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秋の夜長にいかが? Wii『零〜月蝕の仮面〜』インプレッション

実のところ、怖いのは本当に苦手なのです。子供の頃、ホラー映画を見たあと、妙に部屋の窓の鍵が閉まってるか気になったり、シャワーを浴びているときに何もないはずの背中が気になったりしなかったでしょうか。今ではすっかり大人になったはずなのですけど(精神的に子供であるという些末な問題はさておいて)、ご多分に漏れずこのゲームをやってると実生活の何でもないところに妙な気配を感じます。外の雨音が妙に大きく聞こえたり、背中がやけにむずがゆくなったり。正直怖すぎるのでこれ以上プレイしたくないと思いつつ、先が気になってプレイしてしまう。僕がホラーゲームが苦手なのに、例外的にこのシリーズだけ遊んでしまうのは、取り憑かれたように引き込まれるほどの世界観に魅力を感じるからなのでしょう。

任天堂 Wii
零〜月蝕の仮面〜
  • 零〜月蝕の仮面〜
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実のところ、怖いのは本当に苦手なのです。子供の頃、ホラー映画を見たあと、妙に部屋の窓の鍵が閉まってるか気になったり、シャワーを浴びているときに何もないはずの背中が気になったりしなかったでしょうか。今ではすっかり大人になったはずなのですけど(精神的に子供であるという些末な問題はさておいて)、ご多分に漏れずこのゲームをやってると実生活の何でもないところに妙な気配を感じます。外の雨音が妙に大きく聞こえたり、背中がやけにむずがゆくなったり。正直怖すぎるのでこれ以上プレイしたくないと思いつつ、先が気になってプレイしてしまう。僕がホラーゲームが苦手なのに、例外的にこのシリーズだけ遊んでしまうのは、取り憑かれたように引き込まれるほどの世界観に魅力を感じるからなのでしょう。

本作からプラットフォームをWiiへと移した『零』シリーズ最新作『零〜月蝕の仮面〜』はテクモが誇る和風ホラーゲームです。海外での評価も高く、『バイオハザード』シリーズや、『サイレントヒル』シリーズ、『SIREN』シリーズと同様、ホラーゲームの人気シリーズとなっています。本作は開発がテクモ、発売は任天堂と、今までと異なる形で世に放たれることになりましたが、シリーズに一貫している世界観は変わることなく、本作も過去のシリーズ同様最高峰の和風ホラーゲームとしてその地位を不動のものとしているように思えます。

ストーリーはかつて神隠しに遭い、記憶を失った5人の少女のうち2人が謎の死を遂げたことに端を発します。残された3人は自らの記憶を取り戻すため、そして2人の死の真実を明かすために、自らが育った島である「朧月島」へ向かうことに。プレイヤーはこの少女たちをそれぞれ操作し、島を探索しながら、キャラクターのザッピングにより縦糸と横糸が少しずつ編み込まれていくようなストーリーをたどって、全ての真実へ歩んでいくことになります。



本作も以前からのシリーズ同様、懐中電灯を頼りに暗がりの中を怖々と進み、襲いかかってくる霊を「射影機」と呼ばれるカメラで撃退しながら、所々にちりばめられた謎を解き、物語が進行していきます。前作から異なるのは、インタフェースがWiiリモコンになったことから、操作系が一部刷新されている点です。一つは懐中電灯の操作。本作ではリモコンの傾きでカメラと懐中電灯の向きを自由に操作することが出来るようになっています。アイテムを探す際にも懐中電灯が用いられるため、ゲーム中常に懐中電灯を動かすことになるのですが、ポインティングではなく傾きによる操作系になっているのが非常に好感触。これがポインティングだったとすれば、常に画面に向けて手を保持していなければならないわけで、ゲームの恐怖と腕の重さで大変だっただろう事は想像に難くありません。もう一つはアイテムを手に取る際、Aボタンを押しっぱなしにして手を伸ばさなければならなくなったこと。今までのシリーズでは決定ボタンをぽんと押せばそれだけでアイテムを拾うという動作は完了でしたが、本作はAボタンを押し続けることで実際にキャラが手を伸ばしてアイテムを拾いに行くことになります。これが思ったより臨場感があって、果てしなく怖いのです。これからプレイする人もいるはずなので多くは語りませんが、第6章までプレイした現時点で、最も怖かった場面はこの操作に起因しています。今これを書いていてそのシーンを思い出したのですがすでに泣きそうであり現在午前4時40分、背中が猛烈にむずがゆい…。お願いだからそんな目で僕を見ないでくれ、と頭の中の記憶に語りかけずにはいられません。

また、これまで固定視点だったカメラが三人称視点になり、ムービーを除く全てのシーンで常にキャラクターの斜め後ろからカメラが追跡するようになりました。これにより、プレイヤーはよりキャラクターに近い視点を体験することになり、以前より遙かに臨場感が増すことに。さらに、シリーズを通してこだわり抜かれている音の演出も本作ではより凶悪さを増してプレイヤーを恐怖させてくれます。誰もいない建物に響く足音、なぜか突然鳴り響くスピーカーからの不吉な音、非業の死を遂げた霊達のうめき声。僕はごめん被りたいですが、より体感を増したい人はヘッドホンの使用を推奨します。

しかし残念な部分もありまして、ブラー効果等、臨場感を表現する為の画面演出がゲームの動作自体を重くするときがしばしば有るように見受けられました。廊下を歩いていると急に動作が重くなったり、ドアを開けようとするときにキャラクタが一瞬固まったり、その先に何かイヤなものでもあるのかと勘違いしそうになります(もちろん勘違いではなかったこともままあるのですけど)。さらに、バグにより霊リストに埋められない空白が出たり、ゲームの進行自体が止まるといったことが既知の問題として報告されています。ゲームがゲームだけに霊象かなにかと本気で疑ってしまいそうですがれっきとしたバグらしく、気をつけてさえいれば進行の妨げになる問題ではないのですが、今後の交換対応が期待されます。

もう9月も終わり、肌寒くなってきたこともあって、すっかり秋の様相を呈し始めている昨今ですが、ホラーシーズンの夏より、どちらかといえば秋の夜長にぴったりのゲームです。周囲も寝静まるような頃合いに、部屋の電気を消して、布団を被りながら、是非ともこの暗がりの世界の雰囲気を、画面の少女達を通しておっかなびっくり楽しんでみてはいかがでしょうか。
《ヤマタケ》
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