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乙女ゲームの「救世主」に DS『VitaminX Evolution』開発者インタビュー

乙女ゲームの「救世主」に DS『VitaminX Evolution』開発者インタビュー

任天堂 DS


―――PS2のディスクメディアからDSというロムメディアに移るということで、容量の面でもいろいろと苦労も多かったと思いますが・・・

岩崎: そうですね。PS2版では音声はフルボイスで2万ワード以上の音声が収録されていました。女性向けの「乙女ゲーム」と呼ばれるゲームは音声が非常に重要で、なるべく音声の数を減らさずに、同時に追加要素も盛り込んでいくというのはとても苦労しました。容量や音質の面で、ミドルウェアには非常に助けられました。「救声主」や「ファイルマジック」が無ければ、僕たちはどうなっていたのだろうと思いますね(笑)。

―――救声主を知ったきっかけは「DEVELOPER'S TALK」の過去記事だったそうですね

岩崎: はい。過去の記事とCRIのウェブサイトを見て効果的だと感じ、『VitaminX Evolution』でも使ってみようと思いました。


■2GbitのDS専用カードの中になんと14時間分の音声を収録?!


―――結果的に収録できた音声というのはどのくらいなのでしょうか?

岩崎: PS2では44.1kHzで2万5800個の音声データがありました。DSで収録できたのは1万4417個です。1万ほど減らすことにはなりましたが、それでもDSであることを考えると、1万4千個というのは膨大なボリュームです。もちろん本当は全ての音声を入れたいという気持ちはありましたが…。D3・パブリッシャーさんとして初めて2GbitのDS専用カードを採用してもらったり、ミドルウェアにも助けてもらったりと、いろいろと工夫を重ねた結果、実現できた数字だと思っています。

分かっている人だと「DSでこれだけの量の音声が入っているのは凄い」と思ってもらえるかもしれません。ただ、他社タイトルにはなりますが、DSでフルボイスの乙女ゲームを実現しているタイトルも実存しますので、今後はさらに頑張っていかないといけない部分だと思っています。

―――1万個の音声データを削っていく作業自体も大変そうですね

岩崎:女性スタッフが中心となって、ユーザーの目線に立って重要なものと比較的そうでないものを選り分けていってくれました。シーン毎にざっくりと、「ここは落とす、ここは残す」と決めていければ楽なのですが、シーンの中でもキーになる部分は落とせないですし、キャラクターの特徴的なセリフは活かしたいですからね。色々な人の意見を聞きながら試行錯誤しました。それぞれのスタッフにこだわりがあるのでまとめていくのは大変ですが(汗)、そのこだわりこそゲームに一番大事なものだと思います。

―――救声主は複数の音質設定から選択できるようになっていますが、どれを採用されましたか?

五十嵐: 「音質」をとるのか「量」をとるのかということで悩みました。具体的には、16kHzにするか12kHzにするかでかなり揉めましたね。

岩崎: 当初D3・パブリッシャーさんにも「16kHzでいきます」というお話をしていたのですが、収録する「量」を重視して、最終的には12kHzにしました。16kHzと12kHzで比べてみても、声が高音域のキャラクターだと気になるものもありますが、それ以外では余り気にならなかったというのも理由の一つです。

※救声主の音質は、CRI・ミドルウェアの試聴ページで確認できます。

―――ちなみにトータルの収録時間はどのくらいになりますか?

五十嵐: 14時間くらいですね。容量にすると約164MBです。ROM容量全体の64%を音声に使っているということですね。

―――それは凄いですね!いままでの救声主の採用タイトルでも最長の収録時間だと思います


■サウンドの移植はメモリとの戦い


―――サウンドという面で苦労された部分はありますか?

黒田: やはり一番苦労したのはメモリとの戦いですね。DSではメモリ容量はかなり制限されるので、BGMやSEの波形、音質との兼ね合いでは苦労しました。PS2ではBGMは波形データをストリームで流していましたが、DS版では難しいため、耳コピーでMIDIを作って再生しています。ストリームで何の制限もなく作られた曲をMIDIでどう違和感無く聞こえるようにするか、という部分は大変でしたね。

―――曲数としては何曲くらい収録されていますか?

黒田: 全部でだいたい30曲です。

―――次回はぜひBGMのストリーミング再生も救声主で試してみてください!

黒田: そうですね、今回は容量的な問題もあり実現できませんでしたが、次回作ではぜひチャレンジしてみたいです。

■導入はわずか2日で、ファイルマジック



《土本学》
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