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「ゲームニクス論」から考えるiPhone向けゲーム~IGDA日本SIG-iPhone Apps第4回セミナー

IGDA日本(国際ゲーム開発者協会日本) iPhoneアプリ部会(SIG-iPhone Apps)は12日、「GameDevシリーズセミナー」の第4回として「ユーザーインターフェイス論から考える適切なゲームデザイン手法」と題したセミナーをアップルストア銀座で開催しました。

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IGDA日本(国際ゲーム開発者協会日本) iPhoneアプリ部会(SIG-iPhone Apps)は12日、「GameDevシリーズセミナー」の第4回として「ユーザーインターフェイス論から考える適切なゲームデザイン手法」と題したセミナーをアップルストア銀座で開催しました。

第4回では、弊誌でも寄稿いただいているフリージャーナリストの小野憲史氏と、『iYamato』『iNinja』などのゲームをiPhone向けに開発しているゼペットの宮川義之氏がユーザーインターフェイスという観点から講演を行いました。まずはゲームニクス論を展開する小野氏の講演についてレポートします。

小野氏は「ゲーム批評」の編集長などを務めた後フリーに転身し、様々なメディアで執筆する一方、立命館大学のサイトウアキヒロ氏と共にゲームニクス理論を展開。「ニンテンドーDSが売れる理由? ゲームニクスでインターフェースが変わる」(秀和システム)などを共著として持ちます。

ゲームニクスとは、ゲームが持つ、「人を夢中にさせる」テクニックを体系化したもので、小野氏らはゲーム以外の家電などの分野への展開も目指しています。

その二大要素は「マニュアルを読まずに使い方が分かる」「難しいことでも自然にできるようになる」というものです。この2つの要素を噛み砕くと5つに分けることができます。

・直感的なUI
UIは、入力デバイスの特製をいかにソフトウェアに関連付けるかがキモになります。右に動かすために、右ボタンを押す。左に動かすために、左ボタンを押す。という十字キーは一つ適切なUIの例です。逆に失敗例としては、全く異なる機能のボタンが横一列に4つ並ぶ、ノーラン・ブッシュネル氏の『コンピュータースペース』の例を挙げられます。しかし反省があったのか、その後の『ポン』では、筺体の左右に、画面に対応するようにボタンが配置されています。

ノーランブッシュネル氏のコンピュータースペースボタン配列は横一列で、機能と頭の中が直感的に結びつかないポンになると、左右に分かりやすい配置に


・マニュアル不要のルール理解
マニュアルを読まずともゲームが楽しめるというのもゲームにとって重要なポイントです。一つには「ボタンの信頼度を高める」ことです。ゲームではAボタンで決定、Bボタンでキャンセルという文法がほぼ全てのゲームで共通しています。それを裏切らない事が遊び易さを生みます。iPhoneの場合にもホームボタンで常にデスクトップに戻れるという文法が用意されています。しかしながらUIの一貫性という意味では、デスクトップはアイコン選択式になっている一方で、階層が下がるとリスト形式になり、操作方法が変わるという変則的なインターフェイスになっています。これをWiiと比較すると、常にアイコンを選択するという一貫したUIが採用されていることが分かります。

iPhoneとWiiの1階層目と2階層目


・冒頭でルールを理解させる
『スーパーマリオブラザーズ』や『ドラゴンクエスト』など古典的なゲームから脈々と受け継がれているのは、1面で全てを説明するということです。マリオならば、ジャンプをしてクリボーを飛び越えたり、穴を飛び越えなければ1面はクリアできません。逆に1面をプレイするだけでユーザーは、「マリオというゲームはジャンプをするゲームだ」ということを理解します。『ドラゴンクエスト』では、一通りのコマンドを全て試さなければお城から出られません。それによってユーザーは、「このゲームはコマンドを駆使して遊ぶゲームだ」と理解します。それを押し付けがましくなく実現するのもゲームニクスの一つです。

冒頭でゲームを理解させる


・はまる演出と段階的な学習効果
ゲームの心地よさはゲームリズムとシーンテンポから生み出されます。言いかえれば、ゲームの全体構成と、個々のシーンの構成の両方の心地よさが融合したものです。そしてゲームには目標設定がされます。『テトリス』で言えば、大目標は「長く遊ぶ or ハイスコアを出す」といったところでしょうか。それに対して目先の小目標は「上手くブロックを積む」ということです。すると中目標は「上手く長い棒で同時に沢山の列を消す」ということになります。この小目標と中目標のループ構造でゲームは成り立っています。また、小目標と大目標はゲームから与えられるものですが、中目標はユーザーが考えて立てられるようになっていて、それによってユーザーは「全体としては作り手に遊ばされているにも関わらず、自分で遊んでいるように錯覚する」という効果をもたらします。

ゲームにははまる演出が随所に目標設定をする


・ゲームの外部化
最近の例ではiPhoneの『セカイカメラ』が典型例で、ゲームを現実世界に持ちだす、現実世界をゲームで再現する、ゲームと現実の境界線で遊ぶといったものが外部化ということに当たります。

これらがゲームニクスの大枠の部分です。では、iPhoneゲームにゲームニクスをあてはめるとどのような事が言えるでしょうか。

■ゲームニクス理論から考えるiPhoneゲーム

まずはiPhoneのUIの特性を考える必要があります。DSなどのタッチペンのデバイスとはまた異なる、タッチの特性です。

・マルチタッチ(静電容量方式)
・指で操作するので、感情移入度が強い
・画面の微妙な反応の違いが、より重要になる
・押し間違いに対する配慮が重要になる
・指で画面が隠れることの配慮が重要になる
・素早く正確な連続操作は不向き

これらの特性があり、ハードに適したUIを考える必要があります。当然、過去のゲーム機が全て持っていた十字キー+ABボタンは存在しません。小野氏は声を大に「忘れましょう」と話していました。

しかしながら、過去の資産を活かすという意味で、バーチャルパッドを利用するケースも多いと思われます。その場合は、バーチャルパッドから指が次第に離れていってしまった場合のサポートや、指で画面が隠れることへの配慮が必要と小野氏は指摘しました。加えて、やはりバーチャルなものですので、物理的なパッドと比べると正確性は劣ります。ですので、誤操作を前提としたゲームデザインが必要ではないかということです。

バーチャルパッドの使用事例。『iDracula』は画面上にパッドを配置、『バイオハザード』は指が離れていっても入力を認識する工夫。『メタルギア』は画面のどこでも操作パッドになる(が、一見分かり辛い)。


以上のことから、現時点でiPhoneゲームを開発する人向けのTIPSとしては、十字キーにとらわれない自由な発想、家庭用ゲーム機で確立された画面デザインからの脱却、曖昧さを見方にしたゲームデザイン、、本体の機能/制約を上手く活かす、といったことが挙げられていました。

アイテム課金への対応も必要。ビジネスモデルが変わればゲームデザインも変わるまとめ


最後に小野氏は、ゲームニクス理論のみに縛られると突き抜けたゲームが出にくいという可能性も指摘しました。ゲームニクス理論は既存のゲームの面白さを抽出したもので、全ての要素を取り入れるとゲームが肥大化する危険性や、新しい枠組みを提示し難いという面もあります。そのため、ゲームニクスを意識しながらも、新しいデバイスや枠組みに積極的に挑戦していく姿勢が求められそうです。この点に関しては、続く宮川氏の講演も示唆に富む内容でした。
《土本学》
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