投資銀行IBIS Capitalのレポートによれば、据置ゲーム機の売上はWiiが47%、Xbox360が35%、プレイステーション3が18%とのこと。2009年度の平均開発費はWiiが500~700万ドル(約4億6000万円~6億5000万円)、プレイステーション3とXbox360は1500~3000万ドル(約14億円~28億円)とのこと。Wiiのゲームはプレイステーション3やXbox360といったHD機よりもかなり安く作れる可能性があることが分かります。
同レポートは「メジャーなAAAクラスの60ドル(約5600円)のゲームは100~200万本が損益分岐点である」としています。100~200万本といえば決して少ない数字ではありません。そう考えると開発費が安く済むWiiはパブリッシャーにとってありがたい機種ということになります。
しかしWii市場には強力なライバルが存在します。それは任天堂。Wiiの使い方を最も熟知しており、未開拓のライト層にも知名度が高く、ブランドとしての信頼度もあり、多少のことには動じない企業体力を持っています。
ではWii市場でサードパーティには全くチャンスがないのでしょうか?必ずしもそうとはいえません。UbisoftはWii用ゲーム『Just Dance』の売上が200万本を突破したと発表しました。昨年11月にリリースされた(日本未発売)のダンスゲームで、英国チャートでは1位を何度か獲得、米国のNPDチャートではトップ10圏外→9位→4位と急激に売上を伸ばしています。
『Just Dance』は単なる偶然に恵まれただけのタイトルなのでしょうか。同作は最大4人で遊ぶことができますが、これなどは従来のダンスゲームではあまり見られなかった要素。収録されているのは懐かしい有名ナンバーですし、公式サイトではありきたりな説明よりもゲームを楽しむ人々の動画を前面に押し出しています。
ヒットの秘訣は「ありそうでなかったもの」を作り出すことといわれますが、こうした事実を見ると『Just Dance』が勝利の方程式を忠実に守っていることが分かります。
「ダンスゲームはありきたり」「Wii市場では任天堂が強すぎる」・・・等々問題点は山積みだったはずですが、そこで思考停止しなかったことが勝利を呼びました。勝因は「Wiiの市場を正確に読んだ上で分かり易く楽しそうなものを提供する」という原則を確実に実行したことにあるのです。
100~200万本を売らなければならないパブリッシャーはどこへ行くべきでしょうか。「携帯機で手堅くゲームを作る」「Project NatalやPlayStation Moveが“ライト層にもアピールするHD機市場を生み出す”ことに期待する」「HD機で大当たりを狙う」「iPad効果を狙い、iPhone市場へ打って出る」・・・といった選択肢が思い浮かびますが、開発費が安く最大の売上を持つWiiで成功したということで、『Just Dance』のケースは一つの希望といえるのではないでしょうか。
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