イベントが開かれたのはKyoto Fanj Hall。予定通り100人程度が入るのならば適切なサイズだったのでしょうが、今回は前向きな悲鳴が上がった形になります。会場はごった返しており、人混みをかき分けるように歩くしかありませんでした。多分人生で一番"Excuse me."を口にした思います。
会場が暗くなりイメージキャラ?のビットサミットロボ(正式名称不明)のダンスムービーから始まった基調講演。口火を切ったのはQ-GamesのRowan Parker氏。
「皆さん今日はご来場いただき本当にありがとうございます。定員を超える数ご参加いただき、身が引き締まる思いです。このことからもお分かりいただける通り、日本のインディー開発は活気と熱気にあふれており、思っていたより非常に力強くあります。大勢のスポンサーとメディアにも集まってもらえました。中には海外から14時間もかけていらっしゃった方もいます。それは彼らが日本のゲーム開発に興味をもち、またそれを信じているということでもあります。」
実際問題として、日本に数ある拠点と比較するとアクセスしやすいとはいえない場所へ海外の大手ゲームメディアが大勢訪れていたことは、決して小さなことではありません。日本のインディーシーンにはいくらか特殊性がありますが、それを踏まえてなお海外勢を惹きつける魅力があったということです。
「インディーゲームのシーンは海外で急速に拡大しています。ゲームサイトやゲーム雑誌を動かしているのは大予算なAAA級タイトルだけではありません。インディーも同列なのです。最もチャンスがあり、最も創造性に溢れ、最も新しいアイデアを受けつけるのはインディーでしかありえません。インディー開発ではパブリッシャーや消費者から課せられる束縛がありません。夢を実現する自由があります。」
非常に示唆的な言葉です。逆にとらえれば、パブリッシャーから資金提供を受け開発する一般的なスタイルは、出資者のみならずマーケットからも創造に制約が加えられるということ。言うまでもなくそれ故にリスク(特に資金面の切実なもの)が伴うわけですが、クリエイターが嬉しい環境とは何かを考えさせられます。
「日本のゲーム開発者たちは独自の視点、独自の美意識を持っており、海外に根付いているものとは異なるポップカルチャーの中で育てられました。これはとても素晴らしいことです。今日私が望むことは、新しいプレイヤーがあなたのゲームを届けるための立ちふさがる障壁を打ち壊し、ゴールへ向かうリソースを紹介し、支援することです。その結果、皆がかつて日本のゲームへ恋に落ちた時の気持ちを思い出させたいと考えています。」
日本人の美意識とポップカルチャー。確かに、改めて指摘されると「Japan-」の接頭語が付けられるゲームタイトルには根底にある独自の地盤を今更ながら感じます。良いか悪いかではなく、日本特有。これこそが、拡大するインディーゲーム世界において日本のデベロッパーが力を発揮しうる最大の可能性なのかもしれません。
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