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【Shoot It!】第63回 ウイルス対策ソフトはオンラインゲーマーの敵か?

オンラインゲームを楽しんでいる皆さんは、PCのセキュリティ対策をしていますか?

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【Shoot It!】第63回 ウイルス対策ソフトはオンラインゲーマーの敵か?
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オンラインゲームを楽しんでいる皆さんは、PCのセキュリティ対策をしていますか?

する必要がない、とか、必要だとわかっているけれど、まだ……という人もいるのではないでしょうか。Windows XP はサービスパック2でセキュリティ対策を啓蒙するようになりました。セキュリティソフトをインストールしていない場合に警告メッセージが出るほか、タスクトレイに赤いマークが表示されます。あなたのPCがインターネットに接続していないなら、この表示を消してもいいかもしれません。しかし、オンラインゲームで楽しむということは、インターネット上の危険にさらされている可能性もあります。セキュリティ対策は重要です。

Windowsのセキュリティセンター


わかっているけれど、オンラインセキュリティソフトは使いたくない、という人もいます。オンラインセキュリティソフトを使うとゲームに支障が出るから、というのです。実際、私もセキュリティソフトが原因と思われる不具合がありました。私はこの事件によって、PCのセキュリティについて深く考えさせられました。今回はその事例について報告します。

今年の初夏でした。私は「ハーフライフ2 エピソードワン」で遊ぼうとしました。しかし起動できません。「チームフォートレス2」も起動しません。起動してもフリーズしたり、強制終了してしまいます。どうやら、Valve社のSteamで購入できるゲームが起動できなくなったようです。私がまず疑った原因はビデオカードでした。というのも、私のPCでは今年の2月に発売された「ぼくは航空管制官3 - 東京ビッグウイング」が起動後フリーズするという事象が発生しました。インターネットの掲示板を探してみると、同様の事象がほかのユーザーでも発生していました。NVIDIA製ビデオカードのユーザーに、起動する人としない人がいました。セキュリティソフトによる画像表示の割り込みが原因という説もも指摘されていましたが、「ぼくは航空管制官3」とNVIDIA製ドライバの相性問題は以前にも発生し、すぐに解決していました。今回も同じ問題で、そのうちに対策パッチが出るだろう、と思っていました。

そこでビデオドライバを最新版にアップデートしましたが、やっぱりSteamのゲームは動きません。ここで「何か変だな」と思いました。Steamの開発元のValveとNVIDIAは密接な協力関係にあります。どちらの新製品でもお互いの製品を使った実演が行われるほどです。そしてどちらも世界的な市場を持っていますから、相性問題があればたちまちゲーマーのコミュニティは大騒ぎになるはず。そしてすぐに対策パッチが出るはずです。そのどちらもないということは、私のPCに固有の問題だと考えられます。そこで再び掲示板やQ&Aサイトで原因を探しました。そして、2ちゃんねるのログで以下のような書き込みを発見します。

「某社のセキュリティソフトを使っている場合は起動させないこと。常駐を解除するだけでは不十分。msconfig(システム構成ユーティリティ)を使って、スタートアップ項目で該当プログラムのチェックを外して再起動する」

まさかと思いましたか、藁にもすがる思いで試してみました。すると、無事に「ハーフライフ2 エピソードワン」や「チームフォートレス2」が起動できるではありませんか。他のSteamのゲームも起動します。そしてなんと、ふと思いついて起動した「ぼくは航空管制官3」もちゃんと起動して遊べました。さらに、ある日突然、LAN上でゲーム用PCと仕事用のPCがお互いに認識できなくなっていましたが、それも解決していました。ちなみに再びセキュリティソフトを常駐させると、同じ不具合が発生します。私はこの事象を再現性のある障害と判断しました。

被疑はセキュリティソフトです。いや、私の環境にも問題があるのかもしれません。ある時点のアップデートプログラムが、私の環境と相性問題を起こしていたようです。緊急の対策としては、セキュリティソフトを起動させないことです。しかし、これでいいのでしょうか。セキュリティ面で不安です。この事象が私だけならいいのですが、掲示板で対策が教示されている以上、同様の事象に遭う人はいると考えられます。実は、セキュリティソフトとゲームの相性については、掲示板などで時々見かけるものの、大きく取り上げたメディアがありません。

ひとりひとりの小さな不具合が、やがて「セキュリティソフトはゲームによくない」という風説となり、ゲーマーが意図的にセキュリティソフトを外す、なんて習慣が始まったら、この世界は大変なことになります。オンラインゲーマーも、セキュリティソフトメーカーも、この問題を真剣に考えるべきです。オンラインゲーマーはセキュリティをどう考えているのか。セキュリティソフトメーカーはオンラインゲーマーをどう考えているのか。

私の友人にはEスポーツの取材でお世話になっているゲーマーがたくさんいます。そこで私は、この問題を友人限定のmixi日記で問いかけてみました。そこでの答えは予想していたとおりでした。

A氏「勤務先で杉山さんと同じセキュリティ対策ソフトを使っていたけど、(高機能化のせいで)動作が重くなったり、ポップアップのせいで別のソフトが誤動作するのでやめた」

B氏「そのセキュリティソフトだけが不具合だというなら、ゲーマーは他のセキュリティソフトを選ぶのではないか」

C氏「今までウイルス対策ツールを入れてロク事がないので入れていない」

D氏「WindowsのファイアーウォールとPCにプリインストールされたソフトをそのまま使っている。ゲーム歴は長いけどウイルス対策は素人。お恥ずかしい」

E氏「高機能セキュリティソフトだと、ポート番号やデータパターンまで見るから、独自ポートでデータやり取りするような対戦ゲームだと、エラーが出ちゃうかもしれない。細かく設定できるとはいえ面倒」

F氏「昔はセキュリティに気を使っていたけど、動作が重くなったのでゲーム用PCには何も入れていない。ゲームPCには消えたら困るデータは入れないから問題ない」

このほかに「私はこれを使っているけど問題ないよ」というメッセージもいくつか頂きました。きちんとセキュリティソフトを使っている人もいれば、「セキュリティに無関心というわけではないけれど、ゲームに支障があるからインストールしていない」という人もいます。身の回りにセキュリティに無関心な人がいないとわかってちょっと安心しましたが、セキュリティソフトが原因でゲームに不具合があると答えた人がいます。これは気になります。

いずれにしても、私を含めて、セキュリティソフトを使えないという人がいることは大問題です。「自分のPCが被害を受けた場合はハードディスクを初期化し、OSから再インストールすればいい。ゲームのスコアはクリアされてしまいますが、その程度のリスクだ」と思っているかもしれません。しかし、最近はユーザー自身が気づかずに悪意のあるプログラムがインストールされることもあります。そのプログラムが第三者のPCにDoS攻撃をかけたとしたら、気付かぬうちに加害者に荷担していることになってしまいます。

ゲーマーはセキュリティソフトを使いたい。しかし、セキュリティソフトのせいでゲームができないなら、ゲーマーにとってはウィルスよりもセキュリティソフトの方が困った存在です。

では、セキュリティソフトメーカーはPCゲームユーザーをどう思っているのでしょうか。次回はこの件でセキュリティソフトメーカーさんの意見を伺うことにします。

#「PCゲーマーとセキュリティ」については、今後、不定期に続報します。
《杉山淳一》
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