システムを作り上げたチャド・ルーブルさんの母親は、12年前に脳卒中で倒れ、幸い一命は取り留めたものの、失語症と言語障害を患ってしまいました。12年の間にネットやパソコンの環境は一変し、多くの人がネット環境に親しむようになりました。
脳卒中による言語障害を患うと、発音だけではなくキーボードの文字入力も難しくなるということで、チャドさんは彼の母親だけでなく、同じような状況の人にも、そうした問題を解決したいと思ったといいます。
そこで彼が目をつけたのはKinectでした。まずはじめに「ダッシュボード」という非常にシンプルな画面を構築し、「SimpleOpenNI」でPCから起動できるようにしました。そして、他の人が作ったジェスチャーの認識や、実際にメールを送るためのコードを実装し、現在のシステムが完成しました。
使い方は簡単で、ダッシュボード上に現在の気持ちを表すアイコンが表示されているので、現在の感情に近いものを選択します。もちろんKinectを使用しているので、実際にタッチする必要はありません。そして、最後にその気持ちがどの程度なのかを、携帯の電波アンテナに見立てたアイコンから選択し、緑色の矢印ボタンを押せば、自動的にメールが送信されます。
今後は、新たな機能も搭載したいと考えているというチャドさんですが、彼の母のためにはシンプルなUIが良いということで、当分は改良を続けていくそうです。次のバージョンでは、アイコンの間隔を広くして操作ミスを防ぐようにしたいということです。また、Kinectのカメラから写真を撮影し、簡単にJPEG画像を送れるようにもなるそうです。彼の母はブログのアカウントを持っているとので、そこまで簡単に送れるようにできれば「間違いなく喜ばれるね」とブログで綴っています。
なお、実際にテッドさんの母親がKinectとパソコンでメールを送っている映像はYouTubeに公開されています。
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