会場では著者の白井暁彦氏、小坂崇之氏、木村秀敬氏がデモを交えつつ、本書の概要と、WiiRemote(Wiiリモコン)プログラミングの魅力について語りました。
WiiリモコンをPCで利用する試みは、現在世界中で行われており、ホビープログラマーでもプログラミングできる環境が整っています。東京大学では、Wiiリモコンを用いて触れるホログラムプロジェクター「Touchable Holography」を開発しました。国際学生バーチャルリアリティコンテスト(IVRC)でも、昨年度からWiiリモコンを用いた作品が見られるようになっています。これらの行為は、興味本位や不正に利益を上げる目的で行われる不正なハッキング行為とは、まったく異なるものです。
一方で「手頃な教科書がない」などの理由から、執筆されたのが本書です。本書ではWiiリモコンをPCに接続する方法から、フリーウェアでWiiリモコンの動きを関知したり、C#やC++で本格的にプログラミンを行う方法まで、段階的に解説されています。バランスWiiボードやWiiリモコンを使った簡単なゲームの作成事例をはじめ、さまざまな演習問題やアイディアが掲載されており、実践的な内容になっています。
はじめに木村氏は、WiiリモコンとPCをBluetoothホストアダプタ経由で接続し、Wiiリモコンの動きをリアルタイムでモニタリングするデモを披露しました。その後、WiiリモコンとFlashアプリケーションをつなぐライブラリ「WiiFlash」と、MITで開発されたプログラミング環境「Processing」を用いて、マウス向けのサンプルスケッチを、Wiiリモコンで操作するように書き換えたもののデモを行いました。Processingには多数のサンプルスケッチが収録されており、ソースコードを少し書き換えるだけで、簡単にWiiリモコンに対応させられるそうです。
木村氏は職業エンジニアで、普段は携帯電話向けのアプリケーションを開発しているとのこと。「僕のように、週末にWiiリモコンを使ったプログラミングを書きたい人には、Processingを使うのがおすすめ。趣味で仕様書のない自由なプログラミングをすると、仕事で凝り固まった頭がほぐれる」と、その魅力を語りました。
金沢工業高等専門学校で講師を務めている小坂氏は、昨年度のIVRCで学生が作った「La fleche de l'odeur」の展開を紹介しました。本作はニンニクなどを食べて口臭をきつくし、吹き矢型デバイスに息を吹きかけて、画面上のモンスターを撃退するというバーチャルリアリティ作品です。デバイスの先端にWiiリモコンを装着し、照準を可能にしています。本作は仏ラバル・バーチャル、米シーグラフでも入選し、高い評価を得ました。
小坂氏は「Wiiリモコンは手軽に操作できて、無線、加速度センサ、ボタン、ポインターなどの機能が備わっており、耐久性が高く、非常に安価。もし壊れても現地で調達できる。Wiiリモコンがあったから、学生も海外に通用するような作品が作れた」と高く評価しました。授業でWiiリモコンを使うと、学生のモチベーションが高まるメリットもあります。そこで同校では、再来年度からWiiリモコンのプログラミングをカリキュラムに盛り込む予定とのことです。
フランスでテーマパーク開発計画などに参加し、現在は日本科学未来館で科学コミュニケーターを務めている白井氏は、学校の先生向けに本書をアピールしました。情報技術の習得については、平成24年度から実施される新学習指導要綱でも、中学校で「デジタル作品の設計・制作」「プログラムによる計測・制御」が必修になります。Wiiリモコンを使ったホビープログラミングは、その教材にも最適というわけです。
さらに白井氏は、今年のE3で各社がモーションデバイス戦略を加速してきたことに触れ、10年後にはテレビゲームの概念が、大きく変わる可能性も示唆しました。「10年後を予測するためには、10年前を思い返せばいい。当時は『ダンスダンスレボリューション』がアーケードでリリースされた頃で、家庭でのバーチャルリアリティゲームは夢の話だった」(白井氏)。本書の巻末には、そうした未来像についても若干、触れられています。
なお、発売されたばかりのWiiモーションプラスについても、すでに対応ライブラリが出始めているとか。白井氏も、現在世界中の雄志の手で解析が行われており、今後さまざまなライブラリが発表されていくだろうと、見通しを語りました。その上で読者についても、本書を読んでの感想や活用事例、自作プログラムなどを、ネットでシェアしていきたいと呼びかけました。。
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