その膨大なユーザー数を誇る『League of Legend』の世界では日常的に有害なプレイヤーによる攻撃的な発言、ネガティブな行動による問題が報告されています。
RiotGamesではスペシャリストチームを立て、プレイヤーの問題行動の削減に当たっており、このセッションではスペシャリストチームの一員であるJeffrey Lin氏が取り組みについて紹介しました。
もし有害なプレイヤーをこのゲームから取り除けば、プレイヤーの行動の問題を解決することは出来るのでしょうか?
Lin氏が語った答えは「NO」。1人のプレイヤーが有毒な行動をすれば、他のプレイヤーにもそれが伝染し、多くのゲームから有毒な反応が出るとの結果を示しました。つまり、個人的な処分だけでは解決せず、システム的に有害な行動を起こさない仕組みや風土を作っていく必要があるということだそうです。
それでは、そうした仕組み作りに対する努力はどのように行われているのでしょうか。『League of Legend』のスペシャリストチームは4つの実験・取り組みを紹介しました。
第1に紹介されたのは、クロスチームチャットによる実験です。
クロスチームチャット(敵味方区別なしに見えるチャット)による敵チームへのハラスメントが報告されることが多い結果を受けて、クロスチームチャットの表示をオプション化することで、プレイヤーの素行を改善できるのではないかとスペシャリストチームは考えました。
導入後の結果として、クロスチームチャットの頻度に変化はありませんでしたがネガティブな発言の比率は大幅に減り、ポジティブな発言の比率が大幅に伸びました。これはクロスチームチャットの表示を好まないプレイヤーが積極的に非表示化することで、ハラスメントを避け快適にゲームが出来るようになった結果と考えられています。
このように、小さな取り組みで大きなインパクトをもたらす事が出来ること、有毒な行動に触れる機会を減らすことで、プレイヤーを守ることが出来るとまとめました。
第2はTRIBUNAL(裁判所)による取り組みです。
ここではプレイヤー達の行動を管理することで、暴力的で毒性のある行動に影響を与えることが出来るという仮説を立てています。
プレイヤーは、有害なプレイヤーと感じたプレイヤーに対しReport(報告)することで、運営チームに有害なプレイヤーを申告することが出来ます。申告されたプレイヤーは運営チームによるTRIBUNALで裁判に掛けられ処分を決定されます。
TRIBUNALに投票された数は105億に上り、改心したプレイヤーの数は28万を越えると述べています。しかしTRIBUNALの裁きはどれほど正確なのでしょうか。
ここで、TRIBUNALに寄せられたレポートの例を基に、有罪になるケースと無罪になるケースの違いを説明しました。有罪になるケースではチャットログに複数行に渡って敵味方に対する中傷が並べられています。こうした場合には長期間のユーザーアカウントの停止に至る場合が多いようです。一方、申告内容が有害な行動とは一概に言えないような場合や、チャットログにも残っていないような場合には、無罪になることが多いようでした。
第3にTRIBUNALによって警告、BAN(ユーザーアカウントの停止)されたユーザーの行動改善を紹介しました。
このグラフを見ると、警告、BANを受けたプレイヤーの以降の報告率が減少していることが伺えます。また、BANを受けたプレイヤーから運営に寄せられた反省文なども紹介されました。こうした事からも裁判所の対応がプレイヤーの素行改善に役立っていることが伺えます。
第4にTIPSによるプレイヤーの行動改善効果について紹介しました。
League of Legend ではゲーム開始前のロード時間やゲーム開始直後に1行のTIPSが流れます。そのTIPの内容、フォントカラー、TIPSが出されるタイミングにより、プレイヤーの問題行動を削減出来ることを示しました。
他プレイヤーへの中傷を止めさせるようなTIPSが流れた後の試合ではプレイヤーの問題行動が削減されていることが示されています。また、同じ内容であってもフォントカラーで効果が変わってくることを示しました。スピーカーのJeffrey氏によれば赤のフォントはエラー回避や重要さを促進するのに役立ち、青のフォントは想像力を促進するのに役立つとのこと。これらのTIPSはどんなビデオゲームにも利用でき、プレイヤーの行動への影響に多大な可能性を持っていることを主張しました。
RiotGamesでは、『League of Legends』を最もスポーツマンライクなコミュニティになって欲しいとの気持ちを持ってこの取り組みを行っているとのこと。少しの工夫が多くの効果をもたらしたケースが数多く紹介されているのでプレイヤーコミュニティの健全化を考えるメーカーには是非とも参考にしてみてはいかがでしょうか。
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