同社はまた「Unreal Engine」シリーズを擁するゲームエンジンベンダーとしても有名で、スクウェア・エニックスの大作RPG「ラストレムナント」でも採用されるなど、現世代機で一人勝ちの状態です。しかし技術情報に比べて企業の実態は、あまり知られていませんでした。
東京ゲームショウで開催されるビジネスフォーラム「TGSフォーラム」で24日、エピック・ゲームズ社長のマイケル・カップス氏は「『Gears of War』フランチャイズを世界の舞台へ」と題して講演し、「GoW」の成功を支えた同社の企業理念について説明しました。また「Unreal Engine」サポートのため日本に事務所を構えること、さらには日本語版の発売が遅れた理由についても明かしました。
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| エピック・ゲームズ社長、マイケル・カップス氏。 |
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さて、そんな同社の成功要因について、カップス氏は「ポップターツの品揃えの悪さ」「開発者はゲームが好き」「自分自身がライバル」「ゼリーをゆらす」という4つのキーワードで語りました。
■ポップターツの品揃えの悪さ
「ポップターツ」とはケロッグから発売されているシリアル状のお菓子で、アメリカでは朝食や軽食向けに人気があります。エピックでは、このポップターツがカフェテリアに何十種類もそろえられていますが、常に社員は品揃えの悪さについて不満を抱き、議論しているとのことです。ここでのポイントは、ポップターツの品揃えについて話す時は、社員に妙な「なわばり意識」は見られないということです。
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| ポップターツの品揃えが社内の問題の一つ | ほとんど「実行不可能」な課題がモチベーションの源泉 |
カップス氏は「開発者は非常に優秀なので、彼らに対して『ほとんど』実現不可能な課題を提供することが、モチベーションの向上に重要だ」と語ります。そのためには職種の壁やなわばり意識を取り払って、みんなで意見を出し合って仕事を進めてもらわなければなりません。カップス氏はこれを「楽しい非効率性」という概念で紹介しました。こうした自由闊達な企業文化を、たとえばポップターツ問題のような身近な事例一つとっても、経営者が配慮して保つことが重要だ、と述べているように感じられました。
■開発者はゲームが好き
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| ビジュアル・プロトタイピングの例 | Kismetでアイディアが簡単に試せる |
そのためにUnreal Engineには、「Kismet」と呼ばれる簡易言語が実装され、プランナーが簡単にビジュアル・プロトタイピングを作れる仕組みが整備されました。これは「GoW2」の制作でも大活躍し、カバーアクションの検証などが容易になりました。遮蔽物に隠れるだけでなく、上に乗れたらおもしろいかも……というアイディアも試されましたが、これは見晴らしが良くなりすぎて、面白さが削がれるためボツになったとのこと。このように、ちょっとしたアイディアをできるだけ早く遊んで、おもしろさを検証できる環境を整えることが、開発者をハッピーにするとのことでした。
■ライバルは自分たち
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| 「新規・改良・追加」リストの一例 |
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| 群衆システム | 歴史的建造物の破壊美 | 破壊できるように構築 |
■ゼリーをゆらす
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| 開発者は「超人」ではない | ゼリーをゆらさないことが大切 | 何を削るかは重要な経営判断 |
もっとも、同社では開発者がみな自分たちを「超人」だと思い込みがちで、最後まで何でも詰め込もうとしがちだと言います。そのため、今回のタイトルで最低限実装する仕様を早期に決めて(これを「Bar」という概念で紹介しました)、開発段階でもしばしば仕様を削っていき、時には続編に回すなどの勇気も必要だと述べました。マーカス氏はこれは開発チームではなく、マネジメントの重要な仕事だと指摘します。
このことは「ゲーム開発は短距離走ではなく、マラソンである」ということにも繋がります。同社の就業規則によると1日8時間勤務で、コアタイムは13:30から17:00、徹夜作業は禁止で、午前2時には全員が帰宅しなければなりません。開発の終盤ではクランチタイムも存在しますが、この時もスケジュールに合わせるなど、強制されてではなく、自分たちがもっと良い物を作るために、自発的に行うように意識づけることが大切だと指摘します。また定期的にパーティを行ったり、家庭を持つ社員に対しては、クランチタイムに奥様に、感謝の言葉と共に花束を贈る、などの配慮も行っていると語りました。
■日本語版の遅れ
カップス氏は最後に、日本語版が遅れた原因についても補足しました。周知のように「1」では北米版から2ヶ月後、「2」に至っては約8ヶ月後での発売となりましたが、これは暴力表現に対する修正作業に費やされたそうです。本シリーズは日本では「Z」指定となっていますが、それでも多数の表現を修正しなければ、発売は不可能でした。カップス氏はパッケージから追加マップまで、あらゆる部分でインターナショナル版と日本版の2つのバージョンの作成が必要だったと言います。
なお、本作はドイツのように暴力表現が原因で、未発売のエリアもあります(ドイツのゲーマーは同じドイツ語圏であるオーストリアで発売されたバージョンを購入して、プレイしているそうです)。実際に「1」での修正作業があまりに大変だったため、さらに表現が過激になった「2」では、日本版の発売は当初から念頭になかったそうです。しかし発売後、インターナショナル版をオンラインでプレイしている日本人ユーザーの多さや、日本のマイクロソフトからの強い要請で開発されたとのことでした。
ちなみに日本での売り上げは全世界の1%未満にすぎないが、それでも高い評価を得たことが嬉しかったそうです。カップス氏は、「GoW」を「バイオハザード5」のプロデューサーのカプコン・竹内潤氏が賞賛したことに触れ、「我々はバイオハザード4に大きな影響を受けたので、とても嬉しい」と語りました。


























