しかし、一夜明けて振り返るとその空間は意外に冷静だったように思い起こされます。新しいゲーム機を一言で表すと――「優等生」。予想を裏切らず「プレイステーション4」という名前を冠し、次世代機に求められるであろう大方の機能が盛り込まれました。伝説のゲームデザイナー、マーク・サニーが設計に関与したというのは開発者コミュニティにとっては朗報でしょう。たっぷり時間を使って紹介されたサードパーティのラインナップは心躍るものでした。iOSやAndroidなど汎用デバイスとの連携を実現し、フェイスブックやUstreamなどのウェブサービスとも統合される――SCEJ河野プレジデントは「閉じてない世界」と表現しました。
専用ゲーム機不要論に耳を傾けながら、今までのユーザーを満足させるラインナップ、この2つを両立されたプレイステーション4は多くの人を満足させる「優等生」になれる予感がします。期待に違わぬゲーム機、それがプレイステーション4でした。
しかし会場は冷静でした。少々の興奮はあったものの、会場が沸き起こるような事はありませんでした。
10年後にも実現し得ないような大言壮語は鳴りを潜めました。ハードウェアエンジニアだったプレイステーションの生みの親、久夛良木健氏は常に壮大な構想を語りました。コンピューターの進化が生み出す想像もし得ないような輝かしい未来こそがプレイステーションを貫く思想でした。「夢を語ったPS3、現実を見せたPS4」この違いはハードウェアとしてのゲーム機が置かれた状況を明確にしたように思います。コンピューティング性能だけで差別化するのは今の時点では厳しいということです。
プレスカンファレンスでソニーが見せたのはハード性能だけでないゲーム体験の進化です。本体同時発売を目指す、Guerrilla Gamesが開発する人気シリーズ最新作『KILLZONE SHADOW FALL』のプレゼンテーションは圧巻でした。ハード性能を活かした美麗グラフィックで近未来の戦場が描かれ、地上を、空中を銃を携えながらハイスピードでのアクションが展開。主人公が敵の戦闘機を撃破したところで終わります。まるで映画の一シーンを体験するような、これが次世代ゲーム機が実現する遊びです。しかしこれは次世代Xboxでも、あるいは最先端のPCでも、もっと言えば数年後にはスマートフォンでも実現可能な体験です。
このプレゼンテーションには続きがあり、ゲームを披露したGuerrilla Gamesの開発者はメニューを開き、今遊んだ内容を映像として友達とシェアします。プレイステーション3のホーム画面からは、こうした友達の投稿をフェイスブックのタイムラインのように閲覧して、ゲームを軸としたコミュニケーションを楽しむことができます。友達の新たな一面を見たり、新しいゲームへの関心を高めたり、ゲーム機がネットワークを介して開かれた世界を作り上げていきます。そしてこのソーシャルネットワークはプレイステーション4だけに閉じたものではなく、スマートフォンやタブレットからも閲覧可能です。ニコニコ動画やUstreamなどではゲームの実況プレイ(解説しながらゲームを遊ぶ動画)が人気を集めていますが、こうしたゲーム周辺のコミュニケーションを中に取り込んでいこうという取り組みです。河野氏も「ソーシャルには大きな可能性がある」と述べました。
次世代レベルのマシン性能と、ソーシャルとの統合、汎用デバイスとの連携による開かれたプラットフォームへの変化。予測された変化を高いレベルで実現しているという意味でプレイステーション4は優等生的です。ただ、2時間を通じてスタンディングオベーションが無かったという事実はここが東海岸のニューヨークという事を差し引いても、もっと夢が見たかったという筆者の思いを聴衆が共有していたことを示すように感じました。期待は裏切られるべきであったのかもしれません。
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