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エピックが送る渾身のiOS向け『Infinity Blade』について開発チームに聞く・・・「Unreal Japan News」第13回

12月9日のリリース以来、一時はApp Storeのアプリランキングで1位を獲得する等、大好評を博している『Infinity Blade』。今回は『Infinity Blade』を開発したChAIR Entertainmentのシニア・プロデューサー、サイモン・ハーリー氏にインタビューしました。

ゲームビジネス 開発
『インフィニティ・ブレード』がリリース!モバイルからモーションゲームへ、アンリアル・エンジンの新たな挑戦・・・「Unreal Japan News」第12回
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12月9日のリリース以来、一時はApp Storeのアプリランキングで1位を獲得する等、大好評を博している『Infinity Blade』。今回は『Infinity Blade』を開発したChAIR Entertainmentのシニア・プロデューサー、サイモン・ハーリー氏にインタビューしました。



―――最初にゲーム業界に進もうと思ったきっかけについて教えてくれますか?

ゲームを作りたいと思うようになったきっかけは、『Doom』、『Half-Life』、『Unreal Tournament』といったゲームにはまったことです。これらのタイトルにはユーザーが自分たちで追加コンテンツを作れるMODツールがあったのですが、それを使って作ったマップが、とあるコンテストで入賞した結果、ゲーム会社からお誘いを受けました。

子供の頃は、ファミコンの『メトロイド』、『キャッスルヴァニア』(悪魔城ドラキュラ)、『ゴルゴ13』、それからAtari 2600の『Adventure』を夢中でプレイしていました。

ゲーム以外で言うと、なんといっても「スター・ウォーズ」ですね。人生で最初に見た映画がスター・ウォーズだったんですが、それ以来すっかりSFの虜になってしまいました。その他にも「トロン」、「トランスフォーマー」、「G.I Joe」はコミックやアニメも含めて大好きです。

―――『Infinity Blade』のキー・コンセプトについて聞かせてください。

最初から携帯電話向けでタッチスクリーンの操作を前提としたゲームを作ろうというのがテーマでした。指一本で簡単にプレイできて、2分だけでも楽しめるし、2時間続けても遊べるようなゲーム。剣を使った戦闘というのはタッチスクリーンとの相性がベストだし、中世を舞台にしつつ少しSF要素があるというアイデアもとても気に入っています。

―――『Infinity Blade』のストーリーや世界設定について、もう少し教えてください。

一見中世風の世界に見えるけれど、進むに連れて見た目どおりの世界ではないということに気づく。そんな舞台を提供したいと思っていました。ビジュアル的にも探検するのが楽しい新しい世界を構築しつつ、全ての謎は解き明かされない・・・それが我々のやりたかったことです。ストーリーはまだまだ続きますから、お楽しみに!

―――“永遠に終わらない呪われた宿命に抗おうとする血族”というアイデアはどこから生まれたのでしょう?

ゲームの開発にかけられる時間とリソースは限られていますから、バリエーションを変化させつつ同じマップを何周もプレイするというアイデアは制作管理の上からも妥当なものでした。一周目が終わった後も続けて何周もプレイしたくなるように、戦闘部分は繰り返し楽しめるものにしなければなりませんでしたし、やりこみ要素(レベルアップ、ストーリーラインの選択、武器やアイテムの収集とマスター)も加えました。ストーリーラインを枝分かれさせて、子孫としてプレイを続けるというアイデアはこういった事情から生まれ、発展させたものです。



―――『Infinity Blade』のようなリッチコンテンツゲームをiOS用に開発する上で、一番大変だったことは何ですか?コンソール向けに開発していたら気にならないことに、特に注意を払ったといったようなことはありましたか?

もちろんiOSデバイスのハード上の制約はありましたが、それはどんなハードやPC向けに開発していても常についてまわる問題です。どんな場合でもゲームは対象ハード向けに最適化する必要がありますが、iPhone 3GSと4Gのように複数の世代のハードを対象にする場合、更に注意が必要になります。最新ハードの性能を最大限に引き出しつつ、古いハードのユーザーもゲームを十分楽しめるようにしなければいけませんから。『Infinity Blade』を対象ハードの全てにバランスよく調整するのには手間がかかりましたが、遊んでいただいた方々の反応を見る限り、ある程度満足の行く結果が出せたのではないかと思っています。

―――アンリアル・エンジン3を使ってiOSデバイス向けにゲームを開発するのはどんな経験でしたか?

実際、多くの点で驚くほど簡単でしたが、一部で大変なこともありました。開発中に解決しなければならない技術的な問題もいくつか出てきましたが(なんといっても我々のプロジェクトが最初のiOS向けUE3ゲームでしたからね!)、我々はXBLAタイトル(Shadow ComplexやUnder Tow)の開発経験からメモリーサイズの制約が厳しい中での開発に慣れていたので、その点は非常に役立ちました。アンリアル・エンジンの経験がある開発者なら、モバイル向けのアンリアル・エンジンへの移行はとても簡単ですし、PC/コンソール用アンリアル・エンジン3のほとんどの機能やツールはモバイルでも同じように動きます。モバイルゲーム市場はコンソール市場とは大きく異なりますが、今回の経験で様々なことを学ぶことができました。

―――モバイル端末やコンソール、PC、携帯ゲーム機の今後について、どんな風に予想していますか?ひとつに統合されていくのか、別々のものとして共存していくのか?

大きな画面で、一人や複数、またはオンラインで自由に遊べるというコンソールゲームの魅力は無くならないと思います。とはいえ、モバイル端末はものすごいスピードで進化を続けていますし、ごく近い将来HDの信号をワイヤレスで大画面テレビにストリームする、といったことも可能になるでしょう。つまり数年後には、コンソールが出来ることは全てモバイル端末でも出来る時代がやってきます。

問題になるのは、『プレイヤーはどんなゲーム体験を求めているのか?』という点になってくるでしょう。スーパーマーケットでレジに並んでいる2分間に遊ぶゲーム? 友達と並んで座って2時間遊ぶゲーム? オンラインで徹夜するゲーム? 1時間だけ息抜きに遊ぶゲーム? 様々なプラットフォームが選択肢としてあり、それぞれに長所と短所があります。そしてプレイヤーの需要にも常に様々なバラエティがあります。個人的には同じゲームを色々な形で遊べるようになって欲しいですね。モバイル端末でも、大画面テレビでも、オンラインでも、同じゲームが遊べて、データを共有できるような仕組みが出来れば良いと思っています。

―――ChAIRはこれまでに様々なジャンルのゲームを作ってきましたが、今後特に挑戦してみたいジャンルがありますか?

色々なジャンルのゲームを作るのはとても楽しいことですし、今後手がけたいゲームのアイデアもたくさんあります。どんなジャンルのゲームを作るにしても、常に注目を集める傑作を作りたいという思いは変わりません。

―――『Infinity Blade』の今後のアップデートや追加コンテンツ予定について聞かせてください。

つい最近アップデート#1をリリースしました。バグ修正に加えて、たくさんの新しいアイテムや敵が追加されました。次はマルチプレイヤーモードに対応したアップデートをリリースする予定です。それ以外にも色々とアップデートで新要素を追加していく予定ですので、楽しみにしていてください。

―――個人的な『ベストゲーム』を挙げてみてもらえますか?

『Half-Life』、『Dark Forces 2: Jedi Knight』、『メトロイド』、『キャッスルヴァニア』、『Unreal Tournament』、『Deus Ex』、『X-Wing』といったあたりです。

―――『Shadow Complex』がリリースされた時、日本のお家芸である2Dサイドスクロールゲームが現代風に見事にアレンジされ、しかもアメリカの開発者がそれを作ったということに大きな衝撃を受けました。

そんなふうに言っていただけるのはとても光栄です。我々はみんな任天堂やセガのハードで2Dサイドスクロールゲームを遊んで育ちましたし、今でもそういうゲームが大好きです。過去に数多くの傑作を産み出してきた日本の開発者に認めてもらえたなら、何にも勝る喜びですし、我々は日本の皆さんが築き上げたものの上に立っているに過ぎません。

―――時はApp Storeのアプリの中で三冠を達成するなど、『Infinity Blade』は日本でも大好評です。日本の『Infinity Blade』とChAIRのファンに一言お願いします。

ありがとうございます!皆さんのご支援なくしてはとても達成できなかったことです。我々は人々を楽しませるためにゲームを作っていますから、そんなに多くの人が我々のゲームを遊んでくれたことは最高に嬉しいです。我々のゲームを遊んでくれてありがとう、これからももっと楽しめるゲームを作っていきますから、よろしくお願いします!
《土本学》
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