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テクノカルチャーとゲームの融合を手がける理由、その可能性 ― 水口哲也氏が語る(後編)

ユービーアイソフトより4月19日に発売予定のPlayStation Vitaソフト『ルミネス エレクトロニック シンフォニー』、開発を手掛けたキューエンタテインメントの水口哲也氏とディレクターであるデインドン氏にお話を伺った。

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ユービーアイソフトより4月19日に発売予定のPlayStation Vitaソフト『ルミネス エレクトロニック シンフォニー』、開発を手掛けたキューエンタテインメントの水口哲也氏とディレクターであるデインドン氏にお話を伺った。

前編は関連リンクからどうぞ)

―――『ルミネス』シリーズの気持ちよさは音楽が密接に関わっていますよね

水口:そうですね。今回34アーティストの曲を世界中から集めましたが、その基準は電子音楽で歴史的に成功しているということでした。「The Chemical Brothers」だったり「Underworld」だったり。でも、電子音楽がすきじゃないと遊べないの?といわれるとそうではないんです。どこが電子音楽かわからないぐらいのエモーショナルな曲が多い。

―――選曲についてはどうでしょうか

水口:選曲に関してはアメリカのプロデューサーであるジェームス・ミルキーという人物が大きく関わっています。彼はもともとメディアの編集長をやっていて、その時点でも有名でしたがキューエンタテイメントに来て一緒にプロデュースをしてくれています。僕らの中では『ルミネス』は世界基準のゲームなので、常に世界中の人が遊んだ時に満足ができるものを目指しています。仮にタイトルやアーティストを知らなくても、やっていたら、聞いていたらファンになってしまうという要素がないとダメだとか。この部分は実はすごく楽しいところで、映画のシナリオを考えるのと一緒でどういう気分で感情のカーブを作っていくのかという考え方をしていきます。

―――音と光とパズルにストーリーが加わっていくわけですね

水口:ゲームはすべて掛け算的で、ゲームデザインやレベルデザインとそこに乗ってくるアートでどうでるかという。このアートやクリエイティブが感情を揺さぶるという、ゲームというのは本当に芸術の域にきたなと思うんです。ゲームを作ること自体が。

―――『Child of Eden』はストーリー性が強いように感じました

水口:そうです。EDENという未来のアーカイブがウイルスに侵されて、自分が浄化していくなかで昔から代々蓄積されてきた地球の記憶とか営みみたいなものが効果音とかエフェクトによって再生されて、それが音楽化されていく。その延長線上にLumiという女性がいて、昔に初めて地球の外で生まれた子が地球の記憶と封印されていて・・・といった具合です。そういう音楽とストーリーの化学反応というのは作っていて新しいことをしているなという感覚になります。『ルミネス』でさえも、一番最後のエンディングまで行った人に泣きましたという人がいて。

―――エレクトロミュージックの起用が多いと思いますが、水口さん自身が感じる魅力とは

水口:「元気ロケッツ」というユニットをやっているんですけど、今の音楽というのはほとんどが電子化されているんですよね。電子化すると何ができるかというと、例えば音楽のなかにmidiの信号を埋め込んだり、波形データをビジュアルで見せたりすることができる。僕らの考える気持ちよさを実現するのにはいろんなものがシンクルしていくような感じが必要となります。「元気ロケッツ」でもクラブライブと映像をシンクロさせたような演出をするんですけど、こういうことが始まった、いやもっともっとこれからすごくなると思います。交わりぐあいとか、クリエィティブとかがプロアマ問わずです。

―――期待をしている、と

水口:そうです。たとえば初音ミクとか自分の作った曲に映像をつけたりすることももっと加速していくでしょうし、もしかしたらそのうち「電子音楽」「エレクトロミュージック」というのが死語になってくるかもしれません。なぜならクラシックのライブなどは別ですが、もうほとんど生音収録の現場ではトラックを別々にわけて90%以上電子化のプロセスを得ているわけです。そういった技術は言葉を超えて世界中で繋がれることなので、音を加工して楽しむ新しい文明が出てくるのではないかと思っています

―――『ルミネス』以外でも日本産のエレクトロミュージック自体が海外に評価を受けていますが、こうして人種や言語が違っていても電子音に世界中の人がノれるのは何故だと思われますか

水口:たぶん電子音にノっているというよりも、人と繋がるために音楽が必要だったと思んですよね。人間がやってきているということは何万年も昔から変わらなくて、音楽というのは祭事だったりお祈りだったり生活の1部としてあったと思います。最初はたぶん歌というよりもリズムがあって、それに歌をのせて何かメッセージを残し続けようとした人がいた。音楽にはいろんな機能があって、ストーリー性があったり、歌ったり踊りたいと思わせるものもある。僕はある時から音楽を元にゲームを作り続けていますが、人間の根本に音楽はありますからゲームとして作るに値するテーマなんですよね、音楽って。

―――それでは最後にお二人から『ルミネス』についてお願いします

DD:今回の『ルミネス』ではスコアはなくなりますけども、ゲームオーバーがないので初心者も楽しめる仕組みになっています。今まで『ルミネス』体験をしなかった人はPS Vitaでぜひプレイしてみてください。オススメですよ。

水口:あえてDDやほかのメンバーを信頼して任せたことですごくいいものができたと感じています。正直なことを告白しますと、自分が関わってきたゲームのなかで遊んでいて一番楽しいんです。これは自分がすみずみまで知っているなかで創り上げるとヘトヘトになってしまってやり続けられないというのもあるのですが、これはずっと楽しんでやれる。それだけでも僕は良くできているとおもっていて、すごくオススメします。PS Vitaを持っている人は絶対買ってください、ソンはさせないんで!

―――ありがとうございました!

『ルミネス エレクトロニック シンフォニー』は4月19日発売。価格はパッケージ版が3,990円(税込)、ダウンロード版が3,300円です。

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《きゃんこ》
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