、何か分かってしまうようなものにはしたくないのです。得体が知れないからこそ怖い、という部分を大切にしたいのです。

―――デモでも、長い黒髪を振り回して襲ってくる、手足がたくさんあるクリーチャーが出てきましたね。あれはどういったところから?

長い黒髪が怖い、という記号は日本人独特の怖さの表現方法だと思います。それを盛り込みたかったという点がありました。

―――あるシーンで北米メディアから笑い声が上がっていましたね。あまりにもベタな罠の表現だったため、受けたのだと思います。一方で日本人の感性としては、気持ち悪い、一刻も早く通り抜けたい、というシーンだったのではないかと思います。日本人との感性の違いを改めて感じました。日本人が作って世界に向けて発信するホラーゲームという点で、原点となる「怖さ」のジャッジをどのように行われていますか?

そこは三上の作り方で、いろんな人間とディスカッションをしてとりこんでいく、幅の広い作り方をしています。一方で怖い、気持ちいいという原始的な感情は、根本のところで世界共通だと思っています。ここを一番のベースにおいて、直感的に楽しめるものを作っていきたいですね。

―――ありがとうございました。
《小野憲史》
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